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『RWA NFT事例「熟成酒NFT」そろそろNFTと言わない方向へ向かうべき』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.8.22


■酒蔵が発行・販売する、熟成酒を保有することができる「熟成酒NFT」を8月17日より取扱い開始!

株式会社FUWARI(本社:東京都千代⽥区、以下、FUWARI)は、⾃社が運営するNFTマーケットプレイス「HINATA」にて、日本全国の各酒蔵が発行、販売する日本酒の所有や実物との引き換えを可能にするNFTの取り扱いを8月17日より開始したことをお知らせ致します。

最近RWA(Real World Assets)NFTの話題を多く挙げがちですが、酒×NFTもRWAという言葉が登場して以降に見直してみるとわかりやすくなったと感じます。

RWAという言葉が登場する前は「NFT」という言葉を全面に出しすぎて伝わりにくい印象でした。正直このリリースもまだNFT時代を引きずっている感じが否めません。「日本酒の現物との引換券を売買しましょう」に尽きますので、徐々に「NFT」と言わない売り方に変わっていくのではないかと思います。


RWAで現物保管と所有権売買を分離

<特徴>
・自分で実物の保管、管理することなく、熟成酒を保有することができる。
・権利確定している日本酒の引き換えを実行すれば、実物の熟成酒を手に入れて飲むことができる。
・NFTの2次流通も予定。

今回の「熟成酒NFT」のプロジェクトで扱われる日本酒は、すでに瓶詰めされているものを扱います。その瓶詰めされている日本酒の現物は酒蔵に適切に保管されています。

そしてNFTマーケットプレイス「HINATA」では、その現物の日本酒の所有権を売買します。

つまり、メルカリのように現物を出品・購入後は現物が即発送される、という形式ではなく、所有権だけを売買します。

所有権を購入しても、年1回の「実物との引き換え権利が確定する日」を過ぎなければ交換することができない仕組みです。そこまでは買った日本酒は酒蔵に保管され続けますし、引き換え手続きをしなければ引き続き酒蔵で保管され続けます。

​※1 品質保持のため、各出品商品ごとに酒蔵にて保管する最大期間を設定いたします。最大保有期間を過ぎても実物との引き換えが行われていない商品につきましては、その時点でのNFT保有者に実物を郵送させていただきます。

酒蔵で保管する最長期間も設定されています。ワインのように100年モノが莫大な金額になるような市場環境は日本酒にはないようです。


NFTという言葉を意識する必要がない

・既にある日本酒の現物は酒蔵にあり、所有権だけを売買する。
・引き換え権利が確定する日が年に1回決められている。
・引き換えの手続きを取るまでは現物は酒蔵に保管され続ける。(最長期間あり)

上記のように「NFT」という言葉を使わずに説明できます。あとはRWAという現物と所有権を分けて売買するという風習が根付くかどうかです。

龍力 純米大吟醸 秋津 Vintage 2012 【720ml】という11年モノの熟成日本酒の売買ページですが、「売価55,000円」「在庫50本」「PayPal、デビットカード、クレジットカードで支払い」と、これだけを見ればNFTや暗号資産を全く意識する必要がありません。

NFTを意識する必要がないのは、買い手側だけではなく売り手側もそうです。まだ「NFTであること」に頼っているし、意識してしまっているように感じます。

来年以降、購入した所有権を二次流通できるようになった際、上記のHinata NFT以外のNFTマーケットプレイスでも売却できるなら、NFTであることを意識・理解する必要はあります。

しかし、現物との引き換え手続きで発送先住所を伝える必要があることもあり、おそらくNFT単体でいろんなNFTマーケットプレイスで売買されることは想定していないのではないかと思います。NFTだけ手に入れてもどこで引き換え手続きをすればいいかが伝わらなくなる可能性がありますし。

Hinata NFTだけで売買され、法定通貨で買えるなら、NFTであることは本当に意識する必要がありません。そしておそらくですが、NFTの二次流通はほとんど起きず、在庫数も50本と多いことから投機的な値上がりもしないと思います。

所有権だけ売買します、現物は引き換え手続きをして受け取ります、という販売方法を普及させた方が、NFT投機筋の中から日本酒好きを探すよりも売れそうな気がします。


酒蔵が酒を造ることを支援する先物販売形式も

今回はすでに瓶詰めされた現物の日本酒を販売していますが、仕込みの段階から先物として日本酒を購入する権利を販売することも仕組み上はできます。

お酒を造るための初期投資を投資家から募ります。酒蔵はそのお金を原資に日本酒を作ります。

杜氏が仕込み、完成までたどり着くこと。完成した日本酒が良質であること。瓶詰めして保管している最中に大地震で失ったりしないこと。など酒蔵が経営上抱えているリスクを共有することで、日本酒の販売益も酒蔵とシェアします。

何年熟成させると利益を最大化できるか、保管しつづけるか出荷するかを投資家は自分の所有分について判断します。

このように、本来は酒蔵の株式を所有しないとできない権利を商品単位で売却することも、RWA NFTであれば可能になります。


クリエイター支援にも広げられる

お酒に限らず、ミュージシャンに音楽を作ってもらうこと、作家に小説を書いてもらうこと、画家に絵を描いてもらうこと、劇団に舞台作品を作ってもらうことなど、クリエイターに先行投資して作品を作る環境を整え、完成したら利益を案分するというスタイルでクリエイターを支援するのもRWA NFTでできることです。

クラウドファンディングは現物をもらう(または買う)ことが多いですが、真に株主のような立場で利益を共有するところが違いです。

これを「NFT」と言わずに実現するのが最終的なカタチなのだろうと思いますし、そろそろ「NFT」と言わないWeb3のクリエイター支援の仕組み化が来るんじゃないかと思っています。


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