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結城紬のシルクショールができるまで

前回、30枚のご予約があっという間に売り切れてしまった結城紬のシルクショールです。
実は、すぐには売切れないだろうと思っていたので、予約受付をしてから生産地の見学にいく予定でスケジュールを組んでいたのですが、生産の様子をお届けする前に、完売となってしまいました!!

ショールを作るまでのおはなし
・絹100%の一年中使えるショールを作ろうと思います
・結城紬ショールご予約開始です

ちょっと迷ったのですが、「やっぱり欲しいです」というお声も多かったので、思い切って30枚追加したいと思います。
5/9、12時~と19時~の2回に分けて再受注いたします。

そして、順番がちょっとくるってしまいましたが、結城紬作りの見学をしてきたレポートをお届けします!
(「専務!ショールが30枚あっという間に売れたそうです!」「聞きました!すごいです」「30枚追加です」「本当ですか!」みたいな会話がありました。30枚あっという間に完売というのは、なかなかないみたいです)

糸を繭から紡ぎ出す

結城紬は、繭をふわふわっとほぐしたような「真綿」と呼ばれる絹のかたまりから糸を紡ぎ出し、それを織り上げるのが特徴だそうです。
繭から生糸を取り織りあげる絹布とはちょっと違う、ふわっとした風合いがあります。

今回のショールは、真綿(綿といいつつ、シルクです)から糸を取って、さらに撚りをかけてパリッとした糸と、そこに真綿からまた繊維を巻き付けたふわっと太目の糸の二種類を基本にさらっとした質感の横糸を透け感のあるように薄く繊細に織り上げて頂きます。

白いこの糸が、今回のシルクショールになります。
一番左のちょっと見切れてしまっているのが真綿からとったふわっとした糸。そこから右に、何種類かの糸があります。
細い撚りの強い糸はさらっとしていて、シュッとスマートです。
太目の糸はふわっとあたたかいです。なんというか、大きくて従順な優しい犬をなでているような、温かみがあります。
糸の段階でも、いい感じが漂っています!
紡いだ糸は柔らかいので、専用の糊をつけてパリッと強くします。この写真は、その糊をつけて乾かしている作業の途中だそうです。
(糊は、最後には洗い落としますが、これがまた難しくて普通に洗ってもうまく取れないんだそうです。ついでに天日干しの必要があるので、天候で左右されるから「納品日が天気によってずれるかも」といわれています)

で、この糸を、糸巻き作業に。
ミシンに詳しい人は、ボビンを巻く作業があると思いますが、そんな感じをイメージしてもらえば。
糸を織り機にかけるために、何工程もあるそうです。

動画だとこのように、スピーディーに糸が巻かれて行きます。

この糸や織りを見せてもらった時は、ショールではなくて、お着物や帯を織っている作業だそうです。ちょっと珍しい色鮮やかな緑色が映えます。

機械織りといいつつ、手作業

今回のショールは機械織りで作ります。といいつつ、相当手作業工程が…。

機械も50年前の古いもので、「部品がもう売ってなくて」という年代品。
糸をかけたり、調子を整えたりするのも、結局は手作業。

機械織りといっても、ぱっとやってスッとできる、というものではないのですね。
それでも、ずいぶんお値段も抑えて作ってもらえるのは嬉しい事です。

※こちらの織り場の見学は、一般には公開していないそうです。

手仕事で生きていくということ

こちらの写真は、地機織りという、手と足と、そして腰を使って織りあげる織り機です。
伝統工芸士さんが実演してくれたのですが、腰で糸のテンションを調整しつつ足で縦糸を、手で横糸を操り、ちょっとした糸のずれをまち針でちょっぴり調整し、……という緻密な作業なのに、バンバン布地が出来上がっていく!

「人間の骨格で織りあげる布の規格になるので、最近日本人の体型も大きくなってきて、着物を作る時にそれにあう幅の反物が作れるか、ということも新しい課題なんですよねー」

そんなことまでーー??

「腰の幅より広い布が作れないのが手織りの宿命なのでねー」

ちなみに、手織りの紬でショールを作ってもらうと、1枚8万円とかになっちゃいます。
でも、1枚で考えると高額だなあって思うのですが、それに関わる人たちの数とできる製品の数を考えると、大儲けでウハウハということにはならない訳です。3カ月かけて8万円って思うと、実は全然小さい額なんだなと感じます(計算としてはおかしいのですけれど)。けして、無駄に高いというわけではないのです。

自分のお財布がそれを許してくれないとしても、それを知る事は大事なことだと思いました。

いろいろと聞いていたら、この紬を織るための糸を紡ぐ職人さんは、講習をして自宅で糸つむぎ(糸を取るというそうです)をする人も少しずつ増えているようです。
また織りもやってみたいという人もいるそうですが、やはり高齢化はそれを追い越すスピードだそうです。

ただ、手作り作家ブームから、手仕事を生業にしたいなあと思う人もいるかもしれません。そういう人にとって、意外に伝統工芸というのは、堅実な道なのかもしれないと思いました。
今回は結城紬についていろいろと知ることができましたが、お住いの地域や、お好きな技術について、実は学ぶ機会は結構あるんじゃないかと思いました。
今回ショールを作ってもらう奥順さんでも、講座などが開かれているようです。

多分、私たちは知らないだけなのだと思います。
知らないから、違う世界に飛び込むことができない。

でも、ほんの少しだけ門を叩けば、広がる道もあるのだと思います。
むずかしい事も多いけれど、「知らない事」には大きな宝物が必ず秘められている。同時に、怖い事も、ひどい事もあると大人になればなるほどわかるのだけれど、知らない事のなかにその宝物があるということを、思い出すこと。子供の時は知らない事の宝物がたくさんあったのに。

その知らない事は、どこにでもあるんだなあと、ショールを通じて思いました。


結城紬見学会

ということで、いろいろと見せてもらって、すごいなあと思う事が多かった結城紬見学会でした。

折角なので、「当店のお客さんで来てみたいという人がいたら、案内してもらえますか?」と聞いてみたところ、織り場(布地を織っている工場)は平日しかやっていないけれど資料館や体験などは土日もできるということなので、ショールができる頃に一度結城紬見学会ができたらいいですね、って話してきました。

現地集合で、結城市をそぞろ歩きするもよし、ちょっと面白い小旅行になるかもしれません。結城駅からは徒歩で10分、のろのろ歩いて15分。
近くにはお醤油屋さん、お味噌屋さん等大変人気のあるお店があるそうです。あと、ゆでまんじゅうというのが地域の名物。むちっとした皮が美味しかったです。
(ただし、水戸線結城駅は、一時間に1本の電車です!)

まだ構想しかないんですが…
やるとしたら、7月前半の土曜日か、8月の前半の土曜日になるかなあと話してきました。(着物の一枚ももっていないのに勝手に結城紬親善大使……手帳はどこへ……)


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