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『今のVRサービスの多くは「ニンテンドー3DS」が最適デバイスじゃないか?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.11.10

■「ニンテンドー3DS」でVRChatをプレイする猛者が現る

2011年に発売された任天堂の携帯ゲーム「ニンテンドー3DS」で、ソーシャルVR「VRChat」をプレイすることに成功した人物がTwitter上で注目を集めています。
(中略)
公開された映像からは、3DS側でスティックなどの入力を行うことで、「VRChat」側が動く様子が見れます。操作感覚は「スクリーン付きのXboxのコントローラー(スティック無し)」と、CaptainTayさんは説明しています。

今日は変わったネタ話を。
でも意外に本質を突いているかもしれません。

「ニンテンドー3DS」でVRChatのアバター表示とコントローラー操作をできるようにした猛者が現る、という話です。

古い携帯用ゲーム機で3Dアバターを動かせるなんてすごい!
というのが正面からの受け止めなのですが、このニュースを読んで最初に感じた感想は

「メタバース」と今呼ばれているもの、「メタバース」に求められているニーズの多くは、このニンテンドー3DS型デバイスの方がマッチしているんじゃないか?

でした。つまりVRゴーグルよりニンテンドー3DS型端末の方が「メタバース」流行る論。


■「3Dホームページ」用途なら3DSの方がいい

いまの「メタバース」はざっくり2種類に大別できると考えています。

・VRゴーグルで視覚情報をハックすることで得られる臨場感を前提にしたサービス

・3D空間で3Dキャラクターを操作して楽しむサービス

前者が本来「メタバース」のあるべき発展形だとは思いますが、後者の方がサービス的にも利用アイディア的にも多いのが実情ではないでしょうか。

VRゴーグルなしで、普及しているPCやスマホで使えるようにしよう、という意思決定をした瞬間、後者になります。すると利用アイディアも言葉は悪いですが「単なる3Dホームページ」になってしまいます。

3D空間で3Dキャラクターを操作して楽しむサービス、3Dホームページを快適に閲覧できるデバイスは、VRゴーグルではなくニンテンドー3DS型端末だと思います。

画面とコントローラーが分割されている。
方向キーやボタン類がキャラ操作をしやすい。
キャラ画面と情報画面を上下の液晶で分割して表示できる。
声で会話も一応できるが、下画面でのテキスト入力がメイン。

スマホだと1画面しかなくコントローラー部分も液晶操作なので不便です。
PCはニンテンドー3DSに近く画面とコントローラーを分離でき、テキストチャットが最も使いやすいというメリットがありますが、持ち運びや移動中の使用には不便です。

つまり、「メタバース」と今呼ばれているサービスのかなり多くを占める「3D空間で3Dキャラクターを操作して楽しむサービス」「3Dホームページ」にはニンテンドー3DS型端末の方が適していると思うわけです。

高価なVRゴーグルを、VRらしい使い方をさせないサービスのために買うのはもったいない。皮肉ではなく本気でニンテンドー3DS型端末を売り出してくれた方が「メタバース」が普及するんじゃないかと思います。


■「3Dホームページ」の良くない使い方

3Dホームページも使い方によっては2Dホームページにはできない体験を提供できるはずですが、多くは失敗しています。

例えばオンラインショッピング。

「キーワード検索→価格でソートして最安値を見つける→クチコミ確認→良ければ購入」が今のECサイトのUXです。

これを「3Dホームページ」にしてしまったよくある悪しき例では、
わざわざ「歩いてお店まで移動する」の負荷をかけ、「商品が物理的に陳列されている見た目」で視界と解像度が悪い・狭くて一覧性が低い・条件で絞り込みやソートできない、クチコミがない。
こんなUXにしてしまっています。

たぶん正しいUXは「詳しい店員に相談してもらいながら、自分の検索力や商品知識では発見できない最適な商品をお勧めしてもらう。」だと思います。

これを2Dホームページでもチャットを駆使するなどして実現できるとは思いますが、2Dホームページの「チャットで相談機能」は無味乾燥感が強くてなかなか使われません。店員が常時張り付いているわけにはいかないという先入観からチャットボットが入れられているケースが多いのも無味乾燥感を強めています。

3Dキャラクターの実在感とフレンドリーさを活用して話しかけやすい雰囲気を醸し出すことができることが、3Dホームページ版ECサイトの良いUXですたぶん。


■本当のVR体験はもう少し先

VRゴーグルの性能にリアリティが足りない、リアリティを実現する通信回線速度が足りない、リアリティを表現したサービスの開発に莫大なお金がかかるなど、期待されているメタバースを実現できるのはもう少し時間がかかると思います。

おそらく5年や10年はかかるんじゃないかと…

その間をつなぐのは3Dホームページでしょうから、そこに最適化したニンテンドー3DS型端末や、スマホをファースト画面にしつつセカンド画面やコントローラーを追加するデバイスなどが発売されれば、意外に使いやすく面白い3Dホームページのユースケースが登場するかもしれません。

MetaQuest2で今体験して垣間見れる可能性から想像すると、本当に並行世界が実現される日がいつかは来る予感はします。まずはゲームからでしょう。でもゲーム以外のユースケースの多くは3Dホームページなわけですから、ニンテンドー3DS型端末はネタ抜きで欲しいなと思います。

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