『NFTは「売る」よりロイヤルティプログラムで活用すべし!』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.10.4
■ブランドで進む NFT ロイヤルティプログラムの導入テスト:顧客と長期的な関係を維持する新たな方法となるか
NFTの使い道としてとても分かりやすいのがロイヤルティプログラムでの活用です。つまり会員制や会員特典ですね。
ここでいう「会員制」とはスポーツジムやアイドルのファンクラブのように初めから会員制が前提になっているものではない、たとえば飲食店や衣料品店などで採用されている来店特典のような緩やかなイメージです。
来店特典は紙のスタンプカードや10枚集めるクーポン券などアナログな方法から始まり、きちんとデータが取れるアプリ化・デジタル化が進んできました。それが時代の針が進みNFT会員権に進化しつつあります。
NFT会員権は、NFTを売って稼ぐ・二次流通ロイヤリティで稼ぐ、ではないNFTの使い方として広まってきています。
■NFTでのロイヤルティプログラムにも従来型の会員DBが必要
実際にNFTでのロイヤルティプログラムを導入しようとした場合に必要になるのは、NFTではなく実は従来型の会員DBや認証システムです。
きちんと顧客データを取ろうとするとNFTだけでは完結せず独自にユーザーデータベースや認証システムを構築する必要もあります。
しかしこれまでの会員DBや店舗アプリなどはNFTに対応していません。
これからの時代、「NFTを会員権代わりに使いやすくするための会員DB+認証システム」が欲しくなります。この会員はどのNFTを持っているのか、何枚NFTを持っているのか、いつNFTを手に入れたのか、などを会員IDと紐づける仕組みを持っているシステムです。
ビジネスチャンスとしては従来型会員DBにNFTの所有状況を紐づけられるシステムに商機がありそうです。
■NFTにはオープンな思想が欲しくなる~CNP Ownersの事例
ロイヤルティプログラムの思想は「囲い込み」です。
ブランド側の囲い込み戦略のためにNFTが使われる場合、NFTである必要性はありません。
複数のブランド・店舗で広くオープンに使えるような仕組みの方がNFTである必然性を作れます。
ブランド側からの発想ではなく、NFTコレクション側から発想すると別の景色が見えます。
新潟の油そば専門店、柿川亭で「Crypto Ninja Partners(CNP)」NFT所有者にチャーシュー油そば1敗無料というキャンペーンを期間限定で実施する発表がありました。
お店やブランドが囲い込みに使うのではなく、CNPホルダーに対して来店誘致プロモーションする逆向きの格好です。またお店独自にNFT会員権を発行することを省き、既存のNFTホルダーに向けて会員特典を提供するようなアプローチをすると見ても良いでしょう。
CNPを通じて疑似的なチェーン店やショッピングモールが出来上がるような使い方になります。
NFTであればウォレットに特定のNFTがあることを確認できればよいため、特定業者の同一システムに統一する必要は必ずしもなく、NFTならでは感が出てきます。
■ロイヤルティプログラムはNFT自体を売って稼ぐより導入メリットが高い
NFTマーケットプレイスが乱立し、買っても転売以外使い道のないNFTばかり売られている昨今、「うちでもNFTを出そう」と企画する場合「売れるのか?」に気を取られがちです。
しかしロイヤルティプログラムにNFTを活用するのであれば、買う側に割引や来店特典などわかりやすい用途を提供できます。
CNPのように複数ブランドを横断した来店プログラムをNFTプロジェクト側が用意している場合、NFT会員権を自社で発行する必要すらありません。
さらに、いくつかの有名NFTを指定して所有者に優遇特典を出すと宣言してしまっても来店誘致になるでしょう。たとえばBAYCを持っている人のみ入店可能な高級Bar、とすれば、おのずと高所得者が集まるお店が出来上がります。(それにふさわしいお店である必要はありますが。)
NFTの「導入」は売るよりロイヤルティプログラムの方が広まりそうな気がします。そしてNFTによるロイヤルティプログラムに最適化した会員制システム、会員DBと認証の仕組みが今後増えてくるのではないかと予想しています。