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#601 自分を大切にする、の勘違い

自己犠牲よりも、自分自身を大切にして生きることが世の常識になってずいぶん経つ。ずいぶん経つ、などと言っているが、昭和の終わりに生まれて平成の世を育ってきた僕にとっては、世の中は物心ついたときからそうだった。話に聞く昔の世の中だと、我が身を削って働いたり地域という名のコミュニティに貢献しなければならなかったりする世界だったのかもしれないが、今はそうではない。

それでも、自分の好きなように生きるとか、やりたことをやって生きていくとか、そんな自由とか個の尊重が当たり前になってきたのはここ10~20年ぐらいのような気がするし、もしかしたらそういう文化の醸成はSNSの発展と歩みを同じくしてきたのかもしれない。

そんな世の中にあって、なんとなく僕が違和感を感じるようになってきたこと。これは間違いなく僕だけではなく多くの人が感じているであろうことが、表題にある「自分を大切にする、の勘違い」だ。本当の意味で自分を大切にするって、どういうことだろう。

結論から言ってしまうと、自分を大切にすることと自分を甘やかすことを混同してしまっていないか、ということだ。よくある例で示すと、何かに挑戦しようかと思ったとき、まず挑戦してみるか、準備不足や時期やタイミングを言い訳にして挑戦を先延ばしにするか、というようなことがそれに当たる。準備はたしかに必要だが、失敗して自分が傷つかないために先延ばしにしているとチャンスはあっという間に過ぎ去っていってしまう。自分を大切にしすぎるあまり、自分を大切にできていないという矛盾が発生する。

以前に、親の「協力」と「世話」の境界線についてstand.fmで話をしたことがある。

これも同じようなもので、我が子を大切にしすぎるあまり成長の機会を奪ってしまい、結果我が子を本当の意味で大切にできていないという矛盾が発生している、ということについての内容だった。自分も、自分の大切な人たちも、本当の意味で大切にしたいのであれば、大切にしすぎないという意識が大切だろう。

(了)

○この内容をもとにお話したstand.fmの放送は、こちらから聞くことができます


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