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森見登美彦氏とわたし

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森見登美彦氏との出会いによって、大きく人生が変わったと思っているわたしが、森見登美彦氏について語るエッセイ
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#有頂天家族

森見登美彦氏とわたし【聖地に住む編】有頂天家族 二代目の帰朝の巻

東京から京都へ移住した私は、いくつかの温泉と出会った。 なにしろ、私は温泉好きだったのだ。 くらま温泉や北白川ラジウム温泉といった京都市内の温泉、お隣の奈良県や三重県など、ハイキングに絡めて多くの温泉を知った。 兵庫県の城崎温泉、西伊豆の堂ヶ島温泉と並び、私がたびたび足を運んだ温泉がある。 兵庫県の有馬温泉だ。 六甲山ハイキングとセットで訪れることがほとんどで、疲れた身体を癒すにはとてもよい温泉だったことを覚えている。 この有馬温泉。 ちょっと不思議な温泉地だ。 暗

森見登美彦氏とわたし【聖地に住む編】有頂天家族の巻

もりひろが東京と京都の遠距離恋愛に耐えかねて上洛したときのこと。今日、京都で過ごした数年間の始まりを思い出す。 だが待て、しばし。 上洛したばかりの頃に私の頭を悩ませたものがある。 言うまでもなく、「仕事」である。 新卒で入った某有名企業を早々に辞めてしまったような人間にできる仕事なんてなく、仕事がないと住むところもないのだ。パートナー宅へ転がり込んだとはいえ、そのままのうのうと暮らすわけにはいかない。 だが待て、しばし。 仕事がないものが家賃を払える保証などないのだから、部