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2022年に聴いたアーティスト/アルバム紹介

みなさんお久しぶりですYAです。明けましておめでとうございます。今年もゆるくやっていきます。

私の経歴をご存知の方もいるかと思いますが、昨年末に約3年勤めた会社を辞め、最近から日本企業で働くようになりました。周りのほとんどは転職経験がないとのことで興味津々、「なんで転職したんですか?」との質問に「飽きたから」と一言放ったら飲み会の席が凍りつく。。。しんどいです。辞めたい(いつも言ってる)。

毎度のごとく久しぶりの記事となります。
2022年に聴いていて、「お、これいいな」というアーティスト/アルバムを紹介します。相変わらず、凄くミーハーで他の有名Hip Hop/Rapブログの1%も内容がありませんのでそこはご容赦ください。

そういえば、最近のUS (Mainstream) Hip Hop事情を発信しているブログなどはどこになるんでしょうかね。皆さん各々でTwitterとかで情報収集しているんでしょうか。Instagram以外やっていないので、ひたすらApple Musicで音源をかき集める毎日です。常に進化(or 退化)する文化/音楽だからみんなついていくのが大変だろうなぁ…プロリスナー様の活躍をお祈ります。

Pusha T/It's Almost Dry

Pusha T

2018年リリースのDaytonaから4年越しのスタジオアルバムのリリースとなったIt's Almost Dry。アルバムタイトル「もう少しで乾き切る/完成する」はドラッグディーラーとして成功したPusha Tからしてみれば「もう少しで(コカインの)出来上がり」と言うことだろうか。

相変わらずドラッグスラング満載。そして、Pusha Tの相方、Maliceも客演、Hip Hopを嗜まない人でも見聞きしたことがあるJay ZやPharrell Williams、Kanye West(今はYe)など、業界の重鎮が勢揃い。これがDef Jamの本気かと思わせる一作。

言葉遣いが独特と言われているPusha T。犯罪を匂わせる言葉遊びやdouble entendre(=ダブルミーニング/1つの言葉に2つかそれ以上の意味を持たせること)、そしてとても過激で攻撃的なRapが今回も際立っている。

例えば…Open Airという曲の中にこんなリリックがある

All that frontin' in your raps, your holdin', where?
We turnin' on the lights, you roaches clear
Parking lot cemetery, It's Ghosts' there

All that frontin' in your raps, your holdin', where?
に関しては相手を挑発する部分。
「"お前たち"のラップ、どこの誰が聞くんだよ?」と(誰かは明言はしていないものの)挑発している。

We turnin' on the lights, you roaches clear
の部分では、Pusha T(とその仲間)が電気をつけると、
そんな"お前たち"はGのように逃げていく とラップする。
電気をつけた途端にカサカサと動いて隅っこに隠れる"G"は、Pusha Tには敵わないとラッパー達や敵対している人達を馬鹿にしているフレーズ。

USのラッパー達は"(cock)roach = 日本語のG(虫)"を頻繁に使うのをご存知だろうか?
「お前達はGだ(汚くてコソコソ逃げ回る)」であったり、昔の生活環境が劣悪でGが家の中にウヨウヨいたとか、想像しただけでも恐ろしいことを比喩することがしばしば。

Parking lot cemetery, It's Ghosts' there
で言葉遊びを展開。

Parking lot=駐車場 cemetery=墓地 ghost=幽霊

まぁここまでは高校生レベルの英語で問題なく、
なんとなく「墓地の駐車場に(たくさんの霊柩車)があって、当然幽霊がたくさんいるんだろう」と思うのが一般的な感覚(だと思う)。
実は、Ghost(←リリックのGが大文字になっているのがまたずるいが)はRolls Royceという超高級車の製品の意味も指している。

墓地と幽霊/Ghostと、ホラー要素の中に高級車の製品名を入れることで、「(前節のコソコソ逃げ回る奴らの)霊柩車がたくさんあるから幽霊がでる」と「(そんな奴らの葬儀に大金を持っているPusha Tとその仲間が)墓地の駐車場にGhostでやってくる」という恐ろしい言葉遊びをしている。


Kendrick Lamar/Mr. Morale & The Big Steppers

Kendrick Lamar

2022年の5月リリース直後、全世界中のKendrick Lamarファンが聴こうとしたことで某ストリーミングサイトがダウンし改めて彼の知名度を知らしめたアルバム。この障害復旧は1日以上かかり、Twitter上では「早く聴かせてくれ」と、某ストリーミングサイトを運用するエンジニアの胃を切り刻むことに成功。日本でも非常に人気があり、彼についての解説本まで出るなどHip Hopの域を超えているのは間違いない。

ちなみに、自分はその解説本は少し立ち読みして購入を辞めた。
理由は、【読みづらかったから】。

世の中にどれくらいのHip Hop/Rapリスナーがいるかは検討もつかないが、これはHip Hopアルバムではなく彼の今まで持ち得てきた全てのスキルと経験を曝け出す"暴露"なのではという印象(プロリスナーみたいな曖昧な表現ですいません)。

世界中の評論メディアがこのアルバムを絶賛している。
個人的には先行シングルの The Heart Part 5は必聴。
アメリカの時事などを知らないとPVを見て「これどういうこと?」と分からないことがちょくちょく出てくるが、所々で彼の顔が変わる度に鳥肌が立つ。そして、彼にとっての(Hip Hop/黒人として生きることの)文化/宿命を知らしめてくれる。


Westside Gunn/10

Westside Gunn

New York州、ナイアガラの滝観光の玄関口であるBuffalo出身。Griseldaの中心人物であるWestside Gunn。どうやらまもなくRap界隈から足を洗う様だが、2022年のUS Mainstream Hip Hop界で彼の名前を登場させるにはいられない。

卓越したアドリブ(よくBruuuuuuuuu….といういうあれ)もさることながら、それぞれの曲においてRapするところとしないところでうまく線引きをしている。今回の"10"は、Westside GunnのHitler Wears Hermesミックステープの集大成。今まで、欧州が敏感になるドイツの総統の名を冠してのミックステープをタイトルにしてリリースしてきたのだが、昨今の人権問題などもあってタイトルを"10"にしたとされている(ユダヤ団体から訴訟されたこともある)。"Conducutor, we have a Problme!!"のインターネットミーム(=インターネット上で流行ったネタ)をボイスサンプリングしたConducutor Williamsの低音ビートも必聴。

*2:02ぐらいから開始するEastside Flipのフリースタイルのビートがえげつないので是非ご視聴ください。本ミックステープのジャケットも彼が担当しています。

とりあえず聴きまくったアルバムはこのくらいでしょうか。
Favio Foreign のアルバムであったり、他にも色々あるのですがそこは他のプロリスナにーお任せします。

私に生きる希望をください。