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灯篭流

ひと呼吸、息を措いた
静寂に君の名をひとつ置いた
持て余した時間は老いて
僕は、ただただ寂しかった

飛沫が波間を縫った
君のこころが息を継いだ
川沿いをふたり歩いて
僕らは言葉を待っていた


肩寄せて、また離れて
浜を揺蕩う波のように
浅く浮いて、ふと沈んで
水面迷う花弁のように

ただ流れて、ただ流れて
川を下る燈のように

いつか


歌を辿って。
貴方は歌を辿って。
貴方の歌を辿って。

貴方も、

いま旅立って往く。


目を閉じて、また開いて
読みかけの小説のように
立ち止まって、歩き出して
朝夜を繰る月日のように

ただ唄って、唄って
生まれ変わる小鳥のように

飛び去って往く


歌を追って。
僕らは歌を追って。
僕らの歌を追って。


ただ

詩を歌って。
貴方と詩を歌って。
貴方の詩を歌って。

貴方は、

ただ過ぎ去って往く。

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