森原康仁 (MORIHARA, Yasuhito)

専修大学経済学部准教授。立命館大学国際地域研究所客員研究員。京都大学博士(経済学)。単…

森原康仁 (MORIHARA, Yasuhito)

専修大学経済学部准教授。立命館大学国際地域研究所客員研究員。京都大学博士(経済学)。単著に『アメリカIT産業のサービス化』(日本経済評論社)、共編著に『新版 図説 経済の論点』、共著に『入門 現代日本の経済政策』など。共訳にD・エジャトン『戦争国家イギリス』。

最近の記事

[いただきました] 村上研一『再生産表式の展開と現代資本主義――再生産過程と生産的労働・不生産的労働』(唯学書房、2019年)

村上研一『再生産表式の展開と現代資本主義――再生産過程と生産的労働・不生産的労働』(唯学書房、2019年)をいただきました。ありがとうございました。 https://amzn.to/2y8LGzY 長年にわたるマルクスの文献研究の重要論点のひとつであった、生産的労働/不生産的労働の内容および区別を精緻におこなっている仕事です。本書の立場は「価値法則が貫徹する領域の労働を価値形成労働、すなわち生産的労働と把握」し「『資本論』での分析対象である『生産的消費』の領域に属する労

    • [いただきました] 奥田宏司・代田純・櫻井公人編『深く学べる国際金融――持続可能性と未来像を問う』(法律文化社、2020年)

      奥田宏司・代田純・櫻井公人編『深く学べる国際金融――持続可能性と未来像を問う』(法律文化社、2020年)をいただきました。ありがとうございました。 https://amzn.to/2XtsKXp 「ドル体制」という概念を軸にした平易な国際金融のテキストの続編です。ドル体制とは、金とドルの交換が停止された現代においてもなお米ドルが基軸通貨として機能し、またそれを土台としつつドルの国際信用連鎖が形成されている体系を指します。同時に、こうした体系のもとで各国はドル体制の維持に

      • [いただきました] 大橋陽・中本悟編『ウォール・ストリート支配の政治経済学』(文眞堂、2020年)

        大橋陽・中本悟編『ウォール・ストリート支配の政治経済学』(文眞堂、2020年)をいただきました。ありがとうございました。 https://amzn.to/2Rw6KHy 「金融化」という概念をベースに、ウォール・ストリートの市場支配を政治権力との関係で論じようとする論文集です。序章では以下のように整理されています。 金融サービス・セクターは経済政策や制度を自らの利益を実現するように方向づけるが,その過程は同時に中間層,労働者階級からの経済力と政治力の奪取を意味し,政府

        • [いただきました] 八木信一・関耕平『地域から考える環境と経済――アクティブな環境経済学入門』(有斐閣、2019年)

          八木信一・関耕平『地域から考える環境と経済――アクティブな環境経済学入門』(有斐閣、2019年)をいただきました。ありがとうございました。 https://amzn.to/2MIFwwK ぱっとみた想定の印象からもわかるように、本書は意欲のある人ならば、高校生でも読み通すことができるようにつくられている環境経済学の入門書です。 著者の八木信一さんは資源の再利用や再生可能エネルギーの専門家。関耕平さんは地方財政や地域経済・産業の専門家です。お二人の専門からも想像できるよ

        [いただきました] 村上研一『再生産表式の展開と現代資本主義――再生産過程と生産的労働・不生産的労働』(唯学書房、2019年)

          [いただきました] 秋山道宏『基地社会・沖縄と「島ぐるみ」の運動――B52撤去運動から権益擁護運動へ』(八朔社、2019年)

          秋山道宏『基地社会・沖縄と「島ぐるみ」の運動――B52撤去運動から権益擁護運動へ』(八朔社、2019年)をいただきました。ありがとうございました。 https://amzn.to/2ND2pkw 本書の定義する「島ぐるみ」とは、「一つの地域を超えて沖縄の多くの人びとに問題意識や意見が共有され、特定の課題について集合的な解決へと向かおうとする一連の動き」(20ページ)。これは、「生存」の視点、すなわち戦争/占領体験に裏打ちされた生活や生命を守ろうとする人びとの運動を重視す

          [いただきました] 秋山道宏『基地社会・沖縄と「島ぐるみ」の運動――B52撤去運動から権益擁護運動へ』(八朔社、2019年)

          [いただきました] 那須野公人『グローバル経営論――アジア企業のリープフロッグ的発展』(学文社、2018年)

          那須野公人『グローバル経営論――アジア企業のリープフロッグ的発展』(学文社、2018年)をいただきました。ありがとうございました。 https://amzn.to/2zqhVrJ 「リープフロッグ」とは蛙飛びという意味。したがって、変化に飛躍があるということです。東アジアの新興国の工業化はこうした一足飛びの変化の好例を提供しているようにみえます。本書も触れている、台湾のフォックスコンによるシャープの買収は最近の印象的な事例でしょう。 なぜこうした飛躍的な発展が起こった

          [いただきました] 那須野公人『グローバル経営論――アジア企業のリープフロッグ的発展』(学文社、2018年)

          [いただきました] 榎津幸広・清末愛砂編集代表『公文書は誰のものか?――公文書管理について考えるための入門書』(現代人文社、2019年)

          榎津幸広・清末愛砂編集代表/飯島滋明・池田賢太・奥田喜道・永山茂樹編『公文書は誰のものか?――公文書管理について考えるための入門書』(現代人文社、2019年)をいただきました。ありがとうございました。 https://amzn.to/2zsiAJu 公文書は公務員のための文書ではなく「主権者のための文書」である――。これが、憲法の要請するところです。こうしたきわめて常識的で基本的な観点から、公文書管理やその取扱いについて、やさしく、かつ包括的に整理したものが本作品です。

          [いただきました] 榎津幸広・清末愛砂編集代表『公文書は誰のものか?――公文書管理について考えるための入門書』(現代人文社、2019年)

          [いただきました] 今野晴貴・藤田孝典編著『闘わなければ社会は壊れる――〈対決と創造〉の労働・福祉運動論』(岩波書店、2019年)

          今野晴貴・藤田孝典編著『闘わなければ社会は壊れる――〈対決と創造〉の労働・福祉運動論』(岩波書店、2019年)をいただきました。ありがとうございました。 https://amzn.to/3288Ksd 本書の強い関心は「はじめに」にあるように、「『対決』を避けた制度論議は、結局はさらなる規制緩和に没していった」(v~viiページ)ということからいかにして距離を取り、「対決と創造」のプロセスを日本社会に取り戻すということにあるでしょう。 「共助の必要性を語り、政治利用と

          [いただきました] 今野晴貴・藤田孝典編著『闘わなければ社会は壊れる――〈対決と創造〉の労働・福祉運動論』(岩波書店、2019年)

          [いただきました] 本田浩邦『長期停滞の資本主義――新しい福祉社会とベーシックインカム』(大月書店、2019年)

          本田浩邦『長期停滞の資本主義――新しい福祉社会とベーシックインカム』(大月書店、2019年)をいただきました。ありがとうございました。 https://amzn.to/2HtTGxq 著者の長期停滞 secular stagnation の原因についての認識は「生産性の不十分さにあるのではなく、生産力の飽和状態にある」(16ページ)というもの。著者の基本的な認識に同意ですが、ドイツの社会学者・ハインを引用しながら、「サマーズが長期停滞の基礎に需要サイドの問題があると言う

          [いただきました] 本田浩邦『長期停滞の資本主義――新しい福祉社会とベーシックインカム』(大月書店、2019年)

          [寄稿] 『教育』2019年1月号|企業社会日本の雇用のゆくえ

          『教育』2019年1月号に「企業社会日本の雇用のゆくえ」という論説を寄稿しました。その一部を転載します。  つまり、日本企業に勤務する多くの労働者は、会社側が労働条件を一方的に変更しても「しかたのないこと」と甘受してきた面があるのです。神戸大学の服部泰宏氏の実証研究によれば、こうした会社側の一方的な変更のショックは労働者側が吸収してきた側面が強い。これは、労働者へのコストのしわ寄せにほかなりません。  さて、こうした日本型雇用はすでに崩壊しつつあります。理由は、非正規雇

          [寄稿] 『教育』2019年1月号|企業社会日本の雇用のゆくえ

          [寄稿] 『中部経済新聞』2019年1月8日付 | G20ブエノスアイレス首脳会議――デジタル課税での連携の背景

          『中部経済新聞』2019年1月8日付けに論説(「G20ブエノスアイレス首脳会議――デジタル課税での連携の背景」)を寄稿しました。その一部を転載します。  「我々は、引き続き、経済の電子化が国際課税システムにもたらす影響に対処するため、2019年の進捗報告及び2020年までの最終報告書により、コンセンサスに基づく解決策を追求すべく共に取り組む」。  これは、2018年11月30日・12月1日に開かれたG20ブエノスアイレス首脳会議の「首脳宣言」の一節である。宣言のうたう「経済

          [寄稿] 『中部経済新聞』2019年1月8日付 | G20ブエノスアイレス首脳会議――デジタル課税での連携の背景

          川名晋史・佐藤史郎編『安全保障の位相角』(法律文化社、2018年)

          川名晋史・佐藤史郎編『安全保障の位相角』(法律文化社、2018年)をいただきました。ありがとうございました。 https://amzn.to/2QOy0ly 著者らのいう「位相角」とは、以下のような意味。 本書は二項対立の図式にもとづく従来の言説空間を一次元的な空間ととらえる。左右の極から互いに紐を引っ張りあうような空間である。そこから、個別のイシューごとに対立的な2つの要素を抽出し、それぞれを縦軸と横軸として展開することで、新たに二次元の空間を創り出す。それは、単な

          川名晋史・佐藤史郎編『安全保障の位相角』(法律文化社、2018年)

          [寄稿] 技術進歩による「雇用なき成長」 | 世界経済評論IMPACT

           世界経済論IMPACTに「技術進歩による『雇用なき成長』」という文章を寄稿しました。  ライアン・エイヴェント『デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか』(月谷真紀訳,東洋経済新報社)を参照しています。  よろしければ、ぜひご一読ください。

          [寄稿] 技術進歩による「雇用なき成長」 | 世界経済評論IMPACT

          [いただきました] 寺西俊一ほか編『農家が消える――自然資源経済論からの提言』(みすず書房)

          寺西俊一・石田信隆・山下英俊編『農家が消える――自然資源経済論からの提言』(みすず書房)をいただきました。ありがとうございました。 戦後日本に消滅した農家の数は累計で400万に上ります。本書は農家の消滅が「やむをえないこと」ではなく、「自然資源経済論」という視点から、持続可能な農業・農山村の維持・保全に向けた提言をまとめたものです。 では、「自然資源経済」とはなにか。編者の寺西俊一氏は次のように整理します(寺西「いま、なぜ自然経済論か」5-6ページ)。 じつは、「自

          [いただきました] 寺西俊一ほか編『農家が消える――自然資源経済論からの提言』(みすず書房)

          [いただきました] 秋野晶二ほか編『グローバル化とイノベーションの経営学』(税務経理協会)

          秋野晶二・關智一・坂本義和・山中伸彦・井口知栄・荒川将志編『グローバル化とイノベーションの経営学――開かれた市場と企業組織による調整』(税務経理協会)をいただきました。ありがとうございました。 サブタイトルにあるように「開かれた市場」が深化しているにもかかわらず、「企業組織による調整」はかならずしも衰えていません。本書の一貫した問題関心はこの点にあります。序章「成長様式の転換と市場における調整」(秋野晶二)はこの点についてこう述べます。 「そこで本書では、現状を考察す

          [いただきました] 秋野晶二ほか編『グローバル化とイノベーションの経営学』(税務経理協会)

          [寄稿] ​『月刊リベラルタイム』2018年12月号

          ​『月刊リベラルタイム』2018年12月号に、「国際分業と人材で急伸の『IT産業』にトランプ氏の影」を寄稿しました。その一部をご紹介いたします。ぜひご覧ください。 トランプ政権の排外主義的な政策は、シリコンバレーやアメリカのIT産業にとってのリスク要因です。それは、この国のIT産業が、製造部門を新興国に移管し、優秀な人材を世界各地から吸引して成長してきたからです。シリコンバレーの現政権への反発は、そうした背景があります。

          [寄稿] ​『月刊リベラルタイム』2018年12月号