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『OpenAIが「教育現場に特化したAIツール」の開発を計画中』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.11.20


■OpenAIが「教育現場に特化したAIツール」の開発を計画中

ChatGPTの開発元のOpenAIは、同社の人工知能(AI)プラットフォームを学校で利用する方法を模索している。学校関係者らがAIがカンニングに悪用されることを懸念する中、同社は新たな道に進もうとしている。

ロイターによると、OpenAIのブラッド・ライトキャップCOO(最高執行責任)は先週、サンフランシスコで開催されたカンファレンスで、同社が来年、AIを教育現場で利用する方法を検討するチームを立ち上げる予定だと語った。

サム・アルトマン氏の電撃解任のニュースで持ち切りなOpenAIですが、ゴシップは他に譲るとして、ここでは『OpenAIが「教育現場に特化したAIツール」の開発を計画中』という話題を取り上げたいと思います。


便利なのに使わせない、必要なのに教えない教育現場の改善

ChatGPTなどのAIツールは、生徒のカンニングを容易にするものだと批判され、今年初めに一部の学校や学区はこれらのツールの学校での使用を禁止していた。

ニュースサイトのGovernment Technologyによると、人間の教師とAIのどちらが、より効果的な指導を行えるかを尋ねられた生徒の85%が、ChatGPTの方がより効果的だと回答したという。

実際に触れたことがある生徒に尋ねると85%がAIの有用性を認める一方、学校現場では使用禁止という極端な措置を採るところもあります。

AIの普及を促進したいOpenAIとしては、教育現場で「AI=悪」という概念を刷り込まれることを最も避けたいはずですから、AIは使える・AIに害はない、ということを体験してもらうための教育現場専用ツールの提供は急務です。

学校でだけ使わせない措置を取ったとしても日常生活ではAIを使うシーンはこれから増えていきますし、社会に出ればAIを使いこなせる人のほうが評価が高まります。

教育現場で「便利なのに使わせない・必要なのに教えない」というスタンスが続くのは見て見ぬふりをしているだけで非常に不健全です。


教育現場でのAIの3つの役割

教育現場においてAIは3つの役割があると考えています。

1.AIを教える
2.AIで教える
3.AIで業務を改善する


1.AIを教える

AIのことを生徒・学生に教えることは、これからAIが社会にどんどん実装されていく中で、もはや義務ではないかと思います。ネットリテラシーやSNSでの振る舞いを知らずに社会に出ると危険なように、AIについて無知なまま社会に出ると危険です。

AIとは何なのか、AIが社会に与える正と負の影響、AIが有効な使い方、間違ったことを回答する「幻覚」が起きること、フェイク動画など気を付けるべき悪用例などを、教育現場で教える必要があります。

AIが世の中に存在しないかのように無視することや、一方的にAIが悪であると刷り込むような教育を行うことはあってはなりません。


2.AIで教える

AIは優秀な自主学習ツールになり得ます。

学校では教える年間スケジュールが決まっているため、個々の生徒の学びの深度に応じて教え方や学習範囲をカスタマイズすることが困難です。

AIを教師役にすれば、生徒それぞれの学習進捗に合わせた個別指導が可能になります。

また、学校で習う教科に関する学習はもちろん、社会で起きているさまざまなニュースについて基本的な知識を教わったり、どう捉えるべきなのかを議論する相手になってもらったりなど、人間の教師でも対応が難しそうなことをAIに肩代わりさせることも可能です。

AIが誤ったことが出力する心配を払拭することは現状まだまだ必要ですが、先生役としてのAIの活用は大きく期待されます。


3.AIで業務を改善する

先生は多忙です。教科を教えるだけでなく、教える準備としての教材研究や勉強会への出席、生活面や人間関係の指導、進路相談、運動会や文化祭、修学旅行など各種行事、日本だと部活動も加わります。

そもそもの業務内容を見直すことから必要だとは思いますが、今の業務をAIで改善して時間を作るポイントもあります。

教材研究をAI相手に壁打ちしたり、より分かりやすい副教材をAIに生成させたりなども可能だろうと思います。人間関係の問題が起きた時も、AIに捉え方や対処方法を相談することで、より幅広い意見を知ったうえで対応できるようになります。

多忙な先生たちがAIで業務が少しでも楽になる経験をすることや、AIに指導方法を教わるという体験をすることで、AIが自分や社会に役立つということを実感することができます。

AIの有用性を実感した先生がAIについて生徒・学生に教えるようになれば、AI危険論やAI不要論など現在の社会の実相に合わない発想から抜け出せるはずです。


「教育現場に特化したAIツール」の必要性

ChatGPTの開発元のOpenAIは、同社の人工知能(AI)プラットフォームを学校で利用する方法を模索している。学校関係者らがAIがカンニングに悪用されることを懸念する中、同社は新たな道に進もうとしている。

AI社会において「カンニング」とは?から問わなければならないと考えます。

検索すればわかることを記憶することの無意味さと、自分の頭の中に知識が豊富にないとアイディアが出てこないことを区別することであったり、汗水たらして働く精神論の効果と、対して資本主義社会で求められるチート的な効率性の前では精神論だけでは突破できないこと、しかしチートだけがはびこってもいけないことなど、現代と未来の社会と学校現場のズレは今でもたくさんあります。

AIがこれから社会で当たり前になっていく中で、AIは悪、AIはカンニング、AIは禁止という考え方が学校現場だけで広まるのはとても危険です。学校が無意味なものだと捉えられてしまう恐れすらあります。

OpenAI社が「教育現場に特化したAIツール」を専用に開発しようとしているのは、そんな教育現場と社会のズレを整えるためなのではないかと思います。

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