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#613 腰の疲労骨折をする子が増えすぎていないか

練習会に参加してくれている中学生から、残念な知らせが届いた。腰痛が気になって病院を受診したところ、疲労骨折が発覚したというのだ。向こう3ヶ月を目処に、回復に努めることになる。本人としても悔しいだろうが、まずは身体の状態を万全にすることが最優先だ。

この「腰の疲労骨折」という故障を、この数年のうちでも何度か身の周りで聞くことがあった。疲労骨折の定義を引用すると

同じ部位に小さな力が繰り返し加わることで発生する骨折であり、スポーツ選手や重労働者、骨密度が低い人に多くみられる。

ということになる。また、その要因としては

  • 選手側の要因:筋力不足、アンバランスな筋力、未熟な技術、からだの柔軟性の不足、栄養不良、ホルモンの異常など

  • 環境側の要因:オーバートレーニング、選手の体力や技術に合わない練習、不適切なシューズ、地面が固すぎ、もしくは柔らかすぎる練習場など

といったことが一般的に挙げられる。

外傷性の骨折と違い、痛みがあっても運動を続けられることが多いので、放置すると重症化する可能性があるのが特徴。今回のケースも、筋肉の張りや炎症からくる腰痛なのかと思っていたら、蓋を空けてみたら疲労骨折だった。

昔は見かけなかった腰の疲労骨折

身の周りの同年代、あるいは年代が上の方と話していても、自分たちが中学生の頃に身近なところで腰の疲労骨折をする選手を見たことがあるという話は聞かなかった。僕自身も、昔は出会ったことがない。もちろんゼロではなかっただろうが、今よりも少なかったのは間違いないのではと思う。

僕は医療の専門家でもないしトレーナーでもないので、完全に主観的な個人の見解に過ぎないのだが、姿勢の悪い子どもが増えたことが腰の疲労骨折をする子どもが増えたことに影響しているのではないかと思っている。

猫背やストレートネックなどの姿勢の悪さはある意味現代病とも言える。僕も含めて、小さな画面を手に持って向き合う機会というのは昔と比べて大幅に増えた。姿勢の悪さは腰椎のカーブや骨盤の傾きを変え、腰椎の後方部分の「椎弓」という箇所に大きな負荷をかけてしまう。これによって、椎弓に亀裂が入りやすくなり、疲労骨折のリスクは高まる。

また、姿勢の悪さは筋肉や筋膜の緊張や硬化も引き起こし、血行やリンパの流れが悪くなることで骨の代謝や修復が低下するという影響もあるという。必ずしも姿勢の悪さだけが影響しているわけではないだろうが、今よりも部活の練習時間が長くトレーニングも多かった昔のほうが腰の疲労骨折をする選手が少なく、今のほうが増えているというところには、その影に何かしらの原因があるのは間違いないだろう。

残念ながら、昔と比べて姿勢の悪い子どもが増えたかどうかの数値的なデータは存在しない。姿勢が悪いかどうかというのは、見る人の主観によるところの判断になるからだ。学力テストや体力テストのように、昔の子どもと比べて今の子どもは、という比較はできない。あくまで主観的な印象に過ぎない。ただ、今の時代の環境が子どもたちの姿勢を悪くさせる要因を多くはらんでいるとは思う。

言うまでもなく、怪我はスポーツと常に隣り合わせであり、大敵だ。姿勢の改善で防げる怪我があるのであれば、僕も改めて子どもたちの姿勢に注意を払って関わっていきたいと思う。

(了)

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