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#528 攻める、守る、立ち向かう、逃げる

ゲームの進め方についての備忘録的な記録。

試合において、攻めるプレーが立ち向かっていく姿勢とイコールとは限らず、守備的なプレーが逃げの姿勢とイコールでもない。

強打を連発したりボレーやスマッシュをあれこれと手を出すのは、一見強気なプレーに映るが、必ずしもそうとは言えない。例えば相手にリードを許しているような場面で安易にポイントを取りに行ってもミスに繋がるリスクは高いし、仮に得点できたとしても流れを変えることに繋がる可能性は低い。むしろ、それは相手との勝負からの逃げとなってしまうことが多い。むしろそういう場面では、守備的に何本でもラリーを繋げ、どんなボールでも拾うような粘り強さを見せるのが、強気なプレーとなったりする。

逆に、自分たちがリードしている場面でも、何でもかんでも決めに行くようなプレーは望ましいとは限らない。あと1ゲームで勝ち、というような状況になったとき、終りが見えていると早く終わらせて楽になりたくなるものである。そういうときに無理な攻撃をしてミスを連発し、不必要に試合がもつれるという場面をよく見る。強気なことには違いないだろうが、気が逸っては勝ちを取り逃がすことにも繋がりかねない。相手が追い込まれて焦るような場面だからこそ、堅実なプレーを徹底されるのは嫌なものである。

競技が異なるが、2018年のサッカーワールドカップのロシア大会で、日本代表が予選リーグ最終戦で予選突破のために1点ビハインドのままボールを自陣内でパス回しして時間稼ぎをした戦術が議論を呼んだことがある。意見は分かれるところだと思うが、批判を覚悟で予選突破のために消極的プレーを貫いたことには、むしろ覚悟を感じるほどである。

そして、試合が拮抗している場合はどうか。この場合も結局、先に焦って強引なプレーに走ったほうがミスをする流れに陥りやすい。デュースが続いたりファイナルゲームに突入したりしたとき、堅実なプレーを続けた先に舞い込んでくるワンチャンスでいかに思い切ったプレーができるか。たいていはそういった「流れを左右する一本」が存在する。

強引なプレーに走ってもいいときとはどういうときなのか。目に見えてチャンスボールとわかるような時を除けば、カウント的に多少のミスを許容できる差が開いているときだ。わかりやすいところで言えば、2点、3点リードでマッチポイントを握っているようなときは、リスクの高いアングルショットやドロップショット、フライング気味のポーチボレーなどを試みるのは悪くない。

総じて、試合の流れや状況をどれだけ俯瞰して見ることができるのか。技術だけでなく、そういった勘を磨くことも重要となってくる。

(了)

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