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乳がんを疑われたので「ステレオガイド下マンモトーム生検」をしたら気絶しかけた話

(※写真はイメージです)

りんごと申します。腐女子です。普段は細々と二次創作をしております。
この度乳がんを疑われ、がんの確定診断のためにステレオガイド下マンモトーム生検というものを受けました。
検査を受ける前、体験談などを調べようとブログなどを検索したものの、意外と書いてる人が少なかったように思うので、今回体験した私が体験談を記していこうと思います。
長くなりますが、誰かの何らかの役に立ったら幸いです。
先に結論を書きますが、今回の結果は乳がんではありませんでした。


1・検査を受ける事になったきっかけ

数年前から両方の乳が痛むようになり、それがきっかけで乳腺外科に通うように。今回もかかりつけの乳腺外科クリニックで定期健診を受ける

マンモグラフィで右の方の乳に怪しい部分(石灰化)が見つかる、追加で超音波検査も受ける

超音波検査では何も写らず。しかし先生曰く、マンモの画像を見ながら「今ステージ0のがんを見ているのかもしれない」とのことで、ステレオガイド下マンモトーム生検を勧められる

これが今年(2023年)6月下旬の話。
右胸の石灰化自体は数年前から存在が指摘されており、また今回もか、と思ったが、どうも今回はその石灰化の集まりが怪しいとのこと。
素人の私でも確かになんか集まって形を作ってる…?ように見えました。

乳がんといえば、気づくきっかけとなるもので多いのが「しこり」かと思います。ですが今回私の乳にはしこりなどありませんでした。
今まで特に問題はなかったのに、そしてしこりもないのにいきなりがんの可能性を指摘され、月並みではありますがやはり頭が真っ白になりました。

「この画像だけじゃ判断できないので、マンモトーム生検を受けてください。ここじゃできないので、大きい病院に紹介状を書きますね」と、先生にその場で紹介状を書いてもらいました。こちらの希望を聞かれるまでもなく、近所のA病院を勧められました。

A病院は確かに大きいしよく通っていて何度もお世話にはなっているのですが、肝心の乳腺外科が無い事は知っていました。
私が「え…?A病院ですか?そこよりもっとちゃんと検査してもらえるとこがいいです」と渋るも、先生は「A病院でもちゃんと検査してもらえるから」と一蹴。

どうせならがん専門の某有明病院とか、某国立センターとか乳がんで有名な某私立大学病院とか、都内でこのクリニックが提携してる病院は沢山あるのに…と思いつつ、まあ近いし…としぶしぶ了承。
かくして、A病院に予約を取り、マンモトーム生検を受けることとなりました。

2・乳がんの検査について

これを見てる方の中にも知らない方もいると思うので、改めて乳がんの検査の種類を極めて簡単に説明していきます。
素人かつ私情が入りすぎている説明なので間違いもあると思います。ちゃんと知りたい方は絶対に検索してください。
こちらのサイト「乳がん検診info」も参考になりますので、併せてご覧ください。https://www.devicormedicaljapan.jp/mmt/

マンモグラフィ

乳を板状の万力で思いっきり挟んで伸ばしたうえでレントゲン撮影する拷問器具です。いやマジで。
どこのどんな外道がこんな非人道的な拷問を考えたのだろうと、受けるたびに思います。
個人の感想ですが、結構痛いです。そりゃ乳を万力で挟んで締め上げるのですから痛くない訳がありません。

私は胃カメラ・大腸カメラと婦人科の内診・子宮頸がん検診・経腟超音波検査の次ぐらいに嫌いです。
私が比較的乳が大きい方だからなのかはわかりませんが、痛いししかも締め付けられている間は息が苦しいです。
これによって、乳の中のしこりや、石灰化といった病変を確認できたりします。

乳房超音波検査(乳腺エコー検査)

その名の通り乳に超音波を当てて病変があるかを調べる検査です。こちらはジェルを塗った機械を乳に当て滑らせて見るだけなので痛くはありません。
がんの他、のう胞や良性の腫瘍なんかも見つけられます。

細胞診

注射針ほどの針を麻酔無しで乳に刺して、病変から直接細胞を取る検査です。
もうすでにある程度の大きさのしこりがある場合に行われるようです。今回の私のようにしこりがない場合は多分対象外です。
時間もそんなにかからず、診察の場ですぐ行われることもあるようです。

マンモトーム生検

直径4ミリほどのぶっとい針(というより筒)を乳に刺し、中の病変を含む組織を吸って採取します。
しこりはないけど何か怪しい病変がある場合に選択されるようです。
針生検とは違い結構がっつり組織が取れるので、病変の確実な診断が期待できます。

一応局所麻酔をしますが、痛いっちゃ痛いです。少なくとも私は痛かったです。
マンモグラフィで乳を挟みながら行う「ステレオガイド下」と、超音波を当てながら行う「エコーガイド下」マンモトームの2種類があるようです。今回私が受けたのはより拷問性が高い「ステレオガイド下」の方です。

3・検査までのやりとり

7月上旬、予約したA病院に行きました。A病院の外来での私の担当は女性医師でした。
乳腺外科では胸を見られるので、女性医師を希望する方もいるとは思いますが、別に私は女性医師だから嬉しいとかはないです。そもそもかかりつけ医は男性ですし…

先生はクリニックでの画像データを見て、「確かにがんの可能性が高い」と言いました。
ならすぐにでも今回の目的のマンモトームを…と思ったのですが、念のためなのか何故かもう一度マンモグラフィと超音波検査をすることに。
この時点で私は多少イラついていました。
まあでももしかしたらマンモトームをやらなくて済むかも?と淡い期待を抱き、言われるがまま再検査を受けました。

しかし3週間後、その結果の画像を見て先生は言いました。
先生「う~~~~ん……これだけだと微妙すぎる……」
私「(イライラ)で、結論としてはどうなんですか?」
先生「経過観察でもいいとは思うんだけど……どうしますか?」
私「(どうしますかじゃねえよ)いや、はっきりさせるためにこの病院に検査受けにきたんですけど」
先生「じゃあマンモトームやりましょう。はっきり結果でますんで!」
私「(いや結局そうなるんかーい👆💦)……わかりました」

この時点ですでに7月下旬になっていました。正直同じ結果なら初めからマンモとエコーおかわりなんかせず、さっさと当初の目的であったマンモトームをして欲しかったです。
おかげで1か月の時間と再検査分のお金を無駄にしました…
何より「がんかもしれない」というもやもやした思いで過ごす日々が無駄に増えたことが辛かったですね…
割とキレてはいましたが、努めて冷静を装い、改めてマンモトームの予約を取りました。

4・検査当日

体験談を書く前にあらかじめ言っておきたいのですが、私は昔通勤中の満員電車でいわゆる「パニック発作のようなもの」を起こし、以来ある条件がそろった時下記のような発作の症状が出ることがあります。
初めて発作が起きたのはもうだいぶ前なので、今はあまり出現しませんが、それでも多少残ってはいるようです。
傍から見たらパニック障害なのかもしれませんが、病院できちんと診断をされたことがないのであえて「パニック発作のようなもの」と書きます。

条件
・身動きが取れない。自分の意思で体を自由に動かせないと自分が強く思った時。
・何らかの理由で自由な呼吸を妨げられている時。
・強い制約や命令を受け、長時間自分で自由に体を動かせない時。

症状
・大量の冷や汗
・意識が遠のく
・吐き気、動悸
・死んでしまうかもしれないという考え

以上のことを踏まえ、私のマンモトーム生検の体験談をご覧ください。

8月10日、大安吉日。
当日は予約した時間より少し早く病院に着きました。血圧を測るよう言われて測ったら、緊張のためか若干高めの血圧が出ました。
高めと言っても上が119、下は覚えてないですが80台です。普段上が100を切るぐらいの低血圧気味なので、これでも少し高い方でしょうか。
そして「体に色んな薬をかけるので、服が汚れないように」と、上下着替えをさせられました。上半身は検査着以外裸で、下半身は検査着のズボンを履きました。

着替えの後案内され検査室前まで行くと、まず検査に関する簡単な内容と、検査終了時に乳の中にコイル状の小さな目印を埋め込むことを説明する紙を渡されます。
この物体は、今後乳がんだった場合、手術で病変を摘出する際の目印だったり、乳がんでなくても経過観察をする際の目印になったりします。
「マンモトーム生検 マイクロマーク」で検索すると出てくると思います。
その紙を見つつ待っていると、検査室の中に呼ばれ、いよいよ検査が始まりました。

検査室の中では今回検査を担当してくださる男性医師と、助手の方(女性医師?)、看護師の方4名が待っていました。
男性医師は病院のHPに名前が載っている、乳腺外科専門で手術も担当している方でした。
局所麻酔(キシロカイン)に対するアレルギーを聞かれ、ないと答えます。
助手の方から、今回の検査に対する注意点として、次のように言われました。

「マンモトーム生検は座標の設定が何より大事です。初めに最適な位置を決めて固定した後は、絶対に動かないでください。少しでも首を動かしただけで大幅に座標がずれちゃうこともありますので…」
この時点で私は大変嫌な予感がしていました。そして不安が押し寄せてきます。
冒頭でも書いた「パニック発作のような症状」が起きる条件に3分の2当てはまるからです。
麻酔をし、針を刺すのは聞いていたけれど、体を固定をしたまま検査終了まで身動きが取れないとまでは聞いていません。

私は検査にかかる時間を聞きました。あらかじめ時間かわかれば、少しでも不安を回避できるかなと思ったからです。
すると絶望的な答えが返ってきました。
「それはわかりません…うまく行けば10分程で終わると思いますが…」
正直身動きが取れない10分は私にとって非常に長いです。「何か具合が悪くなったらすぐ言ってください」とは言われたものの、耐えられるかわかりませんでした。

検査は上半身裸になり専用の椅子に座った状態で、右乳をマンモグラフィで挟むところから始めました。同時にパルスオキシメーターを指に装着しました。開始時のSpO2は99、脈は110くらいでした。
通常のマンモよりは挟む板が小さいような気がしましたが、それでも十分苦しく、また機械の一部が胃のあたりの腹部を圧迫します。これは想定外でしたし、呼吸が次第に苦しくなります。
通常のマンモではまず腹部は圧迫されないからです。

顎は機械の上に載せられ、右腕で機械を抱き込むような姿勢を取るよう指示されました。
この時点で私は半分死にそうになっていました。何故なら「パニック発作のような症状」が起きる条件に全て当てはまったからです。
もう早く終わらせたい、その一心でした。

しかも固定してすぐに針を刺すのかと思っていたら、通常のマンモの撮影同様の撮影が何度か続きました。
これで採取する位置を決めるのだそうです。
この撮影が思ったより長く続き、この時点ですでに10分は経過したように思います。

そのうち、男性医師から「麻酔をします」と声がかかりました。右の乳は完全に私の視界の外なのでわかりませんが、注射の際少し痛みを感じました。
そして麻酔が効くまでさらに撮影…かなりきついです。この頃から次第に汗が出てくるようになりました。呼吸が苦しかったので、それまでしていたマスクも外してもらいました。
それから5分程経った頃、いよいよ太い針を刺します、と声がかかりました。

乳の横方向からゆっくり針が刺されていきます。身構えていましたが、麻酔が効いていたためこの時点でそこまで痛みを感じませんでした。
ですが精神の方がどうやら限界に近づいてきたようで、少しづつですが次第に意識が遠のき始めました。
するとそれを呼び戻すかのように、ある程度のはっきりとした痛みが襲ってきました。組織の採取と同時に、取った組織の吸引も始まりました。
針を刺した時より、吸引の時の方が明らかに痛かったし、気持ちが悪かったです。

汗は次第に増えていき、機械を抱えている腕も、所在がないので仕方なく右腕をつかんでいた左腕もしびれが出てきました。
痛い、苦しい、気持ち悪い。この苦しみはいつ終わるんだろう。
私の様子を見てひとりの看護師さんが「冷や汗が出てきてるね」と言いました。この時点でかなり限界が近かったと思います。

大丈夫ですか、と聞かれるたび、ちょっと苦しいです、まだですか、と正直に答えました。男性医師は「あとちょっとだから」と言いました。
そのあとちょっとが永遠ほどの時間に感じました。意識もだいぶ怪しいです。

「今からバチンと大きな音が何回か鳴って体に衝撃が来ます」と男性医師が言いました。このあたりの記憶がすでにあいまいで、確かにそんな音と衝撃が来たような気がしますが、具合の悪さが勝っていたので細かくは覚えていません。
男性医師が「9時、10時、11時」と座標の方向を示す言葉を叫んでいた気がします。

それが終わってほどなくして、ようやく針が抜かれました。ですが乳の固定はまだ解かれません。
「最後に目印を入れて終わりです」と言われましたが、その目印を用意するのにもたついていたようで、なかなか入りません。
私は本当にもう限界だったので、「もう限界です」と素直に答えました。
その時点で看護師さんの一人が私の顔を見て「顔色がやばい」と言いました。

ようやく目印を入れ、固定が解かれました。それと同時に私は椅子に倒れこむようにして半分気を失っていました。
固定が解かれた瞬間から男性医師が間髪入れずに、手で傷口を圧迫していきます。
私は顔色がだいぶやばかったようで、すぐさま血圧を取られました。その時の血圧は上が60台、開始時99だったSpO2は80にまで下がっていたようで、男性医師や看護師さんたちがにわかに慌て始めました。

「大丈夫ですか?」と何度も聞かれました。「大丈夫じゃないです…両手がしびれてます」と答えたような気がします。
椅子の角度を後ろに倒してもらい、大きく深呼吸するように言われました。少し楽になりましたが、依然として意識が薄かったです。
数分ごとに何度も血圧を取られましたが、あまり回復しません。

10分程経過したとき、男性医師が圧迫の手を放し、傷口にシールを貼り、その上からさらにガーゼをたくさん固めてブロック状にしたものを、押し付けるように何重にもテーピングで固定していきました。
傷口のテープは3日間、ガーゼの圧迫固定は4時間後に取ってもいいと言われました。今日はシャワーは大丈夫ですが、飲酒と入浴、運動は禁止でした。
そのころにはもう血圧もSpO2も回復していましたが、危険なのでということで車いすで運ばれ、しばらく別室で安静にすることになりました。

処置室に移された私は、30分程ベッドで休むことになりました。その間先生が来て、少し話しました。
私は「ちゃんと石灰化のところ取れましたか?」と聞くと「取れてたよ」と言われました。
付き添いの看護師さんは笑っていましたが、死ぬ思いで頑張って取ったので…
横になって30分もしないうちに回復してきたので、検査着から私服に着替え、会計を済ませて帰りました。ここまででトータルで2時間かかりました。
ちなみに費用は3割保険適用で2万3千円ほどかかりました。

5・検査を終えて、伝えたい事

ここまで大変な検査になるとは思わなかったというのが正直な感想です。
ただ、そうなったのは私の性格というか、体質?が関係しているからに他なりません。
今回の検査の条件で別に具合が悪くならないなと思う方にとっては、そこまで大変な検査でもないと思います。痛みも人によりますが耐えられる範疇かと思います。

今回私が受けた病院では座りながら検査を行いましたが、うつ伏せになって寝ながら行う方式だったり、横向きに寝ながら行う方式の病院もあるようです。
検索してたまたま見つけたのですが、下記のURLは横向きで寝て行う方法を採用している病院のページです。多分これなら私も具合が悪くなることなく受けられたのではないかと思います。
https://www.pinkribbon-breastcare.com/breast/manmotom
もし同じ検査を受けられる方は、事前に病院にどの方法で行うか聞いてみてもいいかもしれません。この病院で受けたかったな…

マンモトーム生検は細い針で行う針生検よりもたくさん組織が採れるので、より正確な病変の判断ができます。
これを見てこれから同じ検査を受ける方に必要以上に怖がって欲しくないと思いますし、この検査をお医者さんから提案されたら素直に受けましょう。

多少のコストはかかりますが、画像だけの診断よりは確実性があり、安心できる可能性が高くなります。実際私もかかりつけ医とA病院の外来の医師の2人から「がんの可能性が高い」と言われていたのにがんではありませんでした。もし実際がんだったとしても、早期発見だったと思います。
そして乳がんに関しては自分でセルフチェックもできるがんでもありますし、積極的にセルフチェックや健診に行きましょう。私もそうします。何かあってから病院に行くのではコスパもタイパも悪いです。

なお今回の検査は「外来で行う日帰り手術」となるそうです。自分が加入している民間の医療保険によっては、保険金が下りる場合があるので、受けることになった際は是非契約している保険会社に問い合わせましょう。私は医療保険に2社入っているのですが、そのうち1社が該当し、2.5万円を受け取ることができました。
丁度検査代と同じくらいでとても助かりました。
これは当初私も知らなかったのですが、病院の事務の方が私に教えてくださったのです。その時の事務のおばちゃんは神。

長い文章でしたが、ここまで読んで下さり誠にありがとうございました!