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【家17】断熱気密④夏暑い?息苦しい?なんでもQ&A

「断熱って夏は暑くないの?」
「高気密って息苦しくないの?」

高断熱高気密の家を建ててると、幾度となく聞かれるこの質問たち。
我が家の設計施工をお願いしている中田製作所のみなさんから
教えてもらいながら私たちも勉強中ですが、まとめてQA形式にしてみました。

先日開催した「断熱DIYの教室」で、
講師である中田製作所の中田理恵さんが解説してくださった
温熱環境についての内容がすごくわかりやすかったので、
資料は一部そこから抜粋させてもらっています。
イラストはいずれも、つみき設計施工社+夏目縫製所


暑い・寒いを、快適な温熱環境にするための、断熱と気密。
その原理原則がわかれば、暑くて寒い家をどうにかしたいとき、小屋や家を建てたいときに、応用できるはず。

具体的なhow toはまたの機会に、、ですが、
いったん、原理原則についてわかる範囲でまとめてみました。間違ってたらすみません(ご指摘いただけたら修正します)。
誰かの何かの役に立ちますように!

理恵さんに教えていただいた内容は、
あたらしい家づくりの教科書」にも詳しく解説されています。この本かなり勉強になりました!


Q1 そもそも暑い・寒いとは?

A1  熱は3つのルートで伝わります。カギは「放射」です!

そもそも私たちが暑い・寒いを感じるのは、
熱が「伝導」「対流」「放射」の3つのルートで伝わる時だそうです。
この3つが、住まいの温熱環境を考える上での基本になります。

この内容は小学校の理科で習うものらしい(全く記憶にないけど)。
小学校の授業で住まいの断熱気密やってほしい!


わかりやすいのは、直接足の裏などから床に熱が伝わる「伝導」。
「対流」も、空気や水が動くことで熱が伝わる現象なので、エアコンの風やすきま風などイメージしやすい。

「放射」はあんまり馴染みがなかったのですが、冬に窓辺にいると寒さを感じる、あれです。
よくあるアルミの単板ガラスの窓は、触ると冷たいですが、触ってないのに窓の近くにいるだけで寒いのは、「放射」で熱が奪われてるので寒く感じるんですね。
ちなみに太陽の熱を温かく感じるのも放射です。


Q2 断熱&気密って何?

A2 セーターを着るのが断熱。ウィンドブレーカーを着るのが気密。

先ほどの「熱が伝わる3ルート」を「断つ」のが断熱です。
断熱材を入れることで、熱を伝わりにくくして、夏は涼しく、冬は暖かい家をつくるのです。

では気密は何かというと、服に例えるとわかりやすい。

まず、断熱とは、暖かいセーターを着ること。
でも、どんなに分厚いセーターを着ていても、風が吹くとスースーして寒いですよね。

そこで、気密=ウィンドブレーカーの出番!風を通さず空気の層を作ることで、暖かさが外に逃げないのです。

ただし、ウィンドブレーカーのファスナーがあいてれば風が入ってきて寒い。ファスナーを閉めて、首や手首の隙間をなくすことで、暖かい空気を逃げにくくするのが「気密」です。

住宅の場合は、気密テープや気密フィルムを使います。

断熱材(ネオマフォーム)を入れた後に、気密フィルムを貼って、継ぎ目は気密テープ
(縦に留めている白いテープ)を貼って隙間をなくす。これが住まいにとってのセーターとウィンドブレーカー

つまり、床・天井・壁4面の計6面を断熱&気密しないと、
ウィンドブレーカーのファスナーがあいてる状態で、あまり効果は感じられないことも。

「寒いので床だけ断熱材入れてみた」という場合、確かに「冷たい床」は解消するかもしれませんが、天井と壁は何もしないままだと、空間としては気密されてないので、断熱の効果は限定的かもしれません。

断熱・気密は床・天井・壁4面の計6面を全部くるんであげないと、あんまり効果がない。
なるほど。これは私も勉強するまで知らなかった。


ちなみに、日本の住宅は「はだかにカイロ」と描かれていますが、
ほぼ無断熱(はだか)な状態で、エアコンやストーブなどの暖房器具(カイロ)を使って局所的に暖めるので、部屋はいつまでたっても暖まらない、もしくは暖房器具を消した途端に寒くなる、というケースが多いそうです。

冬にこんな人いたら変態です!


冷暖房器具も大事だけど、そもそも家の断熱気密性能をあげないと、根本の解決にはならないということですね。

Q3 断熱って夏は暑いのでは?

A3 いいえ。断熱された家は、夏は木陰のように涼しいです

セーターとウィンドブレーカーの例えだと確かに暑そうなので、「体感温度」に表現を変えます。

体感温度とは(いろんな計算方法や細かい方程式がありますが)
ざっくりいうと「室温+放射温度」を2で割ったもの。

感覚的にも木陰が涼しいのはわかるけど、実際に試算すると体感温度で20℃も差が出る。
これが高断熱が夏に涼しい仕組み

同じ気温30℃でも、上図の木陰と小屋を比較すると、

木陰 →木の放射温度が30℃、体感温度30℃
鉄板屋根のプレハブ小屋 →屋根の放射温度が70℃、体感温度50℃

体感温度が20℃も違います!
断熱性能の悪い家の2階や屋根裏が暑いのは、この放射のせいです。
都心の真夏のアスファルト地獄が暑いのも、放射のせいです。

高断熱高気密な家は、暑い夏でも熱が伝わりにくいので、木陰のように涼しいのです。(洞窟のよう、とも表現されます)

住まいにおいては、夏も冬も、熱が伝わる3ルートのうち「放射」が実はカギなのです


Q4 高気密って息苦しくないの? 

A4 いいえ。24時間換気システムによって常に新鮮な空気が循環しています

すきま風も入らない様に気密テープで塞いだら、息苦しくなるのでは?
私もそう思ってました。

が、いま新築住宅は建築基準法によって24時間換気システムが義務化されています(シックハウス対策が理由)。
家の中の空気を1時間に半分以上入れ替えることが義務付けられており、これに基づいて換気システムが設計されているので、「高気密だから息苦しい」というのは間違いです。
(もちろん、24時間換気システムをオフにして、窓も締め切ったら息苦しくなります)

ちなみに、繰り返しになりますが、気密性能が悪いと、暖かい空気が上から抜けていくほど、下から冷気を引き込んできます。

家の上の方にある隙間から暖気が逃げて、下の方にある隙間から冷気が入ってくる

冷気が入ってきて足元が寒いから暖房を強くすればするほど、上から暖気が勢いよく逃げていき、
足元にはどんどん冷気が引き込まれるという悪循環になるそうです。
私たちが今住んでる賃貸がまさにそれだ、、そりゃ寒いわけです。


また別の機会に詳しく書きますが、
我が家では、第1種〜第3種まである換気システムの中でも、第1種換気を入れるのですが、これが吸排気するときに熱交換もしてくれるという優れものです。高いけど。


Q5 漆喰や無垢の木など、呼吸する素材と高気密って相性悪い?

A5 相性悪くありません。高断熱高気密のわがやで、漆喰も無垢フローリングもやってます!

前述の24時間換気により、家の中は常にフレッシュな空気が循環してるので、呼吸する素材との相性は関係ありません!!!


とりあえず、よく聞かれる質問について答えてみました。
果たして回答として成り立っているかやや不安ですが、
引き続き勉強して、また書きます!!!!

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