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新しい扉

23歳、貯まった500万は自分に自信をつけてくれて、いよいよ独立へ少しずつ希望が見えてきた。独立する場所はどうするか、恵比寿なんかほとんど行ったことないのにぼんやりと恵比寿あたり。
正直なところ、どこでも良かったのかも。
カフェで働いていると店によく遊びに来てくれる、デザイナーさんにどこがいいかを相談した。
自分が働くカフェを探している時にカッコいい!と見つけたお店のデザインしているデザイナーさんに相談すれば、もしかするとデザインしてくれるかも、、なんて淡い期待というか、不純な気持ちはもちろんあって、
そこは計算していた23歳。
次男坊で生まれ、長男の良さそうな所は真似て、怒られているところはやらないし、兄貴の友人たちと一緒に遊びたかったから、自然と年上の人とコミュニケーションを取る事が好きだったのかもしれない。

事務所が白金にあるというデザイナーの福田さんが店に遊びに来た際にはよく会話をしていて、自分がお店を出したくて今探してるんです。と相談すると
「それなら、最近おれがよく行くオリジン弁当潰れたよ。」
白金なんて行ったことも、聞いたこともなく、どこですか?とも聞けず、
「今度の休みで見に行きます!!」
それが自分の人生の一つのターニングポイントでもあった。

白金の街並みは風情ある店が多い

白金と調べるとたいていシロカネーゼ という言葉で洗練された高級住宅街のような雰囲気のイメージだったが、バスを乗り間違えて、アタフタしながら物件を見に行くとなんか割と下町感あるなぁという記憶。
不動産屋の方と一緒にデザイナーさんも、カフェのオーナーさんもわざわざ来てくれて、店の状態を見てくれた。
角地、バス停がすぐ横にあり、大きな病院が目の前にある。
バーガー屋でデリバリーのバイトをしていた頃に、病院に向けて散々配達していたので、需要があるのも理解していたし、なによりもオリジン弁当が角地の立地を全く生かさずに、大きな窓をびっちりと全面にシートで塞いでいて、それを剥がしたら中が良く見えてめちゃくちゃ良くなるんじゃないか、という妄想が膨らんでいき、
なんとかなるでしょ!
大きな期待と変な自信と一緒に共に物件を決めた。

元はオリジン弁当

物件が決まるとドンドンと話が進んでいく。
融資の相談に行っても、正直物件が決まらないと何も進める事が出来なく、何も感触がなかったが、物件が決まっていると次はこれを用意してと、書類が必要になってくる。貯金と共に両親が毎年のお年玉や、自分の将来に残してくれた100万円を合わせて600万。ただ、それも物件を取得する際に払う、保証金や前家賃で400万円以上、スコンと消えた。
融資は手元の金額によって評価されるので、お金をプールしたいが、契約しないことには始まらないので融資の段階ではほぼお金なしの状態。
であったのにも関わらず、融資が満額おりたのは、保証人に長野の叔父、叔母がなってくれたから。
23歳の若造の保証人になんか誰もなりたくないだろうのに、快く受け入れてくれたのは今考えると凄いことだ。
自分がお店をやれたのも叔父、叔母の存在があったからで、毎年オープンした日には電話で感謝を伝えることにしている。(感謝してもしきれない)

はじめての図面
憧れのpastis

デザイナーの福田さんと一緒に打ち合わせした際に、Pastis というNYにあるフレンチビストロの写真を見せてもらい、それはまさに自分が好きなNYのイメージそのもので、その写真からイメージを膨らませていった。しかも予算内で、という無理難題は相当苦労がいったはず。
店のカラーは白と黒で落ち着いた感じ。そこにステンレスの無骨さと白いタイルも使い、アクセントで木の温かみが入り、床は艶ありのモルタルで。
自分の好みを理解し、それを空間に落とし込む仕事ぶりで、初めて福田さんから店のパース(イメージ)を見せてもらった時は感動した。
キッチンのレイアウトや、業者なども相談にのってくれたオーナーの篤さん。
こうやって事業計画書書いたよ、とか親身になって考えてくれた。
この2人がいなくてもお店は出来ていなかったし、その友人のHPデザイナーさんに
格安でHPも作ってもらったり、最初のチラシ作りをお願いしたりと徐々に店作りは進んでいった。
工事業者も若くて頑張ってるから、と最後はかなり割引してくれてなんとか予算内に収まった。

オープニング用チラシ

沢山の人が応援してくれて、今のお店があるなぁと改めて思う。
自分は24歳という年齢でお店を出すことになる。
約3年半、人よりも倍働いたと思う。
早いかもしれないけど、自分はそう思っていなかったし、自分の友人も遂にだね!と言ってくれたのが印象深い。
12月に契約して、家賃が発生。
1月の初めは工事する人も正月休みで、なかなか進まず、自分で塗装できるところは塗装していった。
友人や親戚が来てくれて手伝ってくれた。
お金もほとんど残ってない状態で、店の備品などを買いまくり、不安半分、ワクワク半分。 

1人で塗装

白金の美味しいバーガー屋さんでもあるし、
バーガーだけじゃなくて、コーヒー一杯からでも気軽に入れるカフェの様なバーガーショップ。
まずは地域で1番のお店になろう。
白金といえば!となれたら良いよね。
そんなことを言っていた気がする。

そして、2008年3月3日、遂に自分の店がはじまる。

いつかつづく

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