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コラム(6日)、合計特殊出生率1.20で過去最低、空回りする少子化対策

厚生労働省は5日、2023年の「人口動態統計」の概要を公表した。注目の合計特殊出生率は1.20で過去最低となった。別に驚く数字ではない。当たり前の記録更新といった方がいいかもしれない。過去最低の記録更新は8年連続だ。誰も驚かない。皮肉といえば皮肉だが、同じ日に岸田内閣が総力を上げて推進してきた異次元の少子化対策法案が成立した。もう一つの注目点は東京都の出生率が0.99と1を切ったことだ。7月の都知事選を控えて立候補予定者の少子化対策に改めて注目が集まるだろう。有力候補の小池知事、立憲民主党の蓮舫氏には具体的な提案をしてもらいたいものだ。出生率の低下に歯止めが掛からないことは誰の責任でもない。政府の責任が大きいことはもちろんだが、国民一人一人がこの問題をどう認識するか、そこも大事だろう。その上で異次元対策のような個別の対策ではなく、10年単位で推進するもっと大きな日本改造計画が必要な気がする。

もう何年この議論をしているのだろうか。何をしたら出生率の低下に歯止めがかかるのか?政府や高級官僚をはじめ与党も野党も、学識経験者もメディアも、多くの国民を巻き込みながら真剣な議論を積み重ねてきた。それでも少子化の流れは止まらない。小池都知事は潤沢な財政をバックに少子化対策に力を入れてきた。待機児童の解消策や、高校生以下を対象に一切の制約を設けず子ども手当を支給するなど、子育て環境の整備に取り組んでいる。そうした対策の効果だろう、東京都への人口集中は加速度的に進んでいる。その東京都の出生率は47都道府県の中で最低。0.99という都の出生率は、日本が直面する一極集中の弊害を浮き彫りにした。小池知事は出生率の低下を加速しているのである。都知事選挙はもはや都民だけの選挙ではない。さらなる東京への人口集中か分散化か、都知事選の大きな争点の一つだ。

岸田総理が推進している異次元の少子化対策に不満がないわけではない。たとえば必要な財源を小手先の措置で“不透明化”する財源対策など、相変わらずの増税メガネだ。とはいえ、少子化対策が必要であることは否定しない。問題は何をやっても出生率の低下に歯止めがかからないことだ。子育て世帯を取り巻く環境整備、育休の活用や在宅勤務など働き方改革は少しずつ進んでいる。その一方で労働力不足は一段と深刻になり、時間外労働の削減と衝突する。あちらを立てればことらが立たず、利害が相反する対策も絡んでくる。誰がやっても単純には解決できないだろう。ここまでくると個別対策をいくら積み重ねても少子化に歯止めはかからないような気がする。じゃ、どうする。そんなことを言ってみたところで急に思いつくわけもない。具体案もないのに余計なことを言うなとの“お叱り”を承知の上であえていえば、地方創生をはるかに超えた日本人の意識や行政の役割を含めた日本列島改造計画が必要な気がするが、どうだろうか・・・


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