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『Bluetoothの新機能「オーラキャスト」とは。会場や複数人での音声体験に革新を起こす新技術』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.1.17

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■Bluetoothの新機能「オーラキャスト」とは。会場や複数人での音声体験に革新を起こす新技術

Auracastブロードキャスト・オーディオ、通称「オーラキャスト」は、対応送信デバイスから複数の受信デバイスに音声を放送できる新しいBluetooth機能です。この革新的な技術は、スマートフォン、ラップトップ、テレビ、パブリック・アドレスやサウンド・システムなど、様々なデバイスで利用可能で、ヘッドフォン、スピーカー、イヤフォン、補聴器などで受信することができます。

街中をひとり歩くとき、AirPodsなどBluetoothイヤホンを使っている人はとても多くいます。電車の中でもノイズキャンセリング機能で喧噪を遮断して動画を見ている人も多くいます。

また、リモート会議中にヘッドセットを使って会話することもコロナ禍以後はとても増えていると思います。

Bluetoothのイヤホンやヘッドフォン、スピーカーに、そろそろ新機能が付きそうなんです。その名も「オーラキャスト」。

一言でいうと、その場にいる大勢の人に、同じ音声を、同時に伝える、つまり「放送」の機能です。

これがBluetooth Special Interest Group(SIG)の正式認証規格として定められ、対応するイヤホンやスピーカーが今後出てくるようになるということなんです。


これまでのBluetoothは1対1ペアリングだった

Bluetoothで放送、といってもわかりづらいかもしれません。スマホとワイヤレスイヤホンでテレビやNetflixの音は聞けてるし、何が違うの?と。

これまでのBluetoothは、自分のスマホとペアリングしたイヤホンの1対1で接続されて、イヤホンからは自分のスマホの音しか聞こえませんでした。マルチペアリングという複数機器とつなげられる機能に対応したイヤホンでも、原則は1対1でしか音が鳴らせませんでした。

逆に、自分のスマホの音はペアリングしたイヤホンからしか出ないことが保証され、他の人と一緒に音を共有することはできませんでした。

新規格「オーラキャスト」では、

・自分のスマホの音以外に、公共アナウンスなどを割り込ませることができる。
・セミナー会場などで講演者の声を会場全員のイヤホンに一斉に届けることができる。

という、これまでの1対1ペアリングではできなかったことを実現できるようになります。


「オーラキャスト」でできること

1.スポーツバーにあるテレビの音声を自分のイヤホンで聞く
2.PCやスマートフォンからの音声を複数人で共有し、それぞれのイヤホンで再生可能
3.空港の音声アナウンスを、自身の搭乗口に関連する情報だけイヤホンで聞く
4.大型の会場での講演も自身のイヤホンで。言語の選択も可能に

先日行われたCES2024ではこれらの例が挙げられていました。

電波の届く範囲にいる人が同じ音を聞くことができる、というのが基本で、まるで放送です。テレビやラジオの場合は大出力で圏内をカバーしますが、「オーラキャスト」の規格出力では目に見える範囲のエリアです。

ノイズキャンセリング性能が高いイヤホンで電車移動を静かに過ごしたいけれど、駅到着のアナウンスが聞こえないのは不安。というシーンでも、「オーラキャスト」があればイヤホンにアナウンスだけを割り込ませることができます。生でアナウンスの声を聞くよりも、電車の走行ノイズがないぶんクリアに聞き取れるでしょう。

野外音楽フェスやドーム球場などで行われる大規模ライブでは、ステージから離れた席では音が遅延します。スピーカーの置き方や鳴らし方の工夫で遅延を感じさせないように頑張っていますが、「オーラキャスト」対応イヤホンをつけてライブに参加すれば、真に遅延なくライブの音を聴くことができます。


新しい音声サービスが勃興する

「オーラキャスト」対応機器が正式に発売されれば、「オーラキャスト」を活用した音声サービスを立ち上げるチャンスが到来するでしょう。

商店街やショッピングモールに入ったらセール情報が聞こえる、や、美術館に入ると音声ガイドが聞こえる、など、会場ごとに小回りの利いた音声アナウンスに使うこともできそうです。

視覚障碍者向けにガイド音声が常に流れている街づくりや、クルマ向けに道路状況や事故情報などを流すロードサービスもできるでしょう。

コミュニティFMや店内ラジオも「オーラキャスト」発信になるものもあるでしょうし、ラジオでのしゃべり手のニーズも増えそうです。

学校など館内放送を頻繁に使う場所でも、「オーラキャスト」対応のワイヤレススピーカーを設置するようにすれば、放送室と各部屋ごとのスピーカーの配線をなくせて、設備のメンテナンスがやりやすくなります。

音声だけでなく信号も流せるなら、「SoundUD」のように特定のエリアに来たら情報を文字情報を表示するアプリのトリガー信号も「オーラキャスト」で発信できるようになるかもしれません。


規格提唱から1年半、製品版が待ち遠しい

LE Audioサポートのチップが認証され、ここまで策定中であった上位Profileの規格化も最終段階に入り、ついに近日中にLE Audioとしての製品認証の手続きが開始される見込みとなりました。Bluetooth SIGはこれを2022年6月8日に公式発表しました。

「オーラキャスト」の規格が公式発表されたのは2022年6月8日、約1年半前です。それが先日のCES2024で大々的にお披露目されたということで、市販製品の発売が近いのだろうと伺わせます。

サービスの充実はさらに追ってになると思いますが、新しい音声ビジネスを始めるにあたっては全員共通のスタートラインとなりますのでよいチャンスです。設備ビジネス、プラットフォームビジネス、コンテンツビジネスなど、「オーラキャスト」きっかけで音声界隈が賑やかになるのは間違いありません。

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