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『まとめサイト風に回答するAI「Perplexity」の利点と大きすぎる問題点』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.6.4

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■AI検索エンジンのPerplexityがユーザーのプロンプトに基づいてカスタマイズ可能なウェブページを生成する「Pages」機能を発表

AI検索エンジンのPerplexityが、ユーザーのプロンプトに基づいてカスタマイズ可能なウェブページを生成する新機能「Pages」を発表しました。Pagesは、教育者や研究者、趣味の人々が知識を共有するのに役立つように設計されているとのことです。

検索すると「まとめサイト」が生成されるAI「Perplexity」が発表されました。

これまでの検索エンジンとチャットAIの課題を解消するもので、マルチモーダル化を進めているChatGPTもこちらの方向に進化するかもしれないなと思わされます。しかし、「Perplexity」に搭載されているカスタマイズ&公開共有機能は間違いなくハレーションを起こすでしょう。

「Perplexity」の良い面と、問題になりそうな点を整理してみます。


検索エンジンで情報を探すのは大変

Google検索で知りたい情報を検索し、Webサイトの一覧から知りたい情報が載っているページを探すのは今でも一般的です。

しかし、その中から必要な情報が載っているサイトを見つけるのが大変です。多数の候補の中から適切なサイトを探すこと自体が大変ですし、最近では質の低いアフィリエイト記事が上位を独占するようになり、そのアフィリエイト記事がAIで量産され、ますます検索では情報を探しにくくなっています。

関連性が高そうなものを上位表示したり、検索結果にサムネイル画像を表示して視覚的に選びやすくしたり、「関連する質問」でチャットAI的な要約テキストをまとめるなど、改善はされています。

チャットAIによる要約まとめテキストを最上位に表示するなど、AIを検索エンジンに融合させる試みもされてきました。最近ではRedditから学習したと思われる珍回答がAI要約欄に表示されるようになってしまい悪い話題を呼んでしまいましたが…

このように工夫は積み重ねてきているものの、検索で知りたいことを探すのはまぁまぁ大変でした。


ChatGPTのテキスト回答は分かりづらい

ChatGPTの登場で、知りたいことを尋ねると説明口調のテキストがダイレクトに得られるようになりました。

しかし、物事を全部テキスト文章で説明しようとするので、調べたいテーマによっては理解しづらい場合もありました。

写真や図説などで説明してくれたらいいのに、と思うシーンも少なくありません。

ChatGPTは最新版のGPT-4o(omuni)でマルチモーダル、つまり画像・映像・音などテキスト以外のフォーマットに積極対応する方向性を示しました。しかしメインの使い方では未だにテキストだけで回答してきます。

ストリートアートの歴史をGPT-4oに尋ねると、丁寧に情報をまとめてくれます。しかしやはり、各年代ごとの代表的なストリートアートのビジュアルを見たくなります。

ChatGPTが多くの人にとって取っつきづらいのはこのテキストだけで表示する見た目も大きいと感じます。


「Perplexity」はまとめサイトのかたちで回答するAI

「Perplexity」でストリートアートの歴史を尋ねると、

ストリートアートの歴史について書かれたWebページ風にビジュアル付きで情報をまとめてくれます。

ChatGPTのテキストだけの回答よりずっと取っつきやすいですし、Google検索で得た関連サイトをたくさん開いて自分の頭の中で情報を要約した結果がダイレクトに得られるような感じだとも言えます。

チャットAIの使いづらさ、わかりづらさ、取っつきづらさを解消する、UI/UXのアンサーのひとつだとは思います。


「Perplexity」の問題点

しかしこの「まとめサイト生成」という出力方法は、引用して要約する以上の改変をしているとも言えますし、コンテンツのパクリとも言えます。

出力結果を自分で再編集できてしまうのが、著作権や著作者隣接権の考え方を逸脱していると感じます。

ChatGPTの回答出力を画像入りにしてわかりやすくしよう、というところを超えて、さも「自分で調べてレポートをまとめました」風の編集ができてしまいます。

ChatGPTの結果画面をわかりやすくするだけなら、引用元を示したうえで画像や動画も結果に表示するようになるところまではあり得る進化の仕方だと思えます。

しかし、他人が作ったコンテンツを寄せ集めて自分で作った風にするのはさすがに問題になるでしょう。

さらに良くないのは、この要約~編集した情報をWebページに出力して公開・共有できてしまうことです。

著作権的にダメだろうし、低質なアフィリエイトサイトの量産がますます進んでインターネットがますます汚染されてしまいます。

Perplexityは、「Pagesはあらゆる分野のクリエイターが知識を共有できるように設計されています」と述べており、教育者が生徒向けの包括的なページを作成したり、研究者が自身の調査結果をまとめたレポートを作成して多くのユーザーが自分の研究に触れられるようにしたり、個人が自分の趣味を他の人と共有して熱意を伝えたりするのに役立つとアピールしています。

コンセプトが「知識を共有」にあるためこんな設計になっているわけですが、教育目的で許される引用の程度を超えた使われ方が横行する予感がしてなりません。

Google検索で多数のサイトを掘るのは大変、ChatGPTのテキストだけの説明は分かりづらい、という「調べる」ことに関する課題を解消するのに「まとめサイト風」の出力をするマルチモーダルAIは確かに役立つと思います。

しかし、情報源の提示や引用であることの明示などの作法を守ったAIでないと、インターネットにコンテンツを公開する人がいなくなってしまいます。コンテンツクリエイターへの敬意が足りないAIは、いくら便利でも社会には受け入れられないでしょう。

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