見出し画像

天使の右目と悪魔の左目 (2)

ゆっくりと顔を上げる。お姉ちゃんの手に2本の棒状の物が見える。、、、、ん?箸じゃね?お姉ちゃんはまだ何か言ってる、けど話が入って来ないくらい華羽凪の頭の中は混乱していた。「箸?はし、、箸?ん?チョップスティック、。!!箸!?」理解が追いつけば後は言わないでも分かる。“全力疾走” 、、、まあ無事縛り上げられまさかの箸はピンポイントで痛いところを押す拷問器具となり『締められる』改め『施術を施される』となった。
「明日ぶり返しで動けない、、、、」華羽凪は倒れながら言った。「華羽凪。言ってた事に3つ疑問があるんだけど、。」よくあんな拷問しといて紅茶を嗜めるなぁ、、。華羽凪に反省と言う字は辞書にない様だ。「何で性別不詳なのにお姉ちゃんなの?」、、確かに。「お姉ちゃんと仮定して女だと思った部分は何?」うーん、、私より力無いから?かな。「華羽凪の水準で比べたら一般男性でも女になるよ、。」溜め息をつく「体格なら首まわりは太めだし、胸まわりは技術で補えるし、、どこで決めつけた?」仁絵の質問にめんどくささ全開で「うん、うん確かにじっくり考えてくる〜じゃ👋」「あっ、」華羽凪は誰かに似て逃げ足が速かった。そして「、、、はあ」仁絵も誰かに似て諦めが早かった。

華羽凪の居なくなった部屋には冷たい何かが腹部を寒くした。『何で、、他人って思ったんだろう、。』お気に入りだった紅茶は苦味しか感じない様になっていた。
するともう一度部屋に続くドアが開く音がした。苦い紅茶を飲み干し出迎える、華羽凪が忘れ物だろう。さっき華羽凪に出した紅茶を下げ“ガチャ”「こんにちは!!」「、、こん、にちは、。?」華羽凪以上の明るさを知らない仁絵には急な陽の気大量摂取に混乱していた。「え?誰ですか、。」「あっ、お構いなく♪」「あっ、無理そうです♪」何だこの会話、、。
「掃除してますか?」はい?確かに埃っぽいが最初に聞く質問じゃない。「どうやって入って来たの?」ん?名前を先に聞くんだった。冷静になれ仁絵、。深呼吸をする。吸って吐いて吸っ「白い髪の長い人がスッゴイ自慢してて」ゴフッッ、変なとこ入った、、。「大丈夫ですか⁉︎」
「大丈夫じゃないけど続けて」ぜえぜえ、。「今日ここの近くまで来て、そしたら華羽凪さんがいて、本物だ〜ってなって〜」「ん?本物?華羽凪さん?」「はい、今日近くまで来たのが華羽凪さんに料理を教えて欲しくて」「ん?料理?」「はい‼︎えっと〜、」スマホを取り出して一軒の店の口コミを見せてきた。「ここのおにぎり定食を食べると元気になるって話題なんですよ。」おにぎりの写真からなんだろう、、このちょっと、、いや結構歪で手を抜いている感じが華羽凪の気がする、。「これを食べに行ったら華羽凪さん居ないって言われてここら辺をぶらぶらしてたんです。そしたら華羽凪さんがここに入っていくのを見て、華羽凪さん元気になって出て来たんですよ。で、ファンだって声掛けて元気になった理由を聞いて今に至ります♪」
“何話してくれとんねん‼︎”「そーなんだ。」冷静を装い紅茶を啜る、カタカタ音がするが淹れたてで熱いからだろう、。「あの華羽凪さんを元気に出来る人がいるならその人に料理を教えてもらう方がいいと思って」ゴホッッッッ、熱いのが変なこと入って地獄を見た。「なので料理を教えて下さい‼︎」夢中になると相手の状況とか考えれないタイプだ、。ゴホッゴホッ、というかあの手抜き度合い高めの料理見て教えてって思った辺りから正反対のタイプ〜、。
何とか落ち着いて来た。「お願いします、母さんと妹が元気になる最後の方法なんです、。」
口元を拭き「ほお、詳しく。」

机からコンタクトレンズのケースと左目にかける眼鏡を出した。「母さんとは小学生の頃に会ったのが最後ですが、色々と報告で状況は知っていて、。最近鬱が酷くそれにつられて妹も。」「妹ちゃんは今は?」「小学生だったかと」「てことは会ったことはないと」「はい。もう、自殺未遂まで犯したと、。」へえー。コンタクトレンズを外した、だけど髪でよくわからない。「あっどうぞ続けて?」左目だけの眼鏡をかけた。「母さんを助けてください!!」「、、無駄なお節介じゃないの?」紅茶を啜っている。「は?お節介?無駄な?」「ああ、“無駄な”お節介」ニコッと笑って「誰が1番辛いかわかってないね。」ポカンとして理解できていない様だ。「じゃあ誰が1番辛いんですか‼︎?」
何考えてるか分からないけどなんか楽しんでる様な表情で「君は1番辛いのはお母さん、当人だと思った、正しいよ。だけど、、」コップを置いてこっちを見た。さっきまで前髪で隠れていた左目が見えて薄い灰色のヤギの様な目が覗いた。惹き寄せられる様にカッとなっていた感情が落ち着いた。
「だけど、君が一番辛いだろう?」いつの間にか至近距離にいて左手で顔を触られていた。だけど何故だろう心地良い。金色の眼鏡から見える左目が睨みつける様な目だったのが優しい目に変わった。そして追い打ちをかける様に「最後に聞くが、誰が1番辛いって?」「、、、助けてください」何かが崩れた気がしたのと一緒に涙が出た。、、そして仁絵の左手に薄皮の様なものを持っている気がしたが涙でぼやけているから、きっと気のせいだろう。
どのくらい泣いていたのかわからないけど、泣き終わって落ち着いてから「元氣になるといいね。」と言って見送られた(締め出された)。

うるさい子が居なくなってから本来の予定を思い出した仁絵は、急いで身なりを整え大きなカーテンを開けた。そこには扉があり横に暗証番号を入力する機械の様な物があった。機械に番号を入れると施錠の開く音がして仁絵は深呼吸をし、扉を開けた。

扉を開けたら長い廊下と向こう側に厳重な扉がある。仁絵は毎週の事だが、やっぱりいい気分ではない、はあ、と思いながら扉に着いてしまった。「失礼します」ノックして扉を開ける。めっちゃ綺麗に並んでる顔を黒い布で隠している黒子の様な人たちが一斉にこっちを向く。
“こっち見んな‼︎”言ってやりたい、、。
1番奥に座っている4人は服装が違くて、1番権力を持っているのは誕生日席についている。すると誕生日席から「少し遅れましたが何かありましたか?」「特に何も。遅れてしまい申し訳ありません。」頭を下げる。「怪我とかじゃないのなら良かったです。では本題に入ります」
「先々月から今月まで我々の勢力は落ちてゆく一方です。やはりまだ少数派ですので悪とみなされてしまっています、。特に最近は転生者が多く異端者だと言われる被害が多く出ています。」「そういえばここを悪魔の住む城だ〜って言って不法侵入して来た人がいたね〜」ワイワイしてるとこ申し訳ないがこれ私関係なくない?今すぐ帰りたい、。「そういえば華羽凪の奴全然見とらへんな」“おまっ、今言っちゃいかんやつ、。私帰れないじゃん‼︎”そういえばと声がする、すると服装の違う4人、No.1〜4のNo.1が「面倒くさい。早く帰りたい。華羽凪の問題になると私が帰れなくなるでしょ、嫌やわ」“大いに共感します”
「華羽凪は無理だよ。性格的に」“ですよね〜そうなんですよ”
「だけど華羽凪と零兎衣(おとえ)の力が無いと、、」「今は仁絵ですよ。落ち着いてくださいね。」お誕生日席が言うとみんなが黙る、。大人って怖〜。「仁絵さん、最近の華羽凪さんはどんな感じですか?」「さあ、連絡の取りようが無いので」「そうですか。華羽凪さんの力はこちらを有利に出来る力ですのでお会いできた時には説得していただきたいです。」“誰が好き好んで来るのさ、。”仁絵は昔の事を思い出していた。「ではお開きにしましょう。」周りがサッと居なくなった。1人ポツンと仁絵だけが残るいつもはそう、だけど今日はNo.4が残っていた。「責任感じなくていいからね♪」そう言った。
気づいた時にはもういなかった。
責任を感じないは無理なアドバイスだ。広い部屋で1人そう思った。

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?