見出し画像

サッカー漫画(アオアシ)から学ぶ、ビジネスに必ず必要な思考力をいかに鍛えるか? (2/2)

第2章 判断

人間は「判断する関数」である

判断 = 価値基準 x 入力情報(p.90)

と筆者は説きますが、本当に明快な方程式だと思います。価値基準によって判断される、当たり前かもしれませんが、前述の偏見バイアスの通り、各々が持つ価値基準によって判断はなされているとしっかり理解するところが重要ではないでしょうか。
そして、判断は「分けること」である、と筆者は説きます。そして、「分けること」はわかることであると。「わかりにくい表現」とは「分けにくい表現」と明快に説いています(p.93)。これは私自身も体験があって、チームメンバーに度々「箇条書きで3つに分けて教えて」と伝えることがあります。これは箇条書きというのがポイントだったことにいま気づきました。箇条書きで書くと明確に「分け」ざるを得ないのです。

1.1力ー「よい価値基準」を持つには

1.1の状態のひとと0.9の状態のひとが一緒に仕事をするとどうでしょう?0.99になります。このシンプルな算数を紐解いて、作者は**「ご機嫌は価値、不機嫌は罪」**(p.111)と説きます。その価値がある1.1で在り続けるために判断が重要であるとも伝えてくれています。たしかに1つでも多くの局面で1.1で在り続ければ、自分も他人もハッピーに過ごせるし、アウトプットは上がりそうです。リーダーは計画を実行しているときは、明るく振る舞おうということもこの文脈で語ることができそうです。ただし、私もご機嫌でいるのは苦手ですし、多くの人もそうかと思います。**その0.9になったときに1.1に修正する力を「レジリエンス」(p.111)**と表現しています。

うまくいかない「カオス」を楽しむマジックワードは?

うまくいかない「カオス」を楽しみながら、飽きないようにルールの難易度をチューニングしていく(p.118)ことが重要。すっごく共感できました。ここのポイントは個人的には2つあると考えています。 ・そもそもすべてうまくいかないことを前提に考える。そのほうが「折れない」。これって一橋大学院の楠木先生も新著『絶対的悲観主義』ということで語ろうとしていることだと受け止めています。※まだ呼めていない…
・ルールの難易度をチューニングする、ここまで出来たらOKと自分で積極的に1.1になるために判断を下していく
本書では具体的に

「それはちょうどいい!◯◯するチャンス」(p.129)

をマジックワードとして紹介しています。
すべての出来事に「決まった意味」はない
「よい価値基準」を考える際に最も重要な視点があります。から始まるp.129のこの上段にとっても大事にしたい言葉が語られています。

「一切の物事は無職であって、色をつけている(解釈をしている)のは自分自身である」と知ることです p.129

これは『夜の霧』でヴィクトール・E・フランクルが語ろうとしていることでもあったし、前述の『反応しない練習』でも原始仏教の考え方として説かれていることです。
そして、この章で前段で少し触れた「想定内の範囲の中に想定外も入れておく」(p.130)こともカオスのなかで1.1でいるコツである、と説明されています。
ネガティブな状況をいかに「それはちょうどいい、◯◯するチャンス!」という考え方に転換できるか。1.1力をいかに組織の場面場面、ひとりひとりに徹底できるか、1.1をコアに据えて、いかに1.1力を高い人を引き寄せていくか、これはたしかに組織の鍵になりそうですね。

「悩む」と「考える」の違い

いきなり定義から入ります。※仲山さんの定義

悩む  :立ち止まって深刻になる
考える :仮説を作って試す
「問い(仮説)」が不明確で迷ってぐるぐるするだけで判断できないのが「悩む」。「問い(仮説)」が明確で立てた仮説を試すように判断するのが「考える」(p.134)

とも言えます。個人的にはここでは()のなかの仮説というより「問い」がしっくり来て、「問い」がシャープでない場合、問いの背景情報がしっかり共有されていない場合は、そこから考えることの精度が悪くなり、悩むことに陥りがちです。そのあたりは名著『イシューからはじめよ』で詳しく解説されているので、是非読んでみてください。

第3章 実行

「仮説→試行→検証→規範化」を高速回転させる

まずは各フェーズの解説からです。
仮説から検証までは一見普通に見えますが、学びがありました。まず、仮説・問いを立てるにも「良く」ならないといけないです。これは少しニュアンスは違いますが、アイゼンハウアー元米国大統領の「In preparing for battle I have always found that plans are useless, but planning is indispensable」にも通ずるな、と思いました。また、現実が「確定」する。というニュアンスも興味深く、行動は現実を確定させる。結果を出すというより、確定させる、ここでもobservationっぽいニュアンスがあり、興味深いです。
通常コンサルティングワークでは「As-Is」「To-Be」「Fit-Gap」「Action Plan」という流れで行っていたのですが、良し悪しはおいて、「理想」を設定するところがから始めるというのも興味深いなと思ったものでした。
これを本では、「良い試行(=行動)」は「良い仮説」からしか生まれないというふうに表現しています。ココまで来ると、一般的にPDCAと言っているものが、もっと個人の成長に対する方法論として解像度高くなってきていると感じます。

学びの取れ高は「ふりかえり」

つまり検証では「言語化の効能」が重要で、効能は具体的に3つあると解説されています(p.168)。

  1. 頭の整理が出来る

  2. 無意識の行動を意識化できる

  3. 他人に伝達できるようになる

個人的には職位が上がっていくに連れて、3が重要になってきて、言語化の効果に気づいてきたところです。そして、言語化において、他人の言語化を補助することもリーダーとして重要になってきます。それがコーチングの手法を応用した下記のコツが適用できます。

失敗した理由より、成功した理由を聞いてもらう(聞く)。そして「事実」を整理するように促す。p.170, p.171

ふりかえりの作法「事実→解釈→規範化→適用」

いままで話したまとめとしてふりかえりの基本形として、このように4ステップを提示してくれています。(p.172)

  1. 何が起こったか

  2. どう考えたか

  3. 得られた学びはなにか?

  4. 次どうするか?

これはコーチングのステップに非常に類似していて、個人的にはとても腹落ちしました。

「知る」と「わかる」、「できる」と「している」の違い

なんとなくわかっていて、言語化がしきれていなかったこの「知る」と「わかる」のキャズム。これは山口周さんも「思うにわたしは価値あることはすべて独学を通じて学んだと思う」と話していたことに似ていて、「独学レベルと言えるまでに個別具体的な経験に落とさないと意味がない」ということだと理解しています。 この図表が秀逸なので、引用させてもらいます。(p.194)※右から左なので注意
知るとわかるには知識の壁(抽象化?)があり、
できるとしているには習慣化の壁がある、ということです。


第4章 才能

自分の才能は、自分が一番気づいていない

自分の才能は、自分が一番気づいていない、と筆者は語ります。たしかに

自分にとっては自然に苦もなくできることなので、「こんなんことは誰にでもできる」と思いこんでしまいがち(p.221)

ですよね。強みが認識できていないと、強みとして自分で使えないので、もったいない、たしかにそのとおりだと思います。
この章で書かれていることはビジネスの思考力とは離れるので割愛します。

最後に…

長文の写経となってとっても疲れましたが、再度読み返して勉強になりましたし、これから布教活動してさらに血肉化します。皆さんも是非手にとって読んでみてください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?