かめこ展~ぶつける気概とぶっ飛んだ展示~
漫画脳展がGallery Conceal Shibuyaで開催されていた12月22日、そこから直線距離で50mも離れていない、アートギャラリー道玄坂にて、ぶっ飛んだ展示が幕を開けた。
「かめこ展 vol.15~4コマ~」
12月23日金曜日、仕事が終わった後、ボクは渋谷マークシティ横の道玄坂を登った。増えた年齢と体重が足にズシリと堪える、キツイ坂だった。
アートギャラリー道玄坂が見えてくると、少し通り越した空き地で、ボクは1本煙草を吸った。坂を登って、酸素を欲しがる肺を、煙草の汚れた煙で満たしていく。まるで自殺しているようだ。
階段を上り、意を決して、ギャラリーの扉を開くと、そこにいた全員が、ボクの方を振り返った。どうも、ボクは正面ではない入口から間違って入ったらしい。
会場を見渡すと、かわいい女の子の写真が目に入った。
なんだ、普通の女の子ポートレート、、、それほど奇を衒った写真展というわけではないのかな?と、第一印象としては拍子抜けしたのだが、実はこれは大きな間違いで、ボクは後で、恐怖に慄くことになる!!!!
展示を拝見する。ステキなポートレートもあるのだが、何かがおかしい、4コマ漫画の数々。
かめこ展は、vol.3以降、毎回主催の時岡さん(以下トッキー)がテーマを設定して、写真展を開催しているのだが、もちろん、「4コマ」とは「4コマ漫画」のことであり、「漫画脳展」に対抗して、トッキーが決めたものと推測する。
そして、このかめこ展にも、漫画脳展主催ケンタソーヤングさんが出展している!という、なんと複雑な関係性!そんじょそこいらの恋愛少女漫画の人間関係よりも、複雑怪奇に絡まっているのでいるのである!
もう、正直傍目から観て面白かったのが、ケンタソーヤングさんとトッキーの会話www!
バッチバチの対抗心を感じるの。いい意味でのwww
もちろん、二人とも大人だし、仲が悪いとか、けんか腰なわけじゃないんだけれども、微妙にかみ合わず、お互い「負けねぇぞ!!」って気概をムンムン感じるんだよねw猿山の、サルのボス同士が語り合っているような・・・まぁ、それを見て笑っているのはボクくらいなんだろうけれどもw
気味が悪い作品、トラウマになる作品
須田一政さんは、ボクが大好きな写真家の一人である。
伝説の寺山修司の劇団「天井桟敷」の専属カメラマンから写真家としてスタートした、異例の経歴の持ち主である。
残念ながら、2019年に亡くなられてしまった。
ボクが2010年「かめこ展 vol.3」に出展したころだったと思うが、須田一政さんの代表作「風姿花伝」を、今は無き銀座「BLD GALLERY」で拝見した。
ハッキリ申し上げて、第一印象は「気持ち悪っ」!!!!だった。
須田さんの作風として、何気ない日常の風景を撮りながら、その一瞬ズレた中に、「非日常」を見つけた写真を撮る。その、一瞬ズレたシャッターが撮ったものは、ボクらが目で認識していない瞬間の出来事であり、日常の何気ない風景にもかかわらず、恐ろしく、気持ちが悪いものになっているのだ。
美しい女の子なのに、何故か虚ろな表情だったり、何かをした後の男の人の背中が奇妙に曲がっていたり・・・
特に須田さんの、縄を食いちぎろうともがくヤギの顔は、夢に出てきそうで、大きくプリントされた作品の前で、その「気持ちの悪さ」と「迫力」に寒気と鳥肌が立ったのを覚えている。
しかし、その「気持ち悪くて、二度と見たくない!」と思った須田一政さんの作品を、ボクは忘れられなくなり、写真集を買い、読み漁るようになった。
その後、須田さんの個展や回顧展が開催される度に、ボクは必ず作品を拝見して、その鳥肌が立つような体験を何度もしてきた。
何故、須田一政さんのお話を長々書いたかというと、御幣があるかもしれないし、「ボクにとって」という個人的な話なのかもしれないが、「素晴らしい作品」が持つ「強さ」とは、単純な美しさより、そこに秘められた「神秘性」さらに言うと、それは、「違和感」「気持ち悪さ」「トラウマになるような強さ」だとボクは思っている。
や・ら・れ・たー!!悔しい!!
今回、「かめこ展 vol.15~4コマ~」の作品は、どれもこれも、何だか観ていて「気持ちが悪い」のである!いや、誉め言葉として!!
懐かしい、JR東海のシンデレラエクスプレスCMへのオマージュ?何故!?
この女の子が持っている本、何故!?
何故石で人を殺してる?
4コマ?駒込?何故!?
何故温泉ヌード!?
何故顔が見えない?
・・・ちょっと、みんなちょっとずつオカシイんですけど!!
そして!いよいよその頂点たる2作品である。
トッキーの作品は、ボクもムーニー劇場に出演を依頼した繭乃さんと、正体不明のラバー仮面男の物語である。
それだけでも十分気持ち悪いのだが、そのオチたるや!!
マジかよ!!なんじゃそれ!!
や・ら・れ・たー!!
そのトッキーの作品だけで、ボクは十分心に大きな傷を負っているにも関わらず、である。
あ、ブライアンさんの作品!かわいい女の子の写真だ!!ああ癒される・・・と思ったら!!!!まさかの!!!!
どっかーん!!!マジかよ!!
恐怖以外の何でもない!!
しかも、間違い探し形式になっているのだが、その一つ一つもどこか狂っている。。。
・・・いやぁ、今でも何だか二日酔いのような胸やけが残っていますわ。
楽しい展示でした!
いや、今回は、主催のトッキーも自分の作品以外は、アンコントローラブルな状況で、結果論として、こういう作品が集まってしまったのだと思うが、(まぁ、そういうところが、トッキーの奇跡的な人脈なのかもしれないが)どうやればいいのかわからないけれど、今回のかめこ展の方向性を精鋭化させたら、とんでもない兵器ができてしまうのではなかろうか!?笑笑笑
いや、とにもかくにもお疲れ様でした!楽しませていただきました。ありがとう。
かめこ展、次回は参加するのか?
いや、参加しないと思うけど、2022年末だし、自己紹介も含めて、ボクとかめこ展のお話を少し書いて締めくくります。
2007年にマシマ氏と自主製作映画「Kenji」を撮り終えた後、ボクは、前の会社の女の子に恋をして、失恋して、抜け殻のようになり、無気力で仕事に行く以外、家にこもって、部屋を暗くして「AIR」やら「涼宮ハルヒの憂鬱」やら「GLANNAD」やら、アニメを見まくる生活をしていました。
しかし、これじゃいかん!と思い、ふと思い立って、ニコンのデジタル一眼レフカメラを購入、そして、アニメを見ていた影響もあり、インターネットでコスプレイヤーさんに興味を持ち始めたりして、「そうだ!カメラを持って、モデルさんの撮影会に行ってみよう!!」と思い立って行ったのが、今は無き「Fine Photo Circle撮影会(=FPC撮影会)」だった。
そのFPC撮影会に出演していたモデルさん、ハシモトさんと出会い、そして、トッキーと出会い、その翌年には、トッキーが主宰する写真展「かめこ展 vol.3~似非COSPLAY~」に出展することになる!
まぁ、昔話をしてもしょうがないけれど、その頃は、熱かった~www
ミーティングの度に、撮った写真をみんなの前で発表して、あれこれ意見を言ったり、mixiのコミュニティ上でも、レタッチ、データの作成方法、額装について等々、みんなで意見を交換して、みんなの作品の質を上げる=写真展の質を上げることだという、共通の目的意識のなかで動いていた。
漫画脳展の中でボクが書いたように、ダメ人間でさらに失恋でズタボロだったボクは、「かめこ展」という社会共同体に救済されたんだな。
ま、トッキーは、「オレはこんな男を拾った覚えはない!」と言うかもしれないけど。
ボクは、2018年「かめこ展 vol.11~かめこ学園~」を最後に、以降参加していない。
何故参加しなくなったのかというと、もちろん、結婚して子供もできて忙しくなった、というのもあるけれど、その後のトッキーのアイドルプロデュース活動の方向性もよくわからなかったのと、ボク自身も、個展をやるようになって、プライドが邪魔をしたと言えば、その通りなのかもしれない。
しかし、今回の「かめこ展 vol.15」を見て、主催のトッキーは、また新たな境地に入った!?ように感じたし、かめこ展の展示自体も、奥底知れぬ奇妙な恐ろしさを感じる、面白い展示だったと思う。
また、トッキーの思いついたテーマが、ボクの琴線に触れた時には是非出展させていただきたいと思っていますし、これからも必ず見に行きます!
かめこ展の更なる発展を陰ながら応援しております!
お疲れ様でした!!
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