『証明写真より魅力的、プロ撮影より安くて手軽…10枚を合成「AI顔写真」をプロフィールに使うのはアリなのか』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.9.19
■証明写真より魅力的、プロ撮影より安くて手軽…10枚を合成「AI顔写真」をプロフィールに使うのはアリなのか
AI写真編集アプリ「Remini」はアメリカではアプリランキングで総合1位なんだそう。
画像生成AIで身近で実用的に使われているユースケースがこの、面接のときなどに使う証明写真をAIに生成させる「AI顔写真」です。
DAU2000万人越えは、生成AIの範疇に留まらず大半のアプリを含めても最上位クラスに位置します。
証明写真機より魅力的、写真館より安くて手軽
そして実際に就職に使った実例では、入社後も証明写真を生成AIで作ったことに誰も気づいていないそう。「盛る」とは違う、ウソにならない範囲で好感度を高めて仕事を獲得するという実利につながるAIの活用法がアメリカではすでに広まっています。
他者が使う競争環境の中でAI利用が加速する
まずは書類選考から始まり、経歴から実力や性格を類推しますが、ルックスも採用担当者の印象に影響を与えます。
ルッキズム批判はありつつ、容姿だけでなく雰囲気、センス、清潔感など写真だけでも伝わる情報はたくさんあります。
少しでも他者より優位に立つことを求められる就職活動において他者がAI顔写真を使い好感度を高める努力をするならば、自分も使わないと損をするという状況にすらなっているとも言えます。
AIの抱える各種問題はあるが、時間と慣れが解決する
瘦せ型や白人風など美醜の価値観バイアスの問題、指や歯を上手に描けない問題、人間の写真家よりは瞬間を切り取る精度が低い問題など、画像生成AIならではの問題はこのAI顔写真のサービスでも抱えています。
しかし多くは時間が解決するでしょう。そしてユーザーの使い方と工夫で解決できる部分もあります。
品質と価格のバランス、そして気軽さ
さまざまな写真がスマホに置き換えられている中、証明写真は未だに街中の専用マシンがあまり台数を減らさずに稼働しています。
これが証明写真用生成AIの登場をきっかけに、ようやくスマホに移行する兆しが見えてきました。
アプリ運営側も生成AIに払うコストがあるため完全無償とはなりません。しかしもともと証明写真マシンにお金を払っていた市場なのと、就職がかかっているという実利のある場面や、これから10年使うパスポートに載せる写真となれば、お金を払うことは納得できます。
証明写真マシンの撮り直しのしづらさや、証明写真を撮るためだけの恰好やメイクをしていかなければならないメンドウさや気恥ずかしさもあり、自宅で何度でも撮り直せて、AIがきれいに仕上げてくれる便利さは本当にありがたいと感じる人が多そうです。
「証明」写真のAI加工はアリか?
本人だと証明するための顔写真が「証明写真」なので、本人とかけ離れた見た目になっては意味を成しません。
しかし、髪型やメイク、服装や背景はAIでなくても変更できますし、ライティングによって全く異なる印象を与えることができるのは写真の特性そのものでもあります。
AIと名乗らなくても、「フィルター」と呼ばれる写真撮影&加工アプリはもともとたくさんありました。目を大きくする、色白にする、あごを細くするなどなど、とても本人だとは言えない加工が施されるアプリは多数あります。
対して、少なくとも「本人」だと思える範囲で、好感度を高めるように修正したり、服装や髪形を自在に変更したりできる「Remini」の目のつけどころは見事です。
運転免許証の写真は、場所によっては持ち込みが可能です。
個人の識別ができるかどうかなどの基準で、持ち込んだ写真を使ってもらえるかが決まります。
基準の中に「写真を修正、合成している」とNGと明記されており、文字通りに読むなら「Remini」のような生成AIで作成した写真は使えないことになります。
しかし持ち込んだ写真を使うかを判断する警察官が、生成AIで作ったものだと気づかず、本人だと証明するのに問題がない映りだと考えれば、おそらくそのまま使われるのではないかと思います。
就職や転職のシーンでも、フルリモートワークの仕事の場合だと、実際に本人と会うことがなく雇うこともあります。リアルに顔合わせする人たちも、履歴書に貼ってあった写真とは「結構違う」人もそれなりに多いため、写真と本人の多少のギャップは就職シーンでは大きな問題にはなっていないのが現実だろうと思います。
アメリカでは証明写真のAI化が急速に広まったというニュースではありますが、日本でも間違いなく普及するでしょう。
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