7. ジャマイカでの展開(クロマンティ、クミナ、プクミナ)

2001年に書いた「アフリカン・アメリカンの宗教と音楽」の第7回目です。


ジャマイカについても少し触れよう。

ジャマイカではガーナのアシャンティ族の影響が強い。

ジャマイカでは逃亡奴隷の共同体である強力なマルーンが生まれ、18世紀の前半には和平条約によって自治を得て、現在まで存在している。

ここでアフリカの宗教や音楽がよく保存されてきた。

アシャンティ族に由来する宗教は「クロマンティ」と呼ばれる。

また、新しく19世紀に連れて来られたバントゥー系諸族に由来する祖霊信仰は「クミナ」と呼ばれる。

また、ヨルバ族に由来する音楽スタイルには、「パパ」、「イボ」などがある。

1860年頃にはキリスト教とアフリカ宗教が習合した「リバイバル(アフロ・プロテスタント)」が生まれた。

その中でもアフリカ色が濃かった宗派は「プクミナ」と呼ばれる。


マルーンの様々なスタイルの音楽は『Drums Of Defiance: Jamaican Maroon Music』(SMITHSONIAN FOLKWAYS)で聴くことができる。

一般にジャマイカの宗教的集会・音楽としては、レゲエにも影響を与えてきた「ナイアビンギ」が有名だ。

しかし、宗教としての「ナイアビンギ」は、完全にラスタ思想であって、ブラック・アフリカの神々が信仰されることはない。

ラスタ思想は主に旧約聖書をベースにして、エチオピア王ハイレ・セラシエを勝手に黒人を解放するメシアと信じる千年王国的なメシア信仰宗教だ。

ただ、その音楽は都市のスラムの住人の音楽ブル(やはり大中小3つのドラムで演奏される)や、クミナの音楽、リバイバルの音楽を取り入れたもので、アフリカ色の濃いものだ。

ナイヤビンギの音楽はCOUNT OSSIEによって作られたらしい。

彼はスカ、レゲエ、ダンスホールなどに大きな影響を与えた。

リズムで言えば、スタラグにその影響が濃い。

また、95年にはストーンズのキース・リチャーズが地元のミュージシャンによってナイヤビンギのCDを制作している。

生のナイアビンギの音楽は『Churchical Chants Of The Nyabingi』(HEARTBEAT)で聴ける。

また、ナイアビンギをベースにしたCOUNT OSSIEのサウンドはTHE MYSTIC REVELATION OF RASTAFARI『Grounation』や『Tales Of Mozambique』で聴ける。

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