見出し画像

溢れ出る雨水の流れ

 この数日間、続いていた大雨は森や畑から溢れ出し、ついには馬小屋へと続く林道を川となって流れ出してしまいました。朝になって雨が止み様子を見に行くと、ゴツゴツとした大きな石や下地の赤い粘土が見えているほど林道の砂利を麓まで押し流しています。軽トラでなんとか通れるくらいになってしまいました。雨水の流れ方を見ながら、どのようにこの場所をデザインしていくか、この場所のあり方を考えてみました。

画像1

 馬小屋のある場所は、なだらかな尾根に挟まれた谷の上側にあり、そこまで麓から谷をまっすぐに道が登っています。道の両脇には畑があって、放棄されたままになっていたところを放牧して農地に作り変えているところです。
 この場所に降る雨水は谷の低いところ、元々あったこの道に集まってきてしまいます。そもそもそんな場所なら雨水が集まってしまうので、道の脇に水路があったのですが、それも人が使わなくなってから埋もれたままになっていました。この水路は掃除しても、すぐに土砂が流れ込んでしまいました。

 まず、この砂利道に水切りを幾つか仕込み、道の上を流れる雨水を道の外に流し出しました。しかし流れた砂利で、水切りもすぐに溜まってしまい、水切りを乗り越えて流れ出してしまった様子が見られました。この水切りは丸太からゴム板のせの高いものに変えていく必要がありそうです。

画像2


 雨の降水量が年々増えていることを考えると、雨水がすぐに大量に流れてこないように、水の流れを穏やかにして分散させていくように、この土地の全体的な構成を見直していく必要があります。

 そもそも、この道がまっすぐなのは良くない。曲がっていれば、こんなに雨水が集まって川のようになるはずはないのです。しかし、この道は敷地の境界でもあり、今さら作り変える訳にはいかないようです。

 せめて、水切りで道の外に出した雨水が、また道に戻らないように水路を外に向けて分散させることができれば、水量が減らせます。横に畑が続いているので、畑のない下流の方で水道を分散させていくことはできそうです。


 道に雨水が集まってくるさらに前の段階として、周辺の畑に溝切りして表面を流れてきた雨水を浸透させました。その溝もまっすぐではなく蛇行させたり穴を掘ったりして水の勢いを緩くさせます。斜面に垂直に、畑の区切りに深めの溝を入れて行きます。

 畑の土は上流に行くほど表土が薄くなっていて、一番奥の草のない場所では表土が既に無くなってしまっているところがあり、とても痩せています。地面の表面に赤い粘土層が見えている場所。雨が表面を流れ出すと、草のない表土は簡単に流れてしまいます。そこで土の表面に草を生えさせておき土を露出させないようにすれば土を守ることになります。また水の流れも遅くなるようです。草を残す畑は不耕起栽培になると思いますが、耕すにしても畝の形や水の排水場所を蛇行させたりして地形を複雑にしておくと水の流れが遅くなるのではないでしょうか。

画像3


 さらに畑の周りや森に広葉樹を植えておくことも土押さえに良さそうです。水を蓄える機能を高め、土の流出を抑える為にも多様な高低の樹木がある方が良いのではないかと思います。

 100年もかけて1cmほどの土ができるとも言われているのに、雨でそれが流されてしまうのは一瞬です。斜地では特に土の流れは早く、耕作して土がそのまま露出しているような地面では、いつの間にか痩せた土地になってしまうでしょう。明らかな変化が見えにくいだけに、想像力をもって場所を作っていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?