米国の日本渡航中止勧告は、表向きの理由(新型コロナウイルスの感染状況)だけなのか?
2021年5月24日、米国務省は日本の新型コロナウイルスの感染状況から、渡航の警戒レベルを4段階のうち最高に引き上げ、米国民に日本への渡航を中止するよう勧告。
米疾病対策センター(CDC)が、日本の感染状況を最高レベルの「非常に高い」としたことを踏まえての判断。
確かに、変異株の割合が増えている状況ではあるが、第4波の陽性者数の推移をみると、東京は5月3日、全国も5月12日にピークアウトして減少傾向に転じている。
そして、第3波の山のピークに比べれば、第4波のピークはずっと少ない人数だ。
なぜ、第3波の時にレベル4にせず、今になって引き上げるのか?
それも、東京オリンピック開幕(7月23日)まで、ぴったり2か月というタイミングでの突如の渡航中止勧告は、日本政府にとって非常にいやらしいタイミングである。
米国が、日本政府が承服しない何か政治的な課題に対して、プレッシャー(脅し)を掛けて来たのではないかと見るのが妥当であろう。
アメリカ大使館のツイート
ここでアメリカ大使館のツイートをチェックしてみたい。
5月25日2時ごろ(日本時間)、国務省・領事局の「レベル4:渡航中止勧告」のツイートをリツイート。
25日午前11時ごろ(日本時間)、次のツイートをトップに固定。
今日は、ミネアポリスの警察官によるジョージ・フロイドの残忍な殺害から1年を迎えます。彼の殺害は、米国の政策上の最優先事項である人種的正義と公平性を推進するための世界的な運動を引き起こしました。
ブラック・ライブス・マター 運動が、米全土で盛り上がりを見せる切っ掛けとなったジョージ・フロイド氏の死からちょうど1年に当たるのが、5月25日なのである。
まさに、このタイミングに合わせたかのような「日本への渡航中止勧告」の発表。
G7外相会合
5月3日~5日にロンドンで開かれたG7(主要7カ国)外相会合において、日本の報道では、中国のウイグルでの人権問題についてよりも、「台湾海峡の平和と安定」が共同声明に明記されたことがクローズアップされた。
欧米各国(ファイブアイズの主要国である米・英・加とEU)が、ウイグルでの人権侵害に対する中国への制裁で足並みをそろえる中、日本は「深刻な懸念」の表明だけにとどまっていた。
共同文書の中には、日本の弱腰な態度をごまかすかのような次の一文が、含まれている。
「ビジネス界への啓発、助言、支援を含めて、各国国内で利用可能な手段で強制労働に対して対処する」
外務省のチャイナスクール(親中・媚中派)辺りが、懸命にひねり出して、ねじ込んだ文言であろうことは容易に推察できる。
ユニクロのウイグル人権問題
5月10日、「ユニクロ」製のシャツが1月にロサンゼルス港で押収されていたことが、米税関の文書で判明。
中国共産党傘下の「新疆生産建設兵団」が原材料の綿花の生産に関わった疑いがあるとの理由。
実際に押収されたのはトランプ政権下での出来事だが、政権交代後の3月にユニクロ側が反論したが、却下された。
少数民族のウイグル人に対する人権侵害を「ジェノサイド(集団虐殺)」と認定した前政権の方針を、バイデン政権もきっちりと引き継いでいる証である。
バイデン政権の人権外交
人権問題は、米民主党のバイデン政権にとっては、1丁目1番地の最優先政策なのである。
また、ブリンケン国務長官 はユダヤ系で、ホロコーストを生き延びた義父を持つことから、特に人権問題に対しては厳しい姿勢をとると言われている。
ウイグルの人権問題に対して、煮え切らない態度を示し続ける日本政府&外務省に対し、米国がプレッシャーを掛けて来た可能性はないか注視し、的確に対処する必要がある。
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