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ミニマリズムは死んだ。マキシマリズムよ、こんにちは。

私はマキシマリストである。しかしそう名乗ったところで帰ってくる反応は、「何それ?」と「ミニマリストの逆ってこと?造語じゃんww」の二択だ(経験談)。

「ミニマリスト」という言葉の浸透ぶりに比べて、「マキシマリスト」という言葉のマイナーさはいかがなものか。

マキシマリストを名乗るからには、まずは「マキシマリストとは何なのか」について皆に知ってもらいたい。

ミニマリストとは

「ミニマリズムは死んだ。」とか書いておきながら、すまん。まずは皆ご存じ、ミニマリストについての復習から。

ミニマリストとは、ミニマリズム(Minimalism)を支持する人のことを指すわけだが、日本語で一言でいうと「持たない暮らし」を実践する人のこと。最低限の持ち物で丁寧な暮らしをし、物による幸福ではなく精神的に満たされることに重きを置いている人々とも言える。愛用ブランドは、無駄なく実用的な「無印良品」。

↓究極の「ミニマリスト」、あえてホームレスになった男性の話。超かっこいい。

ミニマリストは様々なサイトでさんざん説明され、「ミニマリストの○○ブログ」が量産され、「#ミニマリストになりたい」等のハッシュタグが量産され、すでに日本社会で市民権を得ているため、ここで説明は終わりにする。

早々に本題に入ろう。

マキシマリストとは

上に上げたミニマリストに反して、マキシマリストとはマキシマリズム(Maximalism)を支持する人のことなわけだが、ずばり、好きなモノや大切なモノで囲まれて過ごすことに幸福を感じる人のことだ。

特徴として以下のようなことが挙げられる。分かりやすくまとまっているので以下から引用。

マキシマリストの特徴

趣味が多い

多趣味であり自分の感性やセンスを尊重して空間に反映させる人が多く、ひとつの趣味のモノに囲まれて暮らしている人もいればいろんな趣味のモノに囲まれて暮らしている人もいます。趣味にかける出費なら惜しまないという人が多いです。

https://workport.co.jp/plus/articles/7060

部屋を綺麗に保てる

マキシマリストになるとモノが多くなるので部屋の掃除が大変になります。ただし、部屋の掃除をせず不衛生な空間を作り出す人=マキシマリストとは言えません。マキシマリストは好きなモノで囲まれた空間を綺麗に保ちたいので、部屋の掃除を苦には思いません。むしろ維持や管理に労力をかけることには積極的です。

https://workport.co.jp/plus/articles/7060

好きなモノへの愛が強い

マキシマリストは好きなモノへの愛着が強い人です。愛着が強いので簡単に捨てたりモノを無造作に扱うことはしません。
ただ、本当に必要のないものと好きなものは0か100。選別したり要らないものを見極めたりする力はあります。ミニマリストと違うのは選別の基準が少し甘いか、好きなモノが多すぎるということだけでしょう。

https://workport.co.jp/plus/articles/7060

「部屋を綺麗に保てる」は一旦置いておくとして、まさに自分のことだ。もっと具体的に、マキシマリストはどんな部屋に住んでいるのか見ていこう。

インテリアの特徴

・重ねる
・花柄やアニマル柄など柄物豊かで派手なカラー
・ユニークで目立つ置物
・質感や色のミックス
・大量の本や置物、アートなどクラシック、折衷主義、ボホなど異なるスタイルのミックス

https://www.thespruce.com/what-is-maximalist-style-4685629(筆者和訳)

言葉で言ってもよく分からないけど、こんな感じ↓

出典:Wall Street Journal
Photo by Pieter Estersohn
Photo by N. Johnson, B. Ambridge, J. Thornton

そうそう、これこれ!といった感じ。私はモノを集めるのが好きだし、近い将来家を買う際にも、部屋の壁紙は絶対白にはしないと心に決めている。

マキシマリストの大先輩たち


アイリス・アプフェル(Iris Apfel)
マキシマリストの大先輩、アイリス・アプフェル(Iris Apfel)先輩。派手な柄のお洋服に、値段関係なくいいと思ったジュエリーをジャラジャラ着ける、最高におしゃれな御仁。

出典:Jeweish Women's Archive

丸い黒太フレームのめがねがトレードマークの、御年100歳(!)のファッションアイコン。 


ダイアナ・ヴリーランド(Diana Vreeland)

そしてもう一人、ダイアナ・ヴリーランド(Diana Vreeland)先輩。すでにお亡くなりだが、『ハーパース・バザー』や『VOGUE』の編集長としてファッション界の超重鎮だった人。今で言うアナ・ウィンターのようなカリスマ(もちろんダイアナ先輩が先だけど)。彼女は人の個性を大切にして、様々なタレントを発掘した人だった。彼女自身も独自のスタイルを持っていて、言わずもがなセンス抜群。真っ赤な部屋に住んでいたことでも有名。

出典:Harper's Bazaar

こちらも映画になっているのでぜひ。

ミニマリズムは死んだのか


今回のタイトルの「ミニマリズムは死んだ」は、これらの記事から拝借した。

ミニマリズムとマキシマリズム、どちらが優勢なのか、今後のトレンドについて、これらの記事を総括して書いていく。

ここ10年以上世の中のトレンドは、Apple製品に代表されるような「ミニマル」、「シンプル」、「機能的」など、無駄を削ぎ落としたデザインだった。それは2007年のリーマンショック以降、世界中で続いた経済不況を背景とし、「ラグジュアリー」、「リッチ」といった要素は、当時の世相と合わずに息をひそめてきた。

しかし毎年ミラノで行われるデザインウィークで、2017年にトレンドとして台頭してきたのは、30年代のアールデコから70年代の折衷主義(エクレクティシズム)で、過去10年のトレンドであったミニマリズムとは一線を画すものであった。ラグジュアリーな素材とテクスチャー、野心的なシルエット、重ねたデザインなど、そのどれもが視覚的に魅力的で、感情に訴えかけてくるようなものだった。その背景には、徐々に上向きになってきた景気がある。景気がよくなればなるほど、人々はより野性的でクレイジーなものを受け入れるようになると言う。まさに日本のバブル時代のように。

景気が悪いと人はデザインについても守りに入り、景気が上向くとより冒険するようになるため、トレンドもより派手で、明るいものへとシフトしていく。

そして2019年から始まったパンデミック、コロナの年。経済的な不安を抱えても尚、マキシマリズムがトレンドなのか。答えは、「分からない」

ロックダウンや自主隔離などによる孤独からの逃避行として、そして暗い気持ちを明るくするための光として、マキシマリズムは引き続きトレンドである。

https://www.lofficielusa.com/fashion/maximalism-fashion-trend-covid-19-gucci-valentino(筆者和訳)

という意見もあれば、

ミニマリズムに再び戻る。ただし、以前のミニマリズムとは異なり、「warm minimalism(暖かみのあるミニマリズム)」になる。

https://www.fastcompany.com/90563903/covid-19-killed-maximalism(筆者和訳)

という意見もある。コロナが始まってから、人々は生活に必要なものを優先するようになり、家でいかに快適に過ごすかに関心が向けられた。それゆえ家の中に飾りを増やすのではなく、既存の家具をより良いものにして快適な空間を演出することがトレンドとなる。つまり「暖かみのあるミニマリズム」とは、もののないスペースながらも、例えば布類は暖かみのある色合いであったり、落ち着けるようなものになるという意味である。

一見相反する意見のようにも見えるが、両方の意見にひとつ共通していることは、「人はより快適さや、自分の気分が良くなること(comfort, feeling good)を求めるようになるだろう」ということ。前者(マキシマリズム)は、身の回りに自分の好きなものを増やしたり、派手で明るいデザインにすることで気分をあげる、後者(ミニマリズム)は落ち着いたスペースで気持ちよく過ごせるようにする、と手段は違えど目的は同じ。

「ミニマリズム VS マキシマリズム」?

「ミニマリズム VS マキシマリズム」の対立構造を煽ったような書き方だったかもしれないが、全くそんなことはない。どちらの主義も「お気に入りのものに囲まれて、心身ともに満たされた生活を送りたい」という共通の目的を持っているからだ。ただ「お気に入りのもの」の数や、お気に入りポイントがそれぞれで異なるだけだ。

そもそも日常生活でデザインのトレンドや世相を意識して自分の部屋のインテリアやデザインを考える人は、業界人以外ではあまりいない。「必要に迫られて」や、「自分が好きだから」といった理由で大体の人は、自分の部屋の感じを決めていくと思う。だから、デザイン業界のトレンドがどうであれ、ミニマリストは今年もミニマリストだし、マキシマリストは今年もマキシマリストだと思う。そして大半の人はこの中間で、こうした言葉に当てはめられることはないまま生活することだろう。

私のマキシマリスト宣言

幼いころから、ものを集めるのが好きだった。シール、キンダーサプライズのおもちゃ、石、大人になってからはバッグに靴に、お洋服、そしてジュエリー。

「モノより思い出」とよく言うが、私にとっては「モノこそ思い出」人の記憶なんて全然あてにならない。あんなに感動した2年前のパリ旅行だって、写真を見ずに思い出せるのは、汗だくになって上った凱旋門からの景色と、英語でメトロのチケットを買おうとして売り場のおばさんに舌打ちされた思い出くらいではないか。一昨日の夕飯すら思い出せもしない。人間の記憶力などそんなものだ。

しかし、お気に入りのものが手元にあればどうだろう。それを手に入れたとき喜びや、その時一緒に過ごした人のことなどを見る度に思い出すことができる。そのモノと一緒に長く時間を過ごしていけば、それだけそのモノにまつわる記憶が増えていく。そうして人生の相棒のように、色々な思い出や感情を共有することが出来るモノというのは、かけがえのない存在になり得るのだ。そして、それを他の人に託したり次の世代に引き継いだり出来るということも、モノにしか出来ない素晴らしいことだと思う。

ということで、私はこれからこれまで自分がコツコツ集めてきたお気に入りの品や、これから集めていきたいモノについて文章を綴っていく予定だ。

最後に、マキシマリストあるあるをひとつ。

「買ったものや、これから買うものの話が大好き」

共感してくれる人がいれば♡でぜひ教えてほしい。

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