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2019年Twitterでスポンサーを背負い、無形サービスで価値を出すためにもがいたこと

2年前にふとしたきっかけで始めたTwitterとブログ。
これらを通じて今年も沢山の刺激があった。

それは毎日会社に勤めて帰って育児をしてというルーティンの中に吹く新しい風さながら。
異業種、異国に暮らす年齢もバラバラな人の知恵や経験や喜怒哀楽から学び、時にはそこでのコミュニケーションから、オフラインで対面するきっかけにもなった。

多くの経験の中で、一番時間をつかって考えたのが、夏に募集したTwitterスポンサーでのこと。

振り返りのための文章をまとめようと思いながらも書いては消し、書いては消しを繰り返していたらいつのまにか年末になってしまった。


Twitterスポンサーがなんだったかを平たく言うと、スポンサー料をいただくかわりにSNS上での露出を増やす手伝いをしたり、各種アドバイスに乗るというもの。


募集に対して数名の方がすぐに手をあげてくれたことは幸いだったけれど、はじめてみて1ヶ月、2ヶ月経った時点でこれは「成功」だったのだろうかと悩んだ。胸を張って成功と言える結果ではなかったけれど、失敗だったかと言われればそうでもない。


少なくともこの活動を通じて、自分なりに本気で考えるきっかけとしては非常に大きな体験をさせてもらった。


この出来事を振り返るにはいろんな切り口があって、被スポンサーである自分の視点だけではなく、スポンサー側であるお二人の視点もあるだけに、言葉選びが難しい。

自分自身、まだ完全に腑に落ちた言葉が見つかってはいないのだけれど、2019年の整理も兼ねて一度、文章にまとめてみることにした。


Twitterの収益化!とか

フォロワーの増やし方!みたいなものを求めている方にはマッチしないことは請け合い。

この文章のなにかしらをおもしろいと思ってくれるニッチな層に、年末年始の読み物として届けば嬉しい。


本題に入る前に簡単に自己紹介を。

へらじか、という名前でブログを書いたりTwitterやって2年以上が経った。

中身は30代子持ちの普通の会社員。現職には満足しているものの、アクションの遅いザ・日系企業の働き方にもどかしさを感じることもしばしば。


その遅さに対し、同僚と飲んで会社に文句を言うという非生産的な行動(それはそれで、ごくたまには良いけれど)をとるよりも、スピード感のある思考と試行の実験を自分のできる小さな範囲でやりたいなと考え「へらじか」の仮面をかぶっていろいろな試みをしている。


2019年はブログを通じてお声がけをいただき、日経ビジネスさんに英語関連のコメントを掲載いただいた。
記事の寄稿というほど立派ではなくアンケートのようなものだったけれど、アメリカ赴任前の英語学習の経験が一流紙に載るという貴重な体験をした。


また、Twitterを通じて人に会うことも自分にとっての思考と試行の実験の一つ。
日系メーカーでの現職では会えない業種だったり、年齢をこえた関係ができることに改めてSNSの醍醐味を感じたり。


加えて、夏に行った試みがこの記事の本題である、Twitterでのスポンサーだった。

スポンサー募集にあたっては、当時こんな note を書いていた。


この記事を書いたとき、仕事では多くのメーカーが意識しているであろう「モノ売りからの脱却」とか「サブスクリプション型ビジネスへの変革」といった大きな検討テーマを与えられており、もともと動きの遅い勤め先ではそのPoC (Proof of Concept) に踏み切るのにすら様々な会議体やネゴが必要でやきもきしていた。

既存のモノ売りオペレーションに最適化された製造業の中の人として奮闘するも、一向に進まないプロジェクト。

ここに対して愚痴を言っても自分の成長には繋がらないので、それなら自分で小さくサービスビジネスのPoCを回してみようかと、モノを売らないサービスのトライアル=Twitterスポンサー募集をしてみた次第。


この思いつきに対して、最終的に2名の方に1ヶ月間スポンサーになっていただくことになった。

1人はカワズさん。現役のアメリカ駐在員であり、以前から別アカウントで相互にフォローしていた方。アカウントの方向性転換のため「カワズ」として転生すべく、その後押しをすることに。


もう1人はKarenさん。大学院生であり、研究でメキシコ留学していたり、国際学生寮のスタッフだったりと実に多才。内定先企業で将来アメリカ駐在をねらうため、その前準備的なお手伝いをすることに。


キーワード:販売チャネルとブランド

TwitterのDMでやり取りをした後、まずはこの2人のTwitter IDをへらじかのプロフィールに掲載することで、2人のプロフィールをより多くの人に見てもらうことを狙った。


この背景には「販売チャネル」と「ブランド」の考え方がある。

販売チャネルとは、モノ売りの観点で言うとお店で売るのか、セールスが売り込みに行くのか、はたまたWebで売るのかといった、商品を売る場所や経路のこと。

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今回の場合、
「商品」として売り込むのはスポンサー2名
「販路」として使うのはへらじかのTwitterアカウント
言いかえると、スポンサーは自分を売り込むための新しいルートを手に入れたということ。


そして同時に「ブランド」の考え方も応用した。
これについてはわざわざ説明するまでもなく、製品やサービスの価値が持つネームバリューだったり存在感だったりする。


自分で言ってしまうのは滑稽だけれど、へらじかとして2年間さまざまなチャレンジをして、当時4,000人以上の方にフォローいただいていたので、少なからずその恩恵をスポンサー2人へバトンとして渡せると考えていた。

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1ヶ月間プロフィールへのID掲載をしたけれど、カワズさんとカレンさんのフォロワーはさほど増えなかった。


そもそも2人とも人を数として見てフォロワー数を追いかけるようなタイプではなかったし、自分も同じくなので当然といえば当然の結果ではあった。

それにしてもはじめの1ヶ月間は動きがなさすぎて、スポンサーを背負う身としては焦っていた。


この活動を小さなトライアルに位置づけるために、開始時にスポンサー2名からはスポンサー料をいただいていたので、ますます、なんらかの目に見える形での結果を出さなければという焦りがあったのだと思う。

サッカーに例えるなら、新シーズンから大企業がスポンサーについて胸に企業ロゴをプリントしたユニフォームを着はじめたのに、開幕から10戦勝ち星がないような、そんな感覚。


このまま何もメリットを与えられなきゃまずいと、スポンサー料はいただかずに1ヶ月間の期間延長をお願いすることにした。

これはそれなりに功を奏し、結果的にカワズさんはゼロから始めて100人、Karenさんもキリのいい大台までフォロワー数が増えていて、少し安堵した。


開始時に定量的なコミットをしたわけではなかったので、ドライに考えれば焦ったり悩んだりする必要もないのだけれど。ただ、ある期間の中で自分に何ができるか、与えられる知識や経験は全て活用してもらうつもりで、

「Amazon Prime会員が全サービスを期間中自由に使えるように、へらじかPrime的な価値を与えていきたい」という言葉が自然に出てきたのは大きな収穫だったように思う。


収穫、というのはTwitterの中での話というよりは、先述の本業におけるモノ売りから広義のサービス型ビジネスへの転換においての話。

メーカーである勤め先のモノ売りビジネスを転換するにあたって、自社に提供可能なすべての無形価値をユーザーに与えられるようなサービス設計が一つの解になるのかもしれないな、と。

この感覚をまだ完全には言語化できていないのだけれど、無償のスポンサーでは得られない、有償だったからこそ本気で考えたアウトプットだったように思う。


メーカー社内で集まって、サービス型ビジネスへの転換ということを狙ってアイデア出しをすると必ずといっていいほど「コンサルみたいなビジネスをやろう!」という聞こえのいい方向で話がまとまるんだけれど、そのうち何人が、本当に金銭を得てコンサルをやったことがあるんだろうか。

モノ売りにつなげるための無形サービス=御用聞き  とコンサルテーションを分けて、本気で取り組んだことがあるんだろうか。


少なくとも自分は今回、その経験を小さく積むことができたように思う。

コンサルティングができるようになったとは口が裂けても言えない、レベルの低い取り組みだったけれど、形のないビジネスのPoCを小さなサイクルで回せたことは大きな経験になった。


キーワード: セグメンテーションとターゲティング

加えて実体験として学んだのは、スポンサー制度は小さな事業買収のようなものだなということ。互いに事業ドメインが近かったり、属性が近かったり、言いかえると属するセグメントが多く重複しているほど連携のシナジーがあるという気づきを得た。


上記は書くまでもなく当たり前のことに感じられるかもしれないけれど、実際に属性の異なる2名がスポンサーについてくれたことで、その差が分析しやすかった。


カワズさんは同世代、家族持ち、しかもアメリカ駐在員という共通項があったので、後押しはとてもやりやすかった。

難点としては「転生アカウント」だったので、これまでのツイートの蓄積がなかったこと。こちらとしては過去のカワズさんのツイートを掘り起こして自分のコメントを乗せて拡散、ということをしたかったのだけれど、ゼロからのスタートだったので出来ず。

結果、日々アメリカで家族を支えながら忙しく働くカワズさんに、どんどんツイートをするようプレッシャーを与えてしまったのではないかと反省している。

実際に事後、カワズさんは「へらじかと同じテイストのツイートができるよう考えて、萎縮してしまって手が止まった」という旨のコメントを送ってくださったので、ブランドを背負わせてしまうことには良し悪しがあるのだなと痛感した。


一方のKarenさんは、来年の就職先でアメリカ駐在を狙うという点やグローバルに働きたいという将来像、キャリアの方向性について共通項はあったし、なによりへらじかの普段の何気ないつぶやきにも共感してもらえて「スポンサーに名乗り出たのは、誰よりへらじかだったから」という熱いメッセージをいただいた。

にもかかわらず、やはりセグメンテーションとしては重複する面積が少なかったためにKarenさんのツイートを拡散するのには正直いってやや難儀した。また、カワズさんのケースと同様、こちらからこんなツイートをしてはどうか、こんなターゲットに刺さる内容を狙ってみてはとややプレッシャーをかけてしまったことは反省。


スタイルとしては自分の動き方はやはり先述したように「コンサルタント」に近かったように思う。

仕事ではクライアント側として接するコンサルが、こんなにも難しいものとは。

所詮どこまでいっても外野なので、口を出す部分と、主体的に動いてもらう部分との見極めについて押したり引いたりしながらアウトプットを出すということのバランス感は、依頼側としてわかったつもりになっていながら、何事も経験してみるものだなとしみじみ思う。


話をセグメンテーションとターゲティングに戻す。


2年前にアカウントを作って以来、自分は一貫してニッチ戦略を取ってきた。特定の分野に特化して、狭く深く活動するスタイル。

もともと、渡米後に自分が欲しい情報がないから自分で書いちゃえとブログを始めたので、ほとんど手つかずの領域について記事を書くのは開拓してる感覚で楽しかったし、コメントやTwitterを通じてフィードバックをもらえることにやりがいを感じた。

在外邦人の方に面白い、役立つと言ってもらえるような話だったり、時に日本を離れているもの同士の仲間意識でジョークを言い合うのもとても楽しかった。

海外志向のある20-40代の男女に向けた呟きやブログが自分にとっても自然体で楽しく続けられるバランスだった。


が、ことスポンサーという型においては、それは真逆に作用したように思う。

自分は幸いなことに、上記のスタイルで当時4,000人以上の方にフォローいただいていた。そのほとんどの方が、ニッチな情報なりディープな仕事の話に興味をもっていた方々。

ニッチに特化してしまったあまりに、スポンサーの2人にもそうした、突き抜けたツイートを進めてしまったことで自由なつぶやきを阻害してしまっていたように思う。


後日、2人からはそれぞれ、いい経験になったと好評をいただいた。

ただこのターゲティングについてはもっとうまくやれたのではないかと未だに悶々としている。


仕事なら最終的には自社が提供する製品の販売をソリューションとして落とし込めれば「成功」、他社に負ければ「失敗」と勝敗がわかりやすいけれど、無形の場合に自分がこんなに、結果についてモヤモヤするとは、この取り組み開始時点では微塵も思わなかった。


良かったことも悪かったこともつらつらと書いてしまい、まとまりがないけれど、これがTwitterスポンサーの試行を通じて得たもの。


最後に、いただいたスポンサー料の使い途について。

お2人からいただいたものに自分自身で足して、子供にiPadを買った。

綺麗事と言われるかもしれないけれど、自分のためではなく何かしらの未来に向けたことに使いたいという思いがあったので。


それまで自分用に1台持っていて、子供にもそれで遊ばせればいいやと思っていたんだけれど、2人で取り合いになってしまうので引き出しに眠らせてしまうことが多く、今回のことで2台目を購入できたので、2人の子供それぞれが触れる環境ができた。

改めてこの場を借りて、Karenさん、カワズさんに御礼を。試行、そして思考の実験にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。


2020年もスポンサーの取り組みをやるかどうかは未定だけれど、何かしらチャレンジをすることで発想を得て、会社員業に良い影響を出していきたい次第。

好きなコーヒー豆を買い、早起きをして、また何かを書きます。