フットワークの指導で意識したほうがよさそうなこと(バドミントン)
おつかれさまです!森永です。
高校バドミントン部で外部コーチをしています。
4月に入部した一年生は初心者が多め。経験者もふくめて、まだまだ課題があるフットワークを練習してもらっているのですが……
部員たちの意識が高いとは言えません(初心者は何を意識するか知らないだけなのですが)。次に挙げるような取り組み方をしていました。
ホームポジションからスタートしない
コートの端まで行かない
ホームポジションに戻らない
シャトルがくることを想定した視線やスイングじゃない
練習をとめて指摘しようと思ったのですが、シングルスの試合を思い返してみると、その場では指摘できませんでした。
シングルスは、必ずしもホームポジションには戻りません。打ったコースによって、真ん中から少し右または左で相手の球を待つことも多いです。
ヘアピンを打った場合は、相手からヘアピンが返ってくるときに備えて、ショートサービスラインを超えるくらいしか戻りません。
つまり、「ホームポジションに戻れ」は必ずしも正しい指導とは言えないんです。
上に挙げたような、部員たちに指摘したい他の内容も、もしかしたら誤りかもしれないと思いました。
顧問の指導があって、先述した練習の取り組み方になっている可能性もあります。指導者それぞれが、別々のことを言う状況はよくありません。
というわけで、フットワーク練習の意識に対する指導に関して、顧問に相談してみました。頂いた回答を踏まえた僕なりの解釈をまとめてみます。
「端まで行く」は正義じゃない
まず、「端まで行く」は、正しいとは言い切れません。
実際に試合で動く範囲と、部員の身長や脚力が理由です。
サイドラインより少し内側まで動ければいい?
シングルスの試合では、実際に動くのは端から少し内側くらいまでであることが多いです。
毎回ラインギリギリに打てるプレイヤーなんていません。サイドアウトのリスクを考慮できているプレイヤーは、サイドラインより少し内側を狙っています。
こういったことを踏まえると「サイドラインより少し内側まで動ければ、ラリーは十分にできる」のかもしれません。
端まで行くのを強いるのは違うかも、と考えさせられました。
(よく考えたら、端まで動いてラケットを振ると、コートの外にラケットの面が出たり、ネットに触ったりしてしまいますね)
身長や脚力が理由で端まで行けないのかも
また、部員によっては、身長が低くてリーチが短かったり、脚力が足りなかったりで、端まで動くのが無理なこともありそうです。
特に女子や小学生は、そういう傾向がみられる子は少なくないんじゃないでしょうか。
端まで行くことを強いるとフットワークが乱れる恐れがある
そんな子に(限らずですが)「端まで行け」と言うと、移動距離を稼ぐために歩数が増えるなど、フットワークが乱れる恐れがあります。それは好ましくありません。
何より大切なことは、基本のフットワークを身につけることです。
フットワークの習熟度が上がっていけば、自然と移動距離も長くなっていく。
だから、今は端まで行けなくても、見守っているほうがいいのかも、という主旨の話に落ち着きました。
「ホームポジションまで戻る」は正義じゃない
「ホームポジションまで戻る」も、正しいアドバイスとは言い切れません。
試合でのラリー展開が不利になる恐れがあります。
試合ではホームポジション(ど真ん中)に戻らないことも多い
シングルスでは、自分が打ったショットやコースによって、ホームポジションに戻らないケースがあります。
冒頭でも書いたように、シングルスの場合は、打ったコースによって真ん中から少し右、または左にずれて待つことが基本です。
ヘアピンを打ったら、相手がヘアピンで返したときに取れるように、ホームポジションよりネットに寄って待ちます。
他にも、ホームポジションに戻らないケースがあるかもしれません。
ホームポジションに戻るクセのせいで不利になるかも
フットワーク練習で「ホームポジションまで戻れ」と指導すると、先述したケースでもホームポジションに戻るクセがついてしまうはず。
その結果、良い体勢で相手のシャトルに追いつけず、部員はそのわけがわからないまま、不利なラリーをくり返してしまうかもしれません。
練習メニューを工夫して戻りのパターンを身につける?
練習するショット(ノック)ごとに、どこまで下がるか決めてもいいかもしれない、というお話しもありました。
たとえば……
ヘアピンの練習ではホームポジションまで下がらない
ロブの練習のときは真ん中まで下がる
のようにです。
加えて、くの字のフットワーク(ホームポジションを経由する前後のフットワーク)練習でホームポジションまで戻るクセをつければ、試合でいい感じに動けるのではとのことでした。
森永が考えるフットワーク指導の流れ
ここまで書いてきてですが、僕はやはりフットワーク練習は……
端まで行く(フットワークを守りつつ行ける範囲で)
ホームポジションまで戻る
これらが基礎であり、取り組んでもらったほうがいいのかなと思いました。
併せて、ここまで書いてきたことも共有する。
この流れで指導したほうが、移動範囲を広げつつ、試合をイメージした練習に部員たち自身がアレンジできるようになるのでは、と考えました。
試合中のシチュエーション別の立ち位置は、フットワーク練習とは別の機会に教えるほうが伝わりやすそうです。たとえば、大会で他校の試合を見ながらなど。
今度、顧問にも話してみようと思います。
フットワークの指導はいろいろ考えることがある
「大は小を兼ねる」という言葉があるように、フットワークは練習から端まで行くようにすれば、厳しい球も甘い球も拾えるだろうという考えでした(甘い球を取りに行くには、また違うフットワークが必要だけれど)。
でも、そんな単純でもないんだと気づけました。奥が深いです。いろいろと考えないといけません。
どのように指導しているか教えてください!
ここまで読んでくれたみなさんは、フットワークに関してどのように指導されていますか?または、どのような指導を受けたいますか?
ぜひあなたの体験を聞かせてください。