入院生活が教えてくれたこと6回目~真夜中でも働くスタッフ~
コロナ渦での入院生活は、病状が厳しくてもなかなか面会が許されない。
私の左隣の90代の女性は、その病状により食事もままならない、水を飲んでも吐いてしまう。そんな状況だった。
ほとんどが点滴で栄養をつないでいるけど、のどはそれなりに渇く。これはのちに私が腫瘍摘出後の手術後に水分が制限されたときに、この女性のつらさをいやというほど思い知った。
真夜中、その女性はのどが渇いた、水が飲みたい、フルーツが食べたいとうわごとのように繰り返す。体をねじるほどひどかったようで、点滴の針の位置がずれてしまい、トークンという機械が何度も何度もなる。
私も右隣のベッドのA子さんも、うるさくて眠れないというよりも、彼女の苦しみが気になって眠れなかったと聞いた。
看護師さんが来て、水を脱脂綿などで含ませてあげたり、このくらいならという感じで飲ませたりもしていた。そうすると吐いてしまうその女性。
あまりに状態が悪く、別の部屋で医師の処置を受けた夜もあった。
次の朝、看護師さんに
「夜、バタバタしてしまってごめんなさい、眠れなかったでしょう?」
そう聞かれたけど、
「昼間検査で呼ばれるまではいくらでも眠れるので、その辺は大丈夫」
そう答えた。隣のA子さんも同様だった。
だけど、つらい思いに寄り添う看護師さんたちや、その女性の苦しみのほうがつらかった。
苦しむ患者さんに寄り添い、なおかつ同室の患者にも気を遣う、本当に大変なお仕事だ。
看護師の給料が高すぎると言った橋〇徹元大阪知事に
「入院することがあったら、大部屋を経験してみろ」
と思った。そのくらい深夜もスタッフは患者の心に寄り添い動き回っている。
その女性が医師の診断を受けた次の日、息子さん二人がやってきた。
本来は、病室に入れるのは家族一人だけなのを特別に二人・・・。
カーテンの陰で見えなかったけど、涙声で話す息子さんにこの女性の余命を感じ切なかった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?