自殺した推しの死を受け入れられない人たちへ (関係者の方、周りの人を自殺で亡くされた方も是非読んでください)

はじめに

数か月前に亡くなった俳優さんの名前をTwitterの検索欄に入力すると、続けて「生きてる」と候補が出てくるのですが、これって少し気味が悪いように感じます。

彼の死をどうしても受け入れられないで苦しんでいるファンか、彼のファンではないけれどこじつけ陰謀論で面白がっている人かと思います。

陰謀論の人たちのほとんどは彼の死を利用して面白がっているだけのように見えますが、中には彼の死をまだ受け入れられずにいる人もいるのでは?と思います。

僕も彼のファンの1人だったので気持ちはわかりますが、同じく推しが亡くなってから暴走するようになった人を知っているのでそうならないでほしいのです。

同じ過ちを繰り返して欲しくないので、推しが自殺しておかしくなってしまった人の事例を書いてから、推しの死を受け入れられない人への気持ちを落ち着かせる方法、自殺者を追い込んでしまうことへの個人的な意見、自分を追い込んでしまっている関係者やファンの方へのメッセージを書いてみようと思います。

推しを亡くしたAさんがおかしくなるまで

まずはフェイク込みでその人(Aさん)の例を書いてみようと思います。

Aさんの「推し」であるBさんは10年以上前に亡くなりました。他の方たちと同じく何の兆候もなく突然亡くなったので、当時ファンや関係者は死を受け入れられずに混乱していました。

掲示板にはスレッドが乱立、Bさんの訃報が書かれた公式サイトはアクセス集中でダウン、公式サイトが見られない人たちが「Bさんはまだ生きているのではないか」「悪質なデマなのではないか」と掲示板に書き込み、公式サイトに入れた人がサイトのスクショや引用を掲示板に載せてやっと事実として感じられる人が増えてくる…というような状況で当時はかなりカオスでした。
僕の代はちょうど受験の年だったのですが、塾帰りのマクドナルドで訃報を知った当時の友人が、携帯を見ながら呆然としていたのを今でもよく覚えています。

元々、Bさんのいたジャンルは自殺をする人が他より多いなと感じていました。自分自身が病んでしまう人が多いのです。それは演者もファンもどちらも。中には後追い自殺をする人もいたようです。

Bさんが亡くなった際はコロナ禍のような特殊な状況ではありませんので、数週間後くらいにお別れ会がありました。多くの人はここで気持ちを整理できたかと思いますが、Aさんのようになかなか気持ちに整理がつけられない人もちらほらいました。

Aさんは
自分が傍にいれば自殺しなかったかもしれない
という考えにとらわれていて、ジャンルや界隈を移動してからもずっと
自分は推しのそばにいなくてはならない存在だ
と考えが余計に拗れて推し本人や他のファンに迷惑をかけてきました。

禁止されている入り待ちや出待ちを毎回したり、推し本人からもう来ないでくれと言われているのに自宅におしかけたりプライベートをつけまわす、他のファンが自分よりいい対応をされると嫉妬して掲示板やSNSに晒す、気に入らないファン(まともな人)に複数の捨て垢を使ってクソリプを送り付けて病ませてしまう、というようなことをしていました。

Aさん曰く、
自分が他のファンから推しを守っている
のだそうです。
自分と推し以外の人間は敵のように見えていたのだと思います。僕もAさんに晒されるなどの迷惑をかけられたこともありました。

また、Bさんが亡くなった月は毎年いつもより情緒不安定になり、いつも以上に迷惑行為が過熱していました。 (それでいて、今月はBさんの亡くなった月だから仕方ないよね、と言い訳に使っているのでBさんに失礼だといつも思っていました)
Aさんの命日は特に酷く、当時Aさんと関わりのあった人たちはAさんが少しでも機嫌を損ねないよう必死でした。

そんな迷惑行為が長く続いたため、ついにAさんはその界隈を出禁になりました。Aさんは自分は正しいことをしたと思い込んでいるので、事務所の対応がおかしいと怒っていましたが。

噂によると、Aさんは今でも他の界隈で同じような迷惑行為を繰り返しているようです。

誰だって、おかしくなる可能性はある

このAさんが元からおかしかったのかもしれませんが、自分は絶対にこうはならないと思っている人ほど実は危なかったりします。

最初からおかしな人だけではなく、今まではまともだったのにある出来事がトリガーとなって突然おかしくなってしまう人はよくいますし、僕もそういう人を何人も見てきました。

自殺ではなくても、病気で最愛のパートナーを若くして亡くされておかしくなってしまった、ということもあるので、陰謀論や他殺説を唱える人たちが全員元からおかしいわけではありません。

時間が経てば解決するのでは?と思われる方もいらっしゃるかと思います。が、みんながみんなそうではありませんし、Aさんのように長年拗らせ続けて、本人が気づかぬうちにとんでもないモンスターになってしまった…という例もあるのです。

こういう風に、何も悪くない他人に迷惑をかけるような人をこれ以上増やしたくありません。
Aさんのような人たちも、ずっと癒えない苦しみの中で辛い思いをし続けていると思うので。

AさんはBさんが実は生きているのでは?とは考えていませんでしたが、推しのためを思ってと考えて暴走したり、他人を攻撃している点は陰謀論や他殺説を唱える人たちと同じです。こういう人たちも、自分と違う意見の人たちや事務所やテレビ局などを敵視して攻撃していますよね。
少し前に話題になった「自粛警察」と同じだと思っています。正義感から他人に余計な攻撃をしてしまう
このような状態だと、いつもより過敏になってしまい、ちょっとしたことでもこれはおかしい!陰謀だ!と感じてしまうのです。

そんな、推しの死を受け入れられずにいる方たちにいくつか提案があります。
Aさんもこれをやっていたらモンスターにならずに済んだのかな、と思います。

【対策その1】カウンセリングを受けてみる/心療内科・精神科に行く

他殺説や陰謀論などを考えてしまう人たちは、誰かに吐き出すことができずに自分の中で嫌なことばかりを考えてしまうのではないのかな、と思います。

悩みは仲の良い人や信頼できる人に相談すると良い、と言いますが、これほど重い内容は素人だと受け止めきれなかったり、相手が疲れてしまって人間関係のトラブルになる可能性があります。
真剣に悩みを打ち明けても、「つらいのはみんな一緒」「たかだか芸能人が死んだくらいで」と相手にしてもらえなかったら悲しいですし、余計に悩みが解決できませんよね。
「あいつこんなことで悩んでるんだってw」と他の人に言いふらされてしまう心配もあります。
こんなことをされたら人を信じられなくなりますし、味方は誰もいない、みんな敵だと見えてしまっても仕方ないです。

カウンセリングは、プロの人が相手をしてくれるのでつらい気持ちをちゃんと受け止めて貰えますし、人間関係が拗れることもありません。
どんなに話しづらい内容でも、プロは慣れているので安心して相談できます。また、他人に口外することもありません。

心療内科や精神科に行く、ということもおすすめです。
「自分はうつや病気じゃないからちょっと…」と思われるかもしれませんが、実は病気じゃなくても心療内科や精神科に通院している人は意外といるのです。
僕もはっきりとした病名はついていませんが、月に2回は通院しています。1人でいると悪い方に考えてしまいがちなのに、病院に行くとすっきりしますし、今の自分の状態に合う薬を処方してもらえるので、薬で気分を落ち着かせることもできます。

ただし、病院によって話を聞かずにただ薬を処方されるだけのところ(いわゆる3分診療)もあったり、予約がなかなか取れない、先生が自分と合わない(これはカウンセリングでも言えますが)こともあるので要注意です。ネットのレビューや口コミなども参考になるでしょう。

【対策その2】生前の活躍をたたえたり、推しに感謝する

亡くなった直後や、気持ちの整理がつかない段階では難しいことかと思いますが、生前に出演・制作された作品を楽しんだり、生前の活躍を思い返して「推しのこういうところが凄い!」というのを思い返すのも一つの手段だと思います。

推しは誰かに苦しめられたに違いない、と考えても何の解決にもなりませんし、自分のためにもなりません。余計に自分が苦しくなるだけです。

辛すぎて作品が見られなくても、推しのこういうところが好きだな、という点を探してみるだけで少しずつですが気分が変わってきます。

良いところを探すだけではなく、推しへの感謝の気持ちを吐き出してみる、というのもアリです。
推しがいたから自分は救われた、今まで生きてくれてありがとう、これからはゆっくり休んでね、という思いでいれば自分の気持ちも楽になれますし、天国の推しもうれしいはずです。

例え亡くなっても、推しはファンの心の中で生き続けるのです。

亡くなった直後は僕もなかなか死を受け入れられませんでしたが、少しずつ死を受け入れられるようになりました。

仏壇や祭壇のようなものを作るのもおすすめです。そこまで大層なものでなくても、推しのグッズを並べたスペースを作るだけでOKです。
推しの好きなものを一緒に食べたり、推しのこういうところが好き!というのを祭壇に向かって話す(怖いって言わないで)だけで気持ちが楽になりますよ!

しかし、無理に推しと向き合おうとして自分が辛くなるのなら少し距離を置くのがベストです。無理に受け入れる必要はありません。自分のペースでゆっくり受け入れることが大事です。

【対策その3】新しい推しや趣味を作る

ずっと1人の推しや1つの趣味を追ってた方にとって、浮気になるのでは?と考えられるかもしれません。が、そんなことはありません。

推しと結婚していたり、教会で「永遠の愛」を誓ったわけではないのですから、他の推しや趣味を作っても法律違反にはなりませんし、そもそも浮気にはなりません!

僕は2次元・3次元、ジャンル問わず多数の推しがいますし、いろんな趣味があります。
推しが複数ジャンルにいると、一つの推しで何かトラブルや事件があったときに、他のジャンルに駆け込んで気分を紛らわせることができるので自分を守れますし、誰かを攻撃することも防げます。
上に書いた、自分が辛くなるなら推しから離れることにも繋がります。

推しや趣味の数を、の数だと思ってください。柱が1本だけだと、その1本が折れただけで建物が崩れてしまいます。
しかし、柱が何本かあると、1本折れたところで他の柱が支えてくれてるので建物が崩壊するのを防げます。また、様々なジャンルや界隈を見ることで考えが固まらず、色々な世界が楽しめますよ!

これ以上、故人を苦しめないで

恐らくファンや関係者ではない第三者からだと思うのですが「ファンや家族がいるのに自殺をするのは無責任だ」という意見をたま〜に目にします。しかし、そういう意見が本人を苦しめているのでは?と思います。

「なんで自殺なんてしたの?」「もっと生きていて欲しかった」、というのも同じだと思っています。

自殺という選択=長い闘病・延命治療の末に安楽死を選んだことだと僕は思います。

本人も、必死で生きようと足掻いたはずです。それでも苦しみから抜け出せないので、これ以上苦しまないうちに楽になろう、と死を選択したのかな、と考えています。
闘病中、少しでも仲間がいれば心強いですが、1人で闘病していたらこんな辛い思いをしまで生きる意味はなんなんだろう?と考えてしまうかもしれません。第三者から見て仲間に囲まれてそうに見えても、実は孤独な人って結構います。

また、自殺は人生最後のわがままとも考えています。
今までずっと我慢してきたけど、最後だけわがままを聞いてほしい、そんなメッセージを感じるのです(僕の思い込みかもしれませんが)。

人身事故や飛び降り自殺をされた方に対して「他人の迷惑を考えろ」とよく言われますが、こういう状態の人が他の人のことまで考えられる余裕があるでしょうか。僕は無いと思っています。だって、自分が日々生き延びることに必死なのですから。

関係者の方、自分を追い込んでしまう方へ

関係者の方で(中にはファンの方でも)、Aさんのように、「自分が何かしてあげなかったから亡くなってしまったのではないか?」「自分はもっと何かできたのではないか」と自分を追い込んでしまう方もいますが、これはどうしようにもないのです。

自殺を引きとめることは、簡単なことではありません。
もし引きとめられたのなら、難病が奇跡的に治療できたことと同じくらい凄いことと考えてください。

先ほども書きましたが、自殺を考える人は難病や末期で延命治療をしている人と同じ状況だと思っています。苦しい中必死に生きようと頑張ったけどもうこれ以上耐えられそうにないから泣く泣く安楽死を選んだようなものだと考えてみてください。そんな人に対して、素人が難病を完治させることができるでしょうか?僕なら無理ですし、そもそもプロである医師でも難しいです。もしできたらノーベル賞や勲章が貰えるでしょう。

なので、ご自身を責めないでください。あなたは何も悪いことをしていません。

最後に

これまで散々偉そうなことを書いてきましたが、僕は医者でもなければ関係者でもない、ケージ内で回し車の中を駆けてるだけのただのモルモットに過ぎません。
ハムスターではなく、それより少し大きなモルモットです。
僕の書いたことが全て正しいなんて思ってませんし、どこかしら間違いはあると思ってます。


所属事務所や周りの対応もおかしいというのもわかります。(僕もあれ?と疑問に感じることはあります)

しかし、詮索しても彼のためにはなりません

亡くなってからも推しを苦しめないであげてください。

自殺に限らず、人の死は突然やってくるのでなかなか受け入れにくいのは当たり前で、おかしなことではありません

コロナ禍でお別れ会ができないこともあり、なかなかけじめがつけられないですよね。

推しが天国で幸せになっていることを想像したり、生前の推しの活躍を見て「活きている」推しの姿を見てあげることが一番の供養になりますし、自分自身の気持ちの整理に繋がると思っています。

間違っても、後追い自殺をしないでください。
推しはそんなことを望まない
はずです。






皆さんの気持ちが少しでも前向きになりますように。

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