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『AIで死者を復活。AIは現代のエリクサーになるか?』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.4.20

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■「パパ、ママ、会いに来たよ」AIで死者を“復活” 中国で新ビジネスが論争に 「冒とく」か「心の救済」か

世界では今、インプットされたデータから文章や画像などを自動で作り出す「生成AI」の技術が急速に進化しています。こうした中、中国では「生成AI」を使って亡くなった人を「復活」させるビジネスが登場し、論争を呼んでいます。

AIで死者を蘇らせる、AIで不老不死になる。
そんなアイディアはかなり前からありました。

2021年12月30日にも、「HereAfter AI」という故人の声でチャットができるサービスが紹介されています。

死生観は宗教観と密接で人それぞれの価値観に分かれ、AIによる死者復活を冒涜だと感じる人がいるのも理解できます。一方、バーチャルであっても救われる人がいるのもよくわかります。

AIで死者を蘇らせることの是非はここでは置いておいて、技術的に現在はどこまで到達しているのかを見てみたいと思います。


最近では10秒の音源から声を再現できるように

お付き合いもある会社なので引き合いに出して申し訳ありませんが、コエステーションさんを一般的な声の学習例として挙げさせていただくと、指定の文章をたくさん読むほど本人の声に似るというのが常識でした。

しかし最新の音声AIでは、たった10秒の音源からその人の声を再現できるようになりました。もちろん10秒よりも長ければ長いほどよく似るのは変わりません。これまでの技術でも10分程度の音源があれば十分に似た声を生成できると言われています。

上記のVocoflexでは「歌声」とありますが、技術的にはしゃべり声も再現できるそうです。ただし、歌声と違って方言的なイントネーションの再現が弱いため、歌声以外はあくまでもオマケ的な位置づけであるとのことです。

「まだできない」とはいいつつ、現在の音声AIは声質だけでなく口調やイントネーションまで再現を念頭に置けるレベルにあるというのは驚きです。


リアルタイムに声を変換も

AIで死者と会話する際に、ChatGPTが書きがちな言い回しを台本にすると違和感を感じるはずです。また、間の取り方やテンポ感、口癖などをAIで再現するのはまだ難しいと考えられます。

であれば、本人をよく知る人ができるだけ似せるように真似て話した方が、今現在では本人っぽさを演出できるかもしれません。

上記のTBSテレビの映像でも、男性アナウンサーがホラン千秋さんの「語尾を伸ばしがち」などの口調を真似たり、このデモ音声を作ったAIエンジニアの安野貴博さんが岸田首相の口調を真似て話すシーンがありますが、本人の話し方の特徴を捉えた話し方を人間が演じ、声はAIで生成させるという死者の蘇らせ方もあり得そうです。

将来は口調、間の取り方、イントネーション、方言、口癖を学習して台本として出力できる生成AIはきっと登場するでしょう。


表情もフィジカルに再現する

アメリカ国立科学財団が資金提供するリサーチグループが、最新ロボットEmoを開発。Emoの得意技は顔マネです。会話する相手=目の前の人間そっくりに、微妙な表情まで見事に再現します。

2次元の画面だけではなくロボット技術を使ったフィジカルな死者の蘇りに行きつく未来もあり得ます。

アメリカ国立科学財団が、表情を再現できる技術「Emo」を開発しています。

AIで表情の特徴を画像認識で捉え、26個のモーターと26個のアクチュエーターで表情筋を再現しているとのことです。ロボット感はまだありますが、口だけ動いて目が動かないなど昔の顔ロボットや顔CGで起きていた違和感は解消されつつあります。

表情を予測して違和感を消す技術も盛り込まれています。今回はリアルタイムに顔真似する技術として研究開発されていますが、過去の表情データを学習して再現するようになれば、「片眉を上げがち」や「口をあまり大きく開けずにしゃべる」などの本人の表情の癖もフィジカルに再現できるようになりそうです。


メタバースは蘇り場として最適?

 父の死は、メタバース内で永遠に生きる機能のヒントになった。

 近日ソムニウム・スペースに実装される「Live Forever」機能では、仕草や会話をデータ化して、本人そっくりのアバターを作り出すことができる。

 それは本人が死んだ後でも、生前と変わることなく話し、メタバース内で生き続ける。シチョフ氏の願いは、大切な人を亡くした人が、いつでも故人と話をできるようにすることだ。

チェコ共和国のVR開発企業が、2022年からメタバース内で永遠に生きるサービスを提供していました。(今では高性能なVRゴーグルメーカーに転身しているようですが)。

メタバース内に故人を再現して生き続けられるようにしたり、墓参すると本人が登場するなどがコンセプトで、これは生成AIが普及した今のほうが作りやすいでしょう。

今のメタバースのビジュアル的なリアリティが足りないのも好都合です。Netflixで放映中の「三体」で登場するVRのような現実感はありませんが、むしろ再現レベルが低くて済みます。

現実の故人をメタバース内に再現させようとするとリアリティが欲しくなりますが、もともとメタバースに住んでいた住人を、「中の人」の死後もそのままメタバースに住まわせ続けることはかなり実現しやすいはずです。

話した内容、身振り手振り、誰と交友していたかなどがメタバース内のログデータとして蓄えられていれば、それを学習データとすることで再現ができます。

アバターも多くの場合は元からCGですし、技術的な制約から表情も初めからありません。であれば再現はより簡単になります。

永遠の命を得たかったら、エリクサーを手に入れるよりもメタバースに長時間住み続けて学習データを記録し続けた方がいいでしょう。


「永遠の命」AIは着実に広まる

倫理面や肖像権などの課題は確かにありますが、生きているうちに自分の分身AIを作っておいて永遠の命を得たり、アニメの中で死んでしまったキャラクターと命日に会えるようなエンタメを公式が正式に企画するなど、ハレーションが起きづらいところから試されていく可能性は十分にありそうです。

生成AIの進化と普及、マルチモーダル化によって「永遠の命」ビジネスは技術発展と試行錯誤を繰り返しながら着実に普及するのではないかと思います。


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