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近刊紹介『oneM2Mハンドブック―水平連携型IoTシステムの標準規格と実装―』

2021年1月下旬発行予定、『oneM2Mハンドブック―水平連携型IoTシステムの標準規格と実装―』(山﨑德和 編著)のご紹介です。

同書の「はじめに」を、発行に先駆けて公開します。

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『oneM2Mハンドブック―水平連携型IoTシステムの標準規格と実装―』はじめに

編著:山﨑德和                           共著:山崎育生 前大道浩之 原田恵 山本賢一 奥井宣広 平田哲彦

昨今では、「IoT」という言葉をマスコミやメディアで見ない日がないくらいに、さまざまな分野においてIoTのシステム構築やサービス開発が進められており、IoT普及への期待や機運が感じられます。IoTとは、これまでインターネットに繋がることがなかった自動車、家電、医療/健康機器、建設用機械、工場内の設備/機器、農業用機器、多種多様なセンサなどの「モノ」がインターネットに接続され、相互に情報やデータをやりとりすることにより新たに生まれる価値、ビジネスモデル、サービスなどの総称と捉えることができます。

現在のIoTシステムの多くは、その前身といえるM2M (Machine to Machine)システムと同様に、IoTデバイス、IoTゲートウェイ、通信ネットワーク、IoTサーバという IoTシステムの構成要素のすべてが、単一の業界や企業によって構築され運用されている、いわゆる垂直統合型のビジネスモデルに基づいているのが現状です。しかし、IoTの究極の目的は、交通、エネルギー、製造業、農業、医療・健康管理、家庭など、さまざまな分野で得られた情報やデータを相互にやりとりすることにより、さまざまなビジネスや社会の問題を解決するところにあります。そのためには、IoTシステムそのものが垂直統合型ではなく、業界や分野を跨いで水平方向に相互に連携できる「水平連携型」である必要があります。

oneM2Mは2012年7月に、日本の TTC(情報通信技術委員会)および (情報通信技術委員会)および ARIB(電波産業会)を含む世界の通信技術標準化活動の中核となる欧米アジアの7つの標準化機関により共同で設立され、2020年9月現在、TSDSI(インド)を加えた合計8団体を中心に運用されています。まさに、このoneM2Mこそが、異なる業界や分野のビジネスがIoTを通じて水平方向で連携するために必須となる「共通サービスプラットフォーム機能」などのIoT技術を世界標準規格として策定するための活動を行っています。参加企業・団体数は世界で200社・団体を超え、通信関係の企業や事業者のみならず、Vertical Playersとよばれるさまざまな分野の業界団体も参加して、オープンでグローバルな標準技術を開発してきました。これまでに技術仕様書として、リリース1(2015年1月)、リリース2(2016年8月)、そしてリリース3(2018年12月)の3つの仕様書セットを発表し、現在、次期リリース(リリース4)の策定作業を行っています。

oneM2Mは、常に ITU-T、GSMA、ISO/IEC、IIC、IEEE といったIoT技術の標準化団体やや業界団体と密接に連携し、リエゾンや共同のワークショップなどの開催により、IoTサービスやセキュリティに関する要求条件やシステムアーキテクチャなどに関して共通の理解を得るよう努めてきました。また、3GPP、IETF、OMA、Broadband Forum、OC、OSGi、W3CなどのIoT関連団体については、その既存技術を積極的に利用したり、あるいはその規格とインターワーキングできたりするしくみを仕様書としてまとめ、oneM2M標準準拠の機器のみならず、ほかの異なる技術のデバイスともつながるしくみをすでに完成させています。さらに、oneM2M規格はITU-Tにおいても勧告化が行われ、3GPP規格と同様に文字どおり国際標準規格となっています。

本書は、このようにIoTの進展とともに普及することが期待されるoneM2M技術をわかりやすく解説するとともに、とくに、この技術を利用してIoTサービス提供やシステム構築に取り組む技術者、開発者のみなさんにoneM2M規格を利用する方法を理解していただくための一助となることを目指しています。

本書では、まずoneM2M の設立、目的、組織、そしてその強みの紹介を行います。次に、oenM2Mのシステムアーキテクチャ、プロトコル、共通サービス機能、リソース管理、情報フロー、デバイス管理、セキュリティ/プライバシー、異なるIoT技術とのインターワーキング、セマンティクス、テストといった、oneM2Mにおける重要な技術を解説します。そして、自動車分野や製造業分野へのoneM2M規格の適用について説明するとともに、開発者へのガイドとしてoneM2M規格の利用方法について例を挙げて記述します。最後に、諸外国における oneM2M規格の導入事例やoneM2M標準に準拠したプロダクトのための認証スキームについて紹介します。

本書がIoTの世界の発展に役立てば幸いです。

山﨑德和(やまさき・のりかず)                   玉川大学教授、oneM2M Steering Committee Vice Chair、TTC oneM2M 専門委員会委員長、ARIB/TTC oneM2M 合同会合共同議

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『oneM2Mハンドブック―水平連携型IoTシステムの標準規格と実装―』
https://www.morikita.co.jp/books/book/3553https://www.morikita.co.jp/books/book/3553

編著:山﨑德和                           共著:山崎育生 前大道浩之 原田恵 山本賢一 奥井宣広 平田哲彦

さまざまな業界や分野のデバイスが相互に接続可能な「共通サービスプラットフォーム」のための規格であるoneM2M。今後ますます普及が期待されるIoT標準規格の、国内標準化メンバーらによる待望の解説書。

oneM2Mのアーキテクチャ、セキュリティ、インターワーキング、テストなどの技術的詳細はもちろん、規格の適用例・導入事例や認証スキームといった運用フェーズまで広範囲をカバー。アプリケーション開発者だけでなく、プラットフォーム開発者、導入決定層など、oneM2Mに関わるすべての人におすすめの1冊。

【目次】
第1章 oneM2M とは
 1.1  oneM2M設立の背景と目的
 1.2  oneM2Mの活動領域と標準化プロセス
 1.3  oneM2Mの組織と関連団体
 1.4  oneM2M技術の強みと展開の現状

第2章 oneM2M 基本仕様
 2.1  本章の役割と構成
 2.2  機能アーキテクチャと論理モデル
 2.3  oneM2M 共通サービス機能
 2.4  M2M SP内/SP間通信
 2.5  Identifier
 2.6  参照点における通信フロー
 2.7  メッセージ仕様
 2.8  リソース

第3章 データ蓄積・取得に関する基本機能
 3.1  本章の役割と構成
 3.2  データの送信と受信に関する基本機能
 3.3  各手順におけるリソースと属性
 3.4  自動的なデータの更新通知
 3.5  ほかのデータ共有リソース(CSR)の作成などの手順
 3.6  情報記録

第4章 セキュリティ
 4.1  本章の役割と構成
 4.2  認可
 4.3  デバイス登録
 4.4  認証とセキュア通信
 4.5  プライバシー保護

第5章 デバイス管理
 5.1  本章の役割と構成
 5.2  デバイス管理の考え方
 5.3  既存デバイス管理プロトコルとのIWアーキテクチャ例(LWM2M)
 5.4  フィールドドメインのデバイス設定

第6章 インターワーキング
 6.1  本章の役割と構成
 6.2  インターワーキングのフレームワーク
 6.3  家電情報モデル(HAIM)
 6.4  AllJoynインターワーキング
 6.5  OCFインターワーキング
 6.6  OSGiインターワーキング
 6.7  3GPPインターワーキング
 6.8  オントロジーベースインターワーキング

第7章 セマンティクス
 7.1  本章の役割と構成
 7.2  セマンティクス技術の前提知識
 7.3  <semanticDescriptor>リソース
 7.4  <semanticFanOutPoint>リソース
 7.5  セマンティックなリソース探索
 7.6  セマンティッククエリ
 7.7  その他のセマンティック機能

第8章 テスト
 8.1  本章の役割と構成
 8.2  テストフレームワーク
 8.3  仕様適合性テストのフレームワーク
 8.4  相互接続性テストのフレームワーク
 8.5  仕様適合性テスト
 8.6  相互接続性テスト
 8.7  フィーチャーカタログ
 8.8  製品プロファイル
 8.9  実装適合性宣言
 8.10  プロダクト認証プログラム
 8.11  相互接続性テストイベント

第9章 自動車分野への適用
 9.1  本章の役割と構成
 9.2  ユースケース
 9.3  ハイレベルアーキテクチャ
 9.4  ユースケースから導出された課題
 9.5  ソリューション

第10章 製造業分野への適用
 10.1  本章の役割と構成
 10.2  製造業分野の概要
 10.3  ユースケース
 10.4  ハイレベルアーキテクチャ
 10.5  セキュリティ
 10.6  OPC UAインターワーキング

第11章 oneM2M開発者ガイド
 11.1  本章の役割と構成
 11.2  CoAPを利用した温度監視システム例
 11.3  HTTPを利用した家庭内照明の制御例
 11.4  MQTTバインディングを用いたスマート農場の例
 11.5  デバイス管理例
 11.6  SDTを用いた連携プロキシ
 11.7  セマンティクスの実装

第12章 oneM2M規格の実装と適用例
 12.1  本章の役割と構成
 12.2  オープンソースソフトウェア
 12.3  oneM2M技術の実施例




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