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無題

推しが死んだ。

言葉そのまんまに、私の推しが死んだ。


最近よく芸能人の誹謗中傷による自死を耳にする中で、
正直不謹慎だけど、比にならない程の衝撃だった。

また1週間ぐらいしたら新しい動画が出ると思ってたから。明日もTwitterのサブ垢で目玉焼きに点数つける謎ツイをしてくれると思ってたから。明日もストーリーにごしゃいちゃんのアイコンが表示されると思ってたから。


自分でも、ごしゃいちゃんの死にここまで悲しんでいることに正直驚いた。
「そうか、自分はごしゃいちゃんのことがこんなに好きだったんだ」と
翌日、ぱんぱんに腫れた目を見ながら気づいた。

なんでnoteを書いているのか分からないけど、
なんだか、どうしても何か書かなきゃいけないような気がして、
義務感で筆を走らせている。


彼女が亡くなる数日前にも、いつも通り彼女のyoutubeを楽しんでいた。マイメロ擬人化メイク。私はシナモンメイクのほうが好きだな~なんて、思いながら。

私にとって彼女は、メイクが上手で気立ても良い、年上のお姉さんのような存在だった。私が購入する化粧品のほとんどは彼女が好んで使っていたものだし、私の服の趣味や、美的感覚みたいなものも、彼女が基盤にある。

単なるパーソナルカラー、骨格診断だけでなく、顔のパーツをどう足し算すれば綺麗な顔に見えるのか、理想の目の形にするためにどこに濃淡を付ければいいか、徹底的に分析された彼女の美に対する愚直さが好きだった。動画で化粧品を紹介するときに、ただ「可愛い」だけで済ませずに色んな語彙を使って表現してくれる、彼女の聡明さを尊敬した。

勿論、彼女の発信するコンテンツ自体も有用で大好きだったが、何より私が好きだったのは「彼女」自身だった。

毎年春先に嫌なことが起こって、夏に鬱傾向が強くなって、秋になるとだんだん回復してきて、という躁鬱ルーティンを繰り返す彼女が、好きだった。
「こんな暗い自分見たくないよね」って泣きそうになりながら発信してくれる毎日メイクが大好きだったし、躁鬱を改善するための認知行動療法を説いてくれた動画は、隠しきれない彼女のどうしようもない弱さを愛した。

私の中での清く、歪な「信仰」が、確かにあったのだ。


だからか、最近の彼女の動画は少し魅力に欠けるように感じていた。

勿論、コンテンツとしてのパンチ力みたいなところもあるだろうけど(事実、本人も言っていた)、何より、彼女がどこかふわふわと安定しているように見えた。今思うと、少し危うさも孕んでいたかもしれない。

そもそもこの時期は毎年活動休止をしている時期で、精神的に非常に不安定な時期のはずだった。でも、動画の投稿頻度は少し落としつつも、彼女はインフルエンサー活動を休止しなかった。

4年近く彼女を追いかけてきた私の直感が正しい!なんて言えないけど、
躁のごしゃいちゃんも、鬱のごしゃいちゃんも、いなかったような気がする。見せようとしなかった、というのが正しいかもしれない。

ここ1~2年で、彼女はよく精神論とか、認知行動療法的な話をするようになった。「頑張らないことを頑張ろうと思ってる」「マズローの欲求階層説って知ってる?」、とか。躁鬱にそんなに詳しい訳じゃないけど、こういう外形的な言葉に安心して、何かが彼女の内に巣食うのを見逃してしまったのではないだろうか。


本当に、悔しい。
もし彼女を死に追い込む直接的な理由を作った人物がいるのなら、今すぐ呪ってやりたい。どうして気づけなかったんだろう、どうして彼女は永遠に私たちのお姉ちゃんでいてくれると確信していたんだろう、どうして彼女に感謝を伝えられなかったんだろう。

推しは生きてるうちに会え、なんていうけど、本当にそうだ。
推しは、いつか死ぬ。
私が「好きです」って伝える前に、死ぬのだ。



ごしゃいちゃん、ひなちゃん。
なんで死んじゃったの?

「みんなと一緒に年を取っていきたな」って言ってたじゃん、マネージャーさんの結婚式に感動して、彼氏とか結婚の話沢山してくれたじゃん、今度、「買って後悔したコスメ」動画作ってくれるって言ってたじゃん。

ずっと、私のお姉ちゃんでいてくれると思ってたのに。
私の日常の中の、かけがえのないキラキラで居続けてくれると思ってたのに。

みんな簡単に「ご冥福をお祈りいたします」なんて言うけど、
私にはできない。

ごしゃいちゃんの死に向き合って、自分の中で咀嚼して受け入れるまでは、まだもう少し時間が必要だから。


ごしゃいちゃんが残してくれた、キラキラして可愛くて、美しくって、夢みたいな世界をちゃんと愛して生きていくよ。
ごしゃいちゃんが生きられなかった、辛くて理不尽で、死にたくなってしまうような世界を、私は生きるよ。

今まで好きでいさせてくれて、本当にありがとう。
心の底から、大好きでした。





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