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『Stripe、Googleカレンダーからの支払いに対応は購買フローを激変させる!?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.6.30

■Stripe、Googleカレンダーからの支払いに対応

Stripeは、Google WorkspaceのGoogle カレンダー上で予約をする際に支払いができる新たな決済機能を発表した。Stripe ConnectとStripe Checkoutをベースに構築され、Google カレンダーの予約ページを通じて、利用者がサービスに対して直接支払いができるようになる。

日々の会議の予定、来客や訪問のアポイントメントなどの予定モノ、タスクTo Do、誰かの誕生日までを登録してGoogleカレンダーを毎日使い、日々の行動の起点にしている人はとても多いはず。

そのGoogleカレンダー上でStripe社が支払い機能を提供するというニュースです。

単にGoogleカレンダーで決済できます、ということに留まらない画期的なサービスに成長する可能性を感じましたので、掘り下げながらご紹介していきたいと思います。

ChatGPTによってGoogleの「検索起点の購買行動」が脅かされつつある現在、Googleカレンダー起点の新たな広告商品によって、コンシューマーの購買フローに大きな影響を与えるかもしれません。


現在の「オンライン予約」のフロー

使い方の例として以下のような予約のシーンを挙げています。

サロンやショップなどが、Google カレンダーを利用して予約を管理している場合、Stripe アカウントに接続し価格を設定することで、店舗の利用者がGoogle カレンダーを通してサービスを予約・支払いまで可能になるもの。客はサービスの予約ページにアクセスし、好みの時間を選択、支払い情報を入力する。この機能により、導入店舗は予約ページ上での支払いが完了するまでの間、他の客からの該当予約枠へのアクセスを制限できる。

現在、美容院の予約を取るときは
1.美容院のサイトやホットペッパービューティーのようなキュレーションサイト上で希望日時が空いているかを検索
2.予定が合えばそのサイト上で予約
3.お店によって、そのサイト上でオンライン決済か、現地で決済
とすることが多いと思います。

しかし、このフローの途中で自分の予定を確認するケースも多くあります。

お店の空き予定一覧を見て「この時間行けたっけな?」とGoogleカレンダーを開き、大丈夫なら予約を取る。

自分の予定と相手の予定をすり合わせるために自分のGoogleカレンダーと予約サイトを比較するというアクションが入るわけです。


Googleカレンダーにまとめれば手間が減る

だったら、自分のGoogleカレンダーにお店の空き予定・埋まり具合を表示して、ひとつの画面の中で行ける日程を確認できたほうが手間が減ります。

予定確認だけでなく、その場で予約と決済まで完了できれば便利。
それを実現するのが今回のStripe×Googleカレンダーの決済サービスです。

お店からすると、自分のWebサイトでStripeの決済サービスを利用するための契約と同等の契約は必要だと思われます。

しかしGoogleカレンダー上で予約と決済ができるようにすれば、自社サイトに予約ページや予定検索機能、そして決済画面などを追加する改修がいらなくなります。

お客さまも店舗も両方、手間が減る。
これはとても合理的です。


Googleカレンダー上でレコメンド・PR機能を追加か?

そしてなにより、毎日見られているGoogleカレンダーでお客さまにリーチすることができるようになります。美容院のサイトは必要な時にしか見ませんから、Googleカレンダー上でプロモーションできれば最高です。

今回のニュース記事にはGoogleカレンダー上でのレコメンドやプロモーションに関する記述がありません。Googleカレンダーで予定調整と予約・決済ができることはとても合理的なのですが、見た目の訴求力がとても弱いのが大きな欠点です。単純にGoogleカレンダーは見た目が寂しいですからね。

派手なビジュアルで新商品をPRしたり、お客さまの来店頻度に合わせて少し前に来店案内を表示するなど、自社サイトではやっていることがGoogleカレンダーでもできるようになれば弱点がなくなります。

今回のStripe連携による予約・決済機能がうまく行くなら、今度はGoogle側がレコメンドやPR機能を追加するのではないでしょうか。

音楽ライブによく行く人に向けては、Gmailに飛んできた過去の予約チケット情報から同じアーティストや関連ミュージシャンのライブをGoogleカレンダー上でオススメする機能をチケットぴあやローソンチケットなどとの連携で実現できそうです。

Peatixでウェビナーの予約をする人には、Googleカレンダー上で興味のありそうなオンラインイベントをオススメ。

NFTの一次販売もGoogleカレンダー上でオススメ。

自分のサイトに集客する手間をなくし、毎日見ているGoogleカレンダー上でオススメすることでリーチを広げるという広告商品が、予約と決済機能付きで提供される。これは画期的です。


人が集まっているところと連携する発想

今回のGoogleカレンダー上で予約から決済までできるようにしようという提案は、Stripe社がGoogle側に持ち掛けたのではないかと思います。

Stripe社はオンライン決済からコンビニ決済など店舗決済まで幅広く利用されてはいますが、個別に営業するのは非常に大変だったはずです。

Googleカレンダーという大勢が毎日見ているポータルになっているところに目をつけるマーケティング発想はとても見事。B2BサービスはテレビCMなどマスプロモーションをしてもなかなか響きにくいですしね。

Googleカレンダーのような超強力なポータルと連携するにはパワーバランスが難しいところですが、自社サービスに閉じずに他と組み合わせる発想はとても大事。今回のStripeのマーケティングアプローチはそういう意味での学びもありました。

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