『アップルにも影響必至、グーグル敗訴でアプリストア市場揺らぐ可能性。GPTストアや暗号資産決済にも?』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2023.12.13
■アップルにも影響必至、グーグル敗訴でアプリストア市場揺らぐ可能性
Androidアプリの配布マーケットプレイス「Google Play」でアプリや課金アイテムを販売した時の、Googleが取るプラットフォーム手数料の料率や、アプリがやって良い課金方法などの決定権をGoogleが独占しているのは違法だという判決が、アメリカ時間の12月11日に下りました。日本時間でいうと実質昨日ですね。
Googleが決めている販売手数料30%は、アプリ開発者側からするとやっぱり高すぎると感じます。
料率の高さもさることながら、高い料率のせいでアプリの多様性が失われること、イノベーションが阻害されることが問題です。
「激安爆盛りの店」が出せない世界
手数料率が高いと、飲食店にあるような「ギリギリの利益でやっている激安爆盛りの店」みたいなアプリが出せません。料理が1000円以上でないと出せない世界があったらどうでしょうか?
「500円のワンコインで学生さんに腹いっぱい食べてもらいたいんだ、利益はほとんど出ないけど赤字じゃないならいいよ。」
というお店はよく耳にします。まぁさすがに最近の原材料高でなど500円という水準は700円くらいに値上がりしていますが、700円でトントンだったところ、Googleの手数料30%を引かれて700円を手元に残そうとすると1000円で出さなければなりません。
収益の帳尻合わせのためにアプリ内広告が増える原因にもなります。みんなアプリ内広告が嫌いですよね。美容系に多い詐欺まがいの広告、長時間消せないカジュアルゲームの広告が増える一因もプラットフォーム手数料の影響があります。
もっと手数料が安ければ、もっと多様なアプリが登場し、アプリの体験はもっとよくなるはずです。
VAT税も引かれて手取りが半分のケースも
プラットフォームの手数料30%に加えて、グローバルアプリだとVAT(Value Added Taxの頭文字の略、付加価値税)も引かれてアプリ開発者に入金されます。
Price x (1-VAT) x (1-PF手数料)
が実際の入金額になりますので、VATが20%の国だと、Priceの56%しか利益になりません。
アプリの課金売り上げが1000万円あっても、560万円まで目減りします。そのぶん課金要素を増やしたり、課金しないと楽しめないような設計になる原因になります。
税回避の弊害は別の議論であるとしても、アプリサービス側から見ると、VATやプラットフォーム手数料が低いほど良質なサービスを提供しやすくなるのは間違いありません。
暗号資産やポイントでの決済も禁じられる
また、プラットフォームが決めた課金方法以外を選べないのもイノベーションを阻害します。
プラットフォームが手数料を取り逃さないようにするための措置ですが、そのせいで暗号資産決済やdポイント・楽天ポイントなど独自ポイント決済は許されていません。
現在スマートフォンアプリは国別にマーケットが分かれているのでVATを回避することはできませんが、Web側で課金するかたちで、かつ独自の為替相場を持つ暗号資産決済でなら、ごくわずかな手数料でアプリやサービスが提供できるようになるかもしれません。
GPTストアにも影響が及ぶか
Googleが今回の裁判で敗訴したことでAppleにも影響が及ぶことは記事内でも触れられていますが、次のデジタルマーケットプレイスで最も影響があるのはこの「GPTストア」かもしれません。
ChatGPTなどAIエンジンを使った個別具体的なサービスを提供するマーケットプレイスは、汎用性が高すぎて何に使っていいかわかりにくい現在のAIをより実用的にし、普及フェーズに導くでしょう。
しかし、OpenAI社がもしGoogleやAppleのような高額な手数料、指定した決済方法に限定したマーケットプレイス運営を考えていたならば、計画の見直しを迫られるでしょう。まぁ以前から問題になっていたことなので対処はされているんじゃないかと思いますが。
いずれにしても、アプリ開発者とユーザーにとってはプラットフォーム手数料が安いのはありがたいことです。まずはAppleにも影響が及ぶのか、日本などアメリカ以外の国にも流れが広がるのかに注目です。
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