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花粉症ゼロ

まだ少し動揺しているのですが、今思ったことを記録しておいた方がいい気がするので書きます。

昨日、突然花粉症を卒業しました。血液検査の結果、そもそも花粉症でないことが分かったからです。

もともとハウスダストと思しきアレルギー性鼻炎の症状は幼い頃からあったのですが、10年くらい前から、春になると鼻水が止まらなくなり、次第に目の痒みも感じるようになりました。はじめの頃は認めたくない気持ちもありましたが、季節性の症状が出始めて数年目で花粉症であることを受け入れることにしました。

海外に住んでいた頃はその悩みからも解放されていましたが、早春に一時帰国すればいつもの症状に悩まされ、その程度も年々悪くなっていくようでした。この冬は年を越す前から、外に出ると目も鼻もどうにも絶え難く、調べてみるとブタクサ花粉症の時期らしいことがわかりました。

シーズンに入ると毎日続く鼻炎の症状は副鼻腔炎に進行することもあり、痛みで一日中寝たきりで過ごすなど、日常生活にも支障をきたし始めていました。血液検査をして何のアレルギーかを調べる方がいい、それがわかれば適切な薬が処方されるし事前の対策もしやすい、というアドバイスを受け、これで人生が変わるのだと不思議と晴れやかな気持ちで内科を受診しました。

コロナウイルスの騒動もあり毎日マスクをして過ごしていたので、このところ症状は比較的軽く済んでいましたが、今後の人生を大きく変えるはずの検査結果を聞きに、昨日改めて内科を訪れました。

いつもの混雑が嘘のように人のいないその病院で、驚きの事実が告げられました。私は花粉症ではない、ということのようです。何を言われているのか理解するまで若干のタイムラグがありましたが、検査報告書と書かれたリストを見ると、「ハウスダスト1」「ヤケヒョウダニ」という意味のわからない2項目だけが突出大きな数値を示しています。その他約30の項目は全て「0.27未満」とだけ記載されており、それら全てについてアレルギーが無いことを表していると医師が説明してくれました。驚いて少し大きな声で「えー」と言ってしまいました。

時節柄マスクの話をすることが多い昨今ですが、「自分のは花粉症対策なので」「うちは花粉症だからストックがあったんです」などと毎日のように話していたのは何だったのか。洗濯物を外に干さないように無理して扇風機で乾かしたり、つるつるした素材の上着を羽織ってランチを買いに行ったりという日々の努力は何のためだったのか。

花粉症を失った直後の気持ちは言葉にならない複雑なものでしたが、一つ言えることは、それが決してポジティブな感情ではなかったということです。大切なものを失くしてしまったときの感覚に近いかもしれません。病院を出て、それまで付けていたマスクをポケットに仕舞いました。

小池都知事の無責任な花粉症ゼロ公約について、被害者ヅラをして糾弾する権利は、今の私にはもうありません。とても心細い気持ちですが、自らの不遇を憐れむ日々とはもうお別れしなければなりません。そして今後もし私の中のコップが溢れ、本当の花粉症を発症することがあっても、今度はその境遇を呪うことはせず、思う存分小池知事を糾弾していきたいと思うのです。

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