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#560 自らを助ける力

この2ヶ月ぐらいの間に新しく練習会に参加してくれるようになった中学生の意欲が高い。先日の練習会ではサーブ練習で質問やフォームの確認をひっきりなしに受けた。20分ぐらい確保していたサーブ練習時間のうち、15分ぐらいはそんな感じだった。「ちょっと他の子の様子も見に行きたいから」と言って離れたが、そうしなかったら20分丸々費やしていたかもしれない。ただ、これは愚痴ではない。

小中学生ぐらいの子と関わっていて、このように自分から質問をしてきたり見てほしいとアピールしてくるケースはあまり多くない。一昔前の子どもはもっと積極的だったのかもしれないし、そうではなく昔から子どもとはそんなものだったのかもしれない。自分自身を振り返って考えたとき、自分から先生に何度も質問しに行ったりした記憶は無いけれど、一定のアピールはしていたような気がする。そこには、ある種の競争意識のようなものが働いていたのだと思う。同じチームの中の番手で負けたくない、次の大会で結果を出したい、などなど。

僕に質問攻めをしてきた子たちも、やはり同じチーム内で負けたくない相手がいたり、同じブロックの中で勝てるようになりたいなど競争意識があるようだ。今どきの子らしい?小生意気だけどドライな感じなのかなと最初は思っていたら、話を聞く姿勢やアドバイスを実行に移す行動などからそれがうかがえる。練習会に来ているときも、自分が何をしに来ているのか、その意識があるようだ。

集団で練習会を開催しているとき、みんなから同じ参加費をいただいている以上、できるだけ全員をまんべんなく見ていく必要がある。しかし、同じように参加している中でも、ある意味の慣れというか、いつも来ているから流れできているというような状態の人もいれば、友だちが来ているから来ている、遊び感覚の抜けない人もいる。どういう目的を持って僕の練習会に来てくれるのかはその人が決めることだが、僕がずっと練習会を継続していることの意味・目的はソフトテニスをもっと好きになってもらって楽しんでもらいたい、そのための手段が上達である、ということだ。そしてもう一つが、自分から目標設定をしてそれを実現していく力を身につけてほしい、という思いがある。そういう意味では、意欲を感じられる人に多くのエネルギーを割くという選択をしていくことになる。

本質的には必ずしも目標を持つ必要はなく、ソフトテニスというスポーツそのものを楽しめることが最も重要だと考えている。ただし、僕が設定する環境においてはそれにプラスアルファして「目標を持つ、それを実現するための力を身につける、行動をする」ということを加えておきたいので、それが考え方に沿わないということであれば、極論僕の練習会に参加してもらう必要はないと思う。そういう場所としてやっているのだから、思っていたのとは違いましたということであれば、別の場所を選んでもらえばいいだけのことだ。

競争意識を持てることが正義、ではないが、自分のことをアピールしたり見ている人からフィードバックを得ようと行動する力は大切だ。天は自ら助くる者を助く、というが、そういう力が自分を助けてくれることは、この先の人生の中でも、きっとたくさんある。

(了)

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