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『AIチャットボット、進化の過程で“道具”を使い始める。エクセル使いのAIが登場すればAIは次のステージへ』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.6.8

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■AIチャットボット、進化の過程で“道具”を使い始める

OpenAIの競合であるAnthropicは、5月31日に主要な新製品を発表した。この先AIの利便性を飛躍的に高めるには、それがツール(道具)を扱えるようになる必要があることを証明しようとしているのだ。

垂乳根の→母のように、次に来る言葉を統計的に紡ぐ仕組みである現在のLLMには人間の代わりになるほどの超絶進化は期待できないと思っています。

むしろ今のLLMがここまで実用的に進化したことの方に驚きますが、おそらくLLMの次のAIの仕組みは、ChatGPTの競合であるClaudeが試みているように、「道具を使えるAI」や「構造を理解するAI」の方向で進化するのだろうと思います。


計算は計算機でやった方が早い

例えば、Claudeは電卓を使用して大規模言語モデル(LLM)が苦手な数学の問題を解いたり、顧客情報を含むデータベースにアクセスしたり、必要なときにユーザーのコンピューター上にあるほかのプログラムを活用できたりするようになる。

「おはよう」の次に来る文字は「ご」「ざ」「い」「ま」「す」「。」である確率が高い、という処理が基本のLLMは、数学の計算が苦手です。

2 x 3 = 6 のどこにも規則性がなく、確率的に次に何が来るかがわからないためです。

このようにLLMが苦手とする数学計算などは、LLM自身が解く(ふうの処理をする)よりも、計算機を使った方が正確な結果がスピーディーに得られるはずです。

また、AI自身に処理させると膨大なGPUパワーが必要になり、単に計算機を動かすのとは桁違いに大きい電力を消費してしまいます。

これからローカルLLMというスマホなど手元の端末の中で処理をさせるAIを出そうという時にも省電力化は重要になります。

「道具が使えるAI」は、対応できる道具の種類が増えるほどAIが実用的になることを意味しています。


エクセル使いのAI

ChatGPTを活用してエクセルの処理を自動化させたり、複雑なマクロを知識なしで組ませたりするようなAIの活用方法が数多く紹介されています。

しかし、今のこのChatGPTの活用方法は、そもそもエクセルの知識がある程度必要になります。ChatGPTが生成したマクロをエクセル表に組み込む知識や、目的の処理を行うための大雑把な処理手順を知っていないと、ChatGPTに適切なプロンプトでの指示ができません。

Claudeが目指す「道具が使えるAI」では、エクセルという「道具」で何ができるか自体を習熟させること、人間が使うために配置されている各種メニューやボタン類を画面内で把握し、「道具」としてエクセルを人間に替わって操作することを目指すようなものです。

これが完成すれば、エクセル使いのAIが出来上がります。そうなれば、人間のスタッフにエクセルを使った処理を依頼するのと同じように、AIがエクセルを使って仕事を完遂してくれるようになるでしょう。

目的を適切に指示することは必要ですが、道具=エクセルの使い方を教える必要はなく、採用募集の欄に書かれている「エクセルを高度に使いこなせること、実務経験3年以上」みたいな人を雇ったのと同じになるイメージです。


プロゲーマーのAI

ゲーム攻略サイトを作るのに、人間のゲームプレイヤーからの情報が要らなくなる世界線の話を書きました。

NVIDIAが提示したゲーム攻略情報に特化したAIチャットボットは、今でこそ人間が投稿した情報を要約して応答するだけのものですが、未来はAIが人間に替わって実際にゲームをプレイし、攻略情報をまとめて一次情報として公開していくことが未来にはできるのではないかという話です。

これもゲームソフトという「道具」を使いこなして習熟してしまえば可能になるものです。

人それぞれのゲームの上手さやプレイスタイルを千差万別に用意すれば、自分に合ったゲーマーAIエージェントが見つかるでしょう。

パーティープレイを一緒にやってくれたり、対戦相手になってくれたり、FPSゲームでは声で行動を指示してくれたりするようにもなります。

現在でもオンラインで人間同士がつながってプレイしていますが、未来はつながった相手が人間なのかの区別がつかなくなるかもしれません。


人間の構造を理解する画家AI

「道具」が使えるだけではなく、人間の骨格や筋肉などの構造を理解することで、高精度な画像や動画を生成するアートAIも登場するでしょう。

道具の使い方を理解することと、人間や動物の骨格構造や腕の本数などを学ぶことは似ているように思います。LLM的な処理方法では到達できない正確性を追求できるようになり、また生成した画像が構造学的に正しいのかを検証できるようになれば、AIアートの実用性が非常に高まります。


「道具を使えるAI」は本当に人間の代わりに

ChatGPTは確かにすごいし、うまく使えば人間の作業を大幅に効率化してくれます。しかし、ちょいバカでもあり、こんな簡単なことができないの?というシーンが非常に多いのも現実です。

AIが道具を使えるようになると、AIを使いこなすリテラシーが要らなくなることが期待されます。つまり、人間の代わりに仕事をさせられる相手になる可能性があります。

仕事がなくなる危機感が一層強まるだろうと思いますが、人間はより創造性の高い仕事に時間を割けるようになります。

最近のAIの進化スピードは速いものの、LLM発想ではそろそろ限界に到達するでしょう。「道具が使えるAI」が登場すれば、LLMの次のステージへの突入です。今そんなニュースがAnthropic社から出てきたことを考えると、遠くない時期に登場するのではないかと思います。

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