七瀬 月

双子座、A型

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    浅井葉月のこと、美術のこと、

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はるとうたたね

「偏にきみと白い春」の裏ネタです。ネタバレもあるかもしれませんので、よかったら本編を読んでからご覧くださいね。 ◇高城領 まず、高城領ですよね。いちばんバックグラウンドに裏のない人間です。明るくて、素直で、いつも日向にいます。見た目通り、やさしい男です。 高城領の家は音楽一家で、父も母もバンドをかじっています。家に防音室やドラムがあるくらいだからね。小さい頃から音楽に触れて育っているので、絶対音感もあるし、センスはずば抜けています。領の奏でるギターはやさしい音をしている

    • 白春

      「偏にきみと白い春」完結しました。数年前に書いていたお話のキャラと大まかなストーリーを改稿したものになっています。が、原作は拙すぎてほぼ丸々文章はもちろん設定から流れまで書き直しています。5万字以上は増えている気がします。 バンド名も今作では「はるとうたたね」にしていますが、原作では「シャイン」だったのですよ。鬼ダサくてわらっています。というか、中学生の時に書いていたお話を今更直すのは相当根気がいる作業でして、物語の隅々まで「だ、だせえ〜!」と驚愕していたんですよ。なんと編

      • 綴為

        文章を書くのをやめてしまう日々が続いています。もっと言えば、書けない、です。 書きたいというきもちとは裏腹で、なにを書けばいいかずっとわからずにいます。今のわたしから生まれる物語を、大切にできるかとても不安です。 好きな作家さんのお話を作家読みすることが多いですが、今はそれが仇となっている気がします。自分の不甲斐なさと比べてつらくなってしまう、痛みがあります、すきなことだからこそです、じぶんのなかで、誇りたいことだからこそ、です。 才能やセンスなんていうものは持ち合わせ

        • 三度目の殺人

          勝利にこだわる弁護士重盛(福山)が、やむをえず弁護を担当することになったのは、30年前にも殺人の前科がある三隅(役所)。解雇された工場の社長を殺し、死体に火をつけた容疑で起訴されている。犯行も自供し、このままだと死刑はまぬがれない。はじめから「負け」が決まったような裁判だったが、三隅に会うたび重盛の中で確信が揺らいでいく。三隅の動機が希薄なのだ。 彼はなぜ殺したのか?本当に彼が殺したのか?重盛の視点で絡んだ人間たちの糸を一つ一つ紐解いていくと、それまでみえていた事実が次々と変

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          キツツキと雨

          小さな山あいの村にやって来たゾンビ映画の撮影隊。なぜだか手伝うことになった木こりの克彦(役所広司)は、プレッシャーに弱く使えない新人監督の幸一(小栗旬)にイライラする。しかし、幸一は克彦との交流で自分を取り戻していき、二人のいい関係がイマイチかみ合わなかった撮影現場にも不思議な影響を与え始め……。 「横道世之介」「南極料理人」ハマった人にはきっとうまくハマる。わたしがそうです。通常の世界よりワンテンポ遅れるような時間の流れの中で、クスリと笑って、心がほかほかとあたたまる、そ

          キツツキと雨

          海街diary

          父が死んだことで、腹違いの四女すずと会うことになった香田三姉妹。 三姉妹の長女・幸はすずに、鎌倉で一緒に暮らさないかと提案し、すずは鎌倉に引っ越すことを決めます。鎌倉で一緒に暮らすことを決めた四人の姉妹は、共同生活を経て絆を深めていきますが、祖母の七回忌に、連絡のつかなかった母が現れたことで、仲睦まじかった四姉妹の関係の中に潜む闇が姿を見せ始め……。 静謐に描かれる鎌倉の四姉妹の日常。四人が本当の家族になるまでの物語。 序盤から、映像の綺麗さに思わず泣きそうになってしまった

          海街diary

          忘却

          ミスディオールを身に纏ったところで、 赤毛のアンに憧れた、そばかすも色とりどりのセロハンもおさげに結った赤髪もきらいめいて見えた。蝶は見るだけなら綺麗であるし海の香りは好きではないけれど水辺が揺れる音はなんだか心地がいい、湯本香樹実の文章に触れるとやさしくなれるしテナーサックスの音を聞くと何故だかひどく泣きたくなる。 捻くれているので夢や希望といった言葉には信頼を寄せていない。嘘も間違いもほんとうはあってもいい。けれど純粋無垢な少女に誰もが憧れる。戻れない昨日に想いを馳せ

          浅井葉月が最後に美大祭のコンクールに寝坊して作品を出さなかったのは、評価に対する執着から少しだけ逃れられたからなのかな、とおもいます。完全ではないけど、ね。

          浅井葉月が最後に美大祭のコンクールに寝坊して作品を出さなかったのは、評価に対する執着から少しだけ逃れられたからなのかな、とおもいます。完全ではないけど、ね。

          焚木

          知ってましたか。焚き木をすると、きゅううん、と音がするんです。ぱちぱち弾ける音に混ざって、苦しめられているような、締め付けられているような、そんな声がするんですよ。木に含まれた水蒸気が原因のようですが、自然の音とは不思議なもので、誰かがそこにいるような気になるんです。火とは恐ろしいもののはずなのに、なくてはならないエネルギー、常に私たちと隣り合わせ、だからこそなのかもしれませんね。 焚き木、と聞いて思い出される話があります。戦争時代を生きた祖父から聞いた話です。若い頃、祖父

          耳飾

          実のところ、わたしは美術のことをなにも知らない。 中学2年で美術の教師が変わった。前任は定年を過ぎた絵の上手なお爺ちゃんだった。テストは筆記が半分、創作が半分で、絵を描くのが好きだった私は、そんなテストを作るお爺ちゃんのことがとても好きだった。私の絵のことをよく褒めてくれたのも印象に残っている。 そんなお爺ちゃんに代わってやってきた女性の美術教師のことは、はじめてあったときから、いや、彼女の授業を受けたときから、少しだけ苦手だった。 お爺ちゃんの授業は基本自由だった。課