無日記(9/19~12/21)

◎未来世紀末ブラジル伝コナン
今年は色々あった。

マテパとムヒョロジとワートリが再開した。ベルセルクと堕天作戦とドリフターズの新刊が無事に出た。ハンターはなんだかんだ毎年連載している。
伊藤悠の新連載が始まってウルジャンが無敵モードに突入した。
冬目景展があった。中村博文展があった。
個人的には第N無人居住区なる画廊に行ったり、ツイッター画家の個展に行ったらほぼほぼ毎回新宿眼科画廊だったりした。
アニメでエモくなって五山送り火を見に行った。ついでにモモモグラに行くべきだった。
鳥居みゆきの出る映画を買ったらカルトでヤバかった。
人に勧められたエル・トポもヤバかった。
連載漫画家の小林銅蟲さんを知らないおっさん呼ばわりする正体不明の少年Vtuberが出、ようやく土管をすり抜けたとたんリフトにハメられてタイムアップしていた。
忍殺が真の男向けアクションゲームになった上に主人公らしきポジションには天狗オメーンをかぶった二丁拳銃の天使が居た。忍殺がTRPGになった上に本編主人公のエントリーが致死イベントだったり、女子高生と余命幾ばくもない汚れ仕事人の淡い絆を積極的に引き裂くシナリオが追加されたりもした。
俺はソードワールドしかやったことがないので尻込みしている。
toby foxの新作のデモ版が出た。
かかってない曲だとTeo Torriatteと'39が好き。
からくりサーカスと5部が兄メカおめでたいが俺は逆張り野郎なので観ていない。

それ以外の事は全く何も起きなかったと思う。
ハリウッド銃夢は延期した。


以下ずっと俺の話なのでご注意下さい。



◎1、いっぱい
 小中学生の間に二度、地域の低学年コンクールに絵を出して、ちょっとした賞を貰った。親の勧めで描いて、親の勧めで出した。もっと言うなら賞を貰ったのだって、それ以前、親が諸々の展覧会に連れ回してくれたお陰で年の割りには想像力豊かになって、だ。その後もごく消極的にしろ絵を描いて、受験期には慌ててデッサン練習やったりしてたんだが、ここで表面化した問題がある。

 俺は一ヶ所に時間を懸ける能力は、たぶん並みにある。だが書き込もうとすると要素にあふれて混沌としてしまう。関係性というものに乏しい。きっと俺は画面の主人公以外は添え物だと思っていて、または全員が主人公だと思っていて、その中間のグラデーションが掴めてない。一ヶ所を丹念に描く事を繰り返して完成に漕ぎ着けられる事もあるが、受験では時間が許さない。体よく進める能力が足りておらず、出来上がりの完成度もちぐはぐであった。規律の何たるかを解さないから、調和を説明しようとして不自由する。突き詰めれば、絵に描けないどころか、頭の中の世界がない。当たり前な観点が欠けている。つまり認識がなく、補えない。もうだめだ。

 遊び友達が減った時期、お祭りが好きになった。由緒あるでかい祭りじゃなく、公園とかでやってるやつだ。俺の要求はハレからケ、生活の柵から解放されたいとかのやつとはたぶん少しズレてて、一人の俺が沢山に混じっていく感覚に、飢えているんだと思う。普段からあんまり、共同体に与していない。とは言えやってることにはやってるし、やってないことはやってないし、やってないこと甚だしい。
 祭りというのは、居るだけで祭りの一部として自他ともに認めてくれる時空間である。行動はあんまり要らない。マナーとか、祭りがやってると見るやスッと都合を合わせる鷹揚さは資格なのかもしれないが、俺は普段から人を巻き込んだ(即ちおいそれと動かせない)予定もないし、何も言わずに立ってるだけで脳内でいい気分になるのは大得意だから困らない。公の場で節度ある行動が取れなくても、特段行動をしないことによって入り込めるに過ぎない。人々は志高く何かを作り上げたりせず、各々入り浸ってるだけだ。関係のない人間同士というのは、一番ぞんざいに、かつ清潔に済ませられるんじゃないかと感じてしまう。本当は誰かしらと話していたい気持ちの妥協案として。危険な傾向だろうか。

 思うに、普通なら勉強をする学校に(なぜだか)いたので、俺はきっと知り合いと比べられなくていいようにと美術系を選択した。可能性についてはイキり倒しておいて、弱さを受け入れられてなかった。結果を見れば、努力が要らない挑戦なんてのはなかった。後悔はしている。反省はしていない。

 最近絵が痩せてきて、怖い。一本の線を正しくする迄に、途方もない時間を封じ込めてしまう。もしくは余りに乱雑で無味無臭なものしか描けない。有か無しかなく、間をやろうとした途端心が折れてしまう。間違ったものを高々と世に問うてしまう事が、ただただ怖い。他人がそうした上達法を取っている事で無様だなどとは思わないし、そちらがそれなりに正道だろうという納得もしている。いつの時代も芸術は机上の空論とはならず、実践によって関心を買うべき点で商売である。誰にも見せたがらない絵こそ、俺の最も忌むべき記号に堕す。わかってはいる。別に趣味で立派になろうとなんてしてないし。強くなれなくてもいくらでも言い逃れができるじゃないか。一人じゃ何もできない大人になっちゃう方がよっぽど怖いよ。なってしまったので、明日も一か全しかない。明日って今で、明日も今も怖い。

 公園でスマホをいじくっている。蚊が空中で交尾していた。その片割れは刺してくるので、都度殺す。蟻の巣に落とす。集団の彼らは、いつも楽しげに見える。

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