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カミツレベルベット

刺すような日差しが照りつける。
ここ数年の異常気象で、連日暑い日が続く。
そんな中、いつものようにスタジアムに向かう。

歩き慣れたスタジアムまでの道を、初めて来たかのような、新鮮な気持ちで歩いていく。
スタジアムが近づくと、見覚えのあるフラッグが風に揺れている。
スタジアムに着けば、知っている顔ばかりで
「こんにちは!」といつも通りに挨拶を交わす。
聞き覚えのあるチャントが聞こえて、旗が波打つ。

そうか、ここはいつもだったらホームスタジアムなのか。

………。

そんなことを思えるのも、こうやって試合が終わった今だから。

会場でこんな冷静なことを考えていられるわけがない。

いつも通り過ごしたはずなのに、「何やってたっけなぁ」と思い出すのも精一杯で。
そのくらい夢中になっていたんでしょう。

移籍という縁で応援するようになった奈良クラブ。
気づけば彼氏もわたしもゴール裏で太鼓を叩いているという、カオスな状況が生まれました。

試合前日に部屋でチャントを流してペットボトルで練習したり、散歩をしている道中で突然チャントを歌い始めて、抜き打ちテストのようにリズムを確かめたり…。サッカーを観ていない時間もサッカーのことばかり。ただのサッカー馬鹿なんです、我々。

こうなった経緯を少しだけお話します。
彼が太鼓をお願いされたのは、少し遡ってアウェイの相模原戦のときでした。
この試合で初めて太鼓という役割を担った彼は「俺が思い切って声出せるのもこういう人たちがいるからなんだなぁ…」と大変さを噛み締めていました。

90分、彼に太鼓を任せてもよかった。
でも試合の状況から「彼に声で選手たちを後押ししてほしい」と思い、太鼓を代わりました。

彼の声は大きいだけではなく、よく通るんです。
なので、声出しだけに集中してもらおうと思って、試合の途中で席を立ってゴール裏に行きました。

いわば新参者のカップルに、応援の大切なピースであるリズムを取る役目を任せてくれて、本当に感謝しています。

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そういえば。
ヨメがゴールを決めました。

ハイライトは何回でもおかわりできますし、ゴールを決めると分かっているのでなんだか安心して観ていられるものです。

遡ること約1年前。
奈良クラブの昇格も、グルージャの降格もまだ決まっていなかったあの日、言ってくれた言葉がありました。

それを叶えてくれました。

叶えてくれた、というより自分で掴み取ったもの。
わたしにとって特別で何にも変え難いものでした。
手元に残るサインも、ユニフォームも、たしかに大事なものだけれど、それ以上に価値がある、忘れられない瞬間でした。

(価値なんてその人次第。サインが大事、お金が大事、なんでもいいと思うけど、わたしは推しがサッカーをしていて、元気でいてくれることが一番大事、今はね。)

ゴールを決めたのが前半だったのもなんともドラマティックで。なんでかって、その方向にはグルージャのサポーターがいたから。
たった1回のゴールかもしれないけど、目の前で成長した姿を見せつけてやったなぁ、と。なんだか嬉しくて、これがわたしの推しだよ、見たか!って誇らしく思いました。

次はゴール決めて、勝ちたいね。

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去年の今頃は、Jリーグに戻って来てこんなに活躍するなんて思いもしなかった。
サッカーしている姿を観られることは当たり前ではなく、結果を残せなかったらサヨウナラと言われるプロの世界。
もう観られないかな、とちょっと覚悟もした。
それでも這い上がってきた。

『カミツレベルベット』

これはわたしの好きな歌のタイトルで、2つの言葉から成っています。

カモミールという花の別名がカミツレで、花言葉は「逆境に耐える」「苦難の中の力」
ベルベットは表面が緻密(=丈夫)な織物を意味します。

困難な状況に立たされても、何回も起き上がって立ち向かう姿を表しています。

辛かったり悔しかったり
わたしがその気持ちを代弁するのはおこがましい話だけど、想像を超える苦難があったはず。

でも、その壁を乗り越えた。

ぴょこっと出てきた芽は少しずつ大きくなって、水をあげるとグングン成長していく。

そろそろ咲いてもいい?って、その蕾はうずうずし始める。

まるでお花のよう。

中には踏み潰される花もある。
でもその花があるから、周りで咲いている花が綺麗に見える。

綺麗だねって言われることが全てだとはおもわない。
へし折られたって、枯れたって、そのときはそれでいい。

それは新しい種を蒔くときだから。

体裁の整ったキレイな文章でまとめたけれど
結局何が言いたいかって


どんな状況になっても、大丈夫だよってこと。


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試合が終わったあと、いくら水を飲んでも治らなかった頭痛も今はなくなって、あの時は楽しかったって思ったけど日が経つにつれて悔しさが増してきた。

一つ何かを成し遂げたような安堵感。
肩の荷がすっと降りて、軽く感じる身体。

どれだけあの試合を楽しみにしていて、どれだけ全力を尽くしたんだろう。

きっと限界を超えていただろうな。


その前からだけど、ちょっと疲れてて。
自分のことじゃないのに、周りの反応を見て一喜一憂して、お前にそんなこと言われたくないんだよ…!って思って。

完全に気疲れ。


本当はいろんなことを忘れて少し休みたい。
でも、すぐに次の試合がやってくる。


また一緒に戦わないと。


喜怒哀楽なんて、全てパワーに換えましょう。
自分が無理だと思ったり、嫌だと思ったことに関わる必要なんてない。
プラスの愛に全て換えちゃいましょう。


リセットして、もう一回、立ちあがる。
ここからまた頑張っていきましょう。



まとまりのない文字の塊を読んでいただいて、ありがとうございました。

推しへの愛と熱を絶やさないように、これからも応援し続けます。



必ず最後に愛は勝つ✊🏻❤️‍🔥


以上!バイバーイ!