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『正規版NFT証明「jpnft」SBINFTと提携』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.6.15

■無許諾NFTを完全排除へ。正規版NFTの流通促進を目的に「jpnft」と連携したNFTマーケットプレイス構築に向け、SBINFTとJPNFTが業務提携

JPNFTが運営する、コンテンツIPのNFTに関する公式情報公示プラットフォーム「jpnft」に登録・公示されたコンテンツをSBINFTが運営する「SBINFT Market」にて取引する場合には、jpnftでの正規ライセンス情報照会やjpnft認証マークの表示を通じて、正規NFTであることを確認できるようにします。

正規品の証明を権利者からの申請に基づく登録制度で実現するのが「jpnft」。偽物を掴まされた被害者を減らしNFTの不信感を払拭しようとするSBINFTとこのたび業務提携した、というニュースです。

web3は非中央集権なのだ!権威団体のお墨付きは中央集権的で嫌いなのだ!
という感覚もとても理解できます。かたや一般消費者に広くNFTというものが受け入れられるにはやっぱり安心して買える環境というのは大事なものです。

「OpenSeaは詐欺NFTが多いけれどSBINFTなら安心」というマーケティングアプローチもNFTが一般普及するためにはとても重要です。


正規品の登録と証明を「jpnft」が担う

プレスリリースより引用

JPNFTが運営する「jpnft」とは、日本のコンテンツIPのNFTに関する公式の情報を公示することで、権利者により発行された、または、権利者の有効な許諾の下で発行された正規版NFTと、近年広く流通している無断発行された著作権等を侵害する無許諾NFT等を区別し、安心安全なNFTマーケットの構築に資することを目的としたプラットフォームです。

IP権利者はjpnftに対して正規品であることを申請、正規ライセンス情報をブロックチェーン上にも記録します。

正規ライセンス品であることがWeb上で確認できる状態にしたうえで、消費者はSBINFTからライセンス情報を参照できるようにします。


NFTの多くに証明書が付くかどうかが重要

SBINFTにリストされたすべてのNFTにjpnft認証マークが付くわけではなく、上記図説の中にも「非正規品取下げ」の手続きが載っていることから正規登録品だけを取り扱うわけではなさそうです。また有名IPモノのNFTでも認証マークが付いていたり付いていなかったり、という混在状態になるはずです。

jpnft認証マークが付いているなら本物として安心して買える、という体験を広めてIP権利者側にjpnft登録を広めていくことがとても重要で、ゆくゆくはjpnftに登録するのがスタンダードになることを目指すのだろうと思います。

しかし、もし有名IPモノの多くにjpnft認証マークが付いていない状態が長く続くと、消費者はjpnft認証マークをアテにできなくなります。

認証マークが付いていなくても欲しいIPモノならエイヤで買うしかありませんし、認証マークが付いているから欲しくないIPだけど買うという行動は採らないものです。エイヤが続くと、jpnft認証マークがなくても買うことに慣れてしまいます。

jpnftのIP権利者の登録が進み、IPモノNFTにはjpnft認証マークが当然ついているという状況を早く作ることが、消費者の安心感の醸成にはとても大切です。


商用利用時の窓口機能があると嬉しい

意味や役割はかなり違いますが、音楽業界でいうJASRAC登録のような立ち位置をイメージします。メジャーアーティストならJASRAC登録してるよね、の感覚です。

(実際にはインディーでも登録しますし、NexToneなど別の管理団体に登録するアーティストも多くいます。)

ならばIPとしての利用条件の管理やNFTを商用利用した際の利用料の分配機能もjpnftが担うと、売買以外のNFTの利活用が進むかもしれません。

JASRACは一般のイメージでは「ヤマハ音楽教室に対する権利料請求訴訟」など「取れるところから取ろうとする怖い団体」みたく理解されているかもしれませんが、権利許諾の総合窓口のような機能については楽曲を営利利用しようとする際にはとても便利です。

「今後、NFTクリエイターに向けてのライセンスマッチング機能等も追加する予定であり、ライセンス管理に役立てていただくことも考えられます。」

https://jpnft.io/toEveryOne

jpnftのサイトにも記載のある通り、大手IPが必ずjpnftに登録するようになるならこの窓口機能はとても助かるものになると思います


中央集権的に利権化しないバランスを

IP権利者が許諾した正規NFTであることの認証マークは普及したほうが消費者にとって安心感が高く、NFT自体の一般普及に効果的だと考えます。

一方、jpnftへの登録をしないとNFTマーケットプレイスへの出品ができなくなったり、登録料や更新料、販売時の手数料などがjpnftに入り続ける構造にしてしまうなど、一般から見てjpnftが利権団体だと見做される状況になるとNFTの普及やIP権利者のNFT参入の阻害要因になりかねないことを懸念しています。

(※jpnftの手数料の構造は一般公開されていないので、もしそうなったら、の仮定の話です。)

中間業者の排除、中間マージンの大幅な圧縮やゼロ化、信用の源泉を分散化し権威に頼る弊害を解消することなど、web3の根本の思想性はやはり重要です。

本物のIP権利者かどうかを確認したり、発行したNFTの正規品情報を管理したり、認証マークを発行したりなど手間やコストは当然かかるものの、元々は消費者が安心して正規NFTを買える安心感を提供することが本義ですから、それを超えて利権化するのは受け入れられないでしょう。

一般社団法人であるJASRACと違いjpnftの運営は株式会社で営利企業ですが、「関所ビジネス」はweb3トライブには受け入れられにくいと思いますので、よきバランスを期待しています。

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