眠る前に書き留めたかったこと。
すこし外に出て、空を眺めたんですよ。
鳥の鳴く声を聞いて、ぼうとしていたんですよ。
空ってほんとうは、空色の薄い膜が張られているんじゃないかって、思ったんですよ。雲にだって手が届くと思えたんですよ。
朝日の昇る方の空の色を見て、図工の絵の具を思い出していたんですよ。
聞こえない音と見えない色と吸えない空気を肌につけて、思い出とは、すこしだけ美しく、補正のかかるものだと思ったんです。
ぺんぺん草はほんとうにぺんぺん鳴っていたか、たんぽぽの綿毛はアスファルトに落ちていやしないか、その匂いはほんとうに草と土の匂いか。
小学校の校舎に掛かる大きな時計がはっきりと見えて、今だけ、朝って、ちょっと良いかもなって、思いました。今だけですけど。
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