[いただきました] 今野晴貴・藤田孝典編著『闘わなければ社会は壊れる――〈対決と創造〉の労働・福祉運動論』(岩波書店、2019年)
今野晴貴・藤田孝典編著『闘わなければ社会は壊れる――〈対決と創造〉の労働・福祉運動論』(岩波書店、2019年)をいただきました。ありがとうございました。
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本書の強い関心は「はじめに」にあるように、「『対決』を避けた制度論議は、結局はさらなる規制緩和に没していった」(v~viiページ)ということからいかにして距離を取り、「対決と創造」のプロセスを日本社会に取り戻すということにあるでしょう。
「共助の必要性を語り、政治利用とともに子ども食堂を推進することに終始したり、政治領域から選挙運動のみを通じて社会を変えるように標袴したり、リフレ政策やベーシックインカムの議論に終始し、幻想的な世界を信奉するなど、個々の権利闘争を擁護する社会運動の現場に背を向けている」(233~4ページ)という状況は、1990年代以降の日本社会そのものであるといってもよい。
こうした観点から、本書は以下のような構成で編まれています。
はじめに(今野晴貴・藤田孝典)
第一部 福祉運動の実践をどう変革するか?
1 みんなが幸せになるためのソーシャルアクション(藤田孝典)
2 ソーシャルビジネスは反貧困運動のオルタナティブか?(渡辺寛人)
3 不可能な努力の押しつけと闘う(後藤道夫)
第二部 「新しい労働運動」の構想
4 新しい労働運動が,社会を守り,社会を変える(今野晴貴)
5 年功賃金から職種別賃金・最賃制システムへの転換(木下武男)
第三部 ポスト資本主義の社会運動論
6 経済成長システムの停滞と転換(宮田惟史)
7 福祉国家論の意義と限界(佐々木隆治)
おわりに(今野晴貴・藤田孝典)
「制度・政策」それ自体はよくも悪くもありませんが、「制度・政策」のみに関心を集中させることは弊害が大きい。後者の風潮に一石を投じる書物として、読まれるべき作品です。
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