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森見登美彦氏とわたし

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森見登美彦氏との出会いによって、大きく人生が変わったと思っているわたしが、森見登美彦氏について語るエッセイ
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#祇園祭

森見登美彦氏とわたし【聖地に住む編】聖なる怠け者の冒険の巻

私は、年上のパートナーとの東京と京都の遠距離恋愛に耐え切れずに京都へ移住してから京都を離れるまで、祇園祭の宵山見物は毎年欠かさなかった。 7年ほど前だっただろうか。おそらく私は、24~25歳だったはずだ。 ある宵山の日の朝、私とパートナーは本能寺のそばにある喫茶店で朝食をとった。 充実した土曜日の朝は、熱い珈琲とタマゴサンドウィッチから始まるのだ。 その日の私は、濃紺の浴衣を着ていた。 パートナーはワンピース姿。 アンバランスな二人で並んで歩きながら、いつもとは様子が違う

森見登美彦氏とわたし【聖地に住む編】宵山万華鏡の巻

学生時代から続いた東京と京都との遠距離恋愛に終止符を打ち、半同棲というゼロ距離恋愛をすべく京都へ移住してからおよそ3か月。 初めての祇園祭で訪れた宵山の喧騒を、思い出してみる。 まだ、四条通の歩道が狭かった頃。 四条寺町あたりから人の波に飛び込んだ私たちは、人の波に飲まれながら長刀鉾を見上げ、四条烏丸交差点でも波から逃れることはできず、西へ西へと流されていた。 ようやく本流から抜け出して新町通りを下がってみるも、さらに密度を増した人の波に飲みこまれていた。 その間、私たち二