DEANIMA UNBLENDEDについて


 EXTAR PROTONの前にDEANIMAについて書いておかないと、この先に機会は訪れないだろうということで。
 大したことは書きません。オーダーフレームは極めて伊達と酔狂の世界で、算盤ずくの買い物ではないからです。フレームやブランドへの恋心が購入へと駆り立てるものだと信じています。
 当時、カーボンフレームが欲しかった自分に「一度は乗っておけ」と、伊那から京田辺へUNBLENDEDの試乗車を送りつけられたのが17年の冬。そこからオーダーまでは早かった。
 本記事がフレームオーダーの参考になれば幸いです。

 なお、この自転車とブランドについては以下のページが詳しいので参考にされたい。

https://arteciclo.org/de-anima/

https://www.instagram.com/p/CPJX7zLBUHL/?utm_medium=copy_link

 DEANIMAに吊るしのフレームはなく、全てイタリアでのハンドメイドである。オーナーの体格に合わせたカスタムジオメトリで製作される。ジオメトリはバイクの性格を決めるが、乗車姿勢を固定するものではない。自分もオーダー当初よりステムが長くなっているし、それで問題を感じていない。恐れず発注して欲しい。

 ペイントはジャンニ・ペゴレッティのデザインで、同じ工房で行われる。フレーム製作からデザイン、ペイントまでインハウスである。それでいて納期が早かったが、NAHBS 2018で受賞する前のことなので今はどうだろうか…

 オーダーの実際はアトリエ・キノピオが仲介に入るのでスムーズだ。カスタマーは日本語でキノピオに相談できるし、そのニュアンスがDEANIMAへ誤解なく伝わる。これは、キノピオの安田さんが「イタリアでの実務経験を持ち、言葉と文化に精通したデザイナー兼ペインター兼ビルダー」という稀有な素性の持ち主だから実現している。

 乗り味について、やくもさんの記事で「クロモリ乗りならわかる(ニチャア」などと思わせぶりなことを言いましたが……すまん、ありゃ嘘だ。平坦も登りもしっかり踏まされる。東レT800カーボンの極太パイプが柔らかいわけがないのだ。120kmほどの短い距離をバチバチ踏むライドが適当で、200kmを超えると足が売り切れる。凡そ踏んで撓むような柔さは持ち合わせていない。
 真髄は下りにある。コーナーに対して、どこまでも鋭く切れ込んでいく設計が抜群に楽しい。それでいて操舵はピーキーでなく、狙ったラインにしっかり追従する安定性がある。UNBLENDEDはロードのダウンヒルを楽しむために生み出されたフレームだ。


 たぶん、本邦にDEANIMAは10本ぐらいしか存在しないのではなかろうか。オーダーフレームを欲しいと考えているあなた、是非ともDEANIMAを買え。そして乗れ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?