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試合考察〜J3リーグ第5節 奈良クラブvsFC今治〜

日時:4月2日(日)13:00K.O
場所:今治里山スタジアム
対戦相手:FC今治
△1-1 draw

【スターティングイレブン】
※敬称略
GK 岡田*
DF 伊勢 鈴木 加藤
MF 寺村 可児 堀内 山本 西田*
FW 浅川 酒井

*は今シーズン初スタメン。

【サブ】
GK 赤塚
DF 寺島 都並 小谷
MF 桑島 片岡 嫁阪

【メンバー交代】
後半
西田→嫁阪
寺村→都並
山本→片岡
可児→桑島
伊勢→小谷

【ハイライトベース】
0:56 奈良最初のシュート
着目点は2つ。
①伊勢のプレス。相手が中央付近でボールを回している段階でCBの伊勢が強くプレスをかけにいった。かなりリスクは高いが、これが効いていた。
②西田のパスカット。左ウインガーで出場していたが、ボールを奪った位置は中央。間延びせず、コンパクトな陣形になっていたことで、パスカットの後もボールを繋ぐことができた。
1:12 奈良のチャンス
シュートを放ったのは寺村。堀内からパスを受けたあとゴールの位置を確認している。(顔を上げて前を見ている)
1:44 奈良のチャンス
加藤の持ち上がりに注目したい。相手が来ないことを確認し、大きめにトラップしてドリブルで運んだ。その後はゴールに近くなるにつれてトラップを小さくしてボールを動かしている。
2:13 今治のチャンス
まずもって、あの場面は簡単に足を出してはならない。寺村が抜かれたことで、ボールを持った相手には伊勢がつく形となった。山本をはじめ、中盤の選手が戻ってきてカバーリングに入っていたのが幸いだった。
2:36 奈良のチャンス
今節スタメン起用となった西田。このプレーだけではなく、非常にドリブルが光っていた。彼のドリブルの特徴は細かなボールタッチで中へカットインしていくところだ。要所でそれが出た。
2:56 今治先制
混戦の中、クリアし損ねたボールが相手にこぼれた。緩い山なりのシュートだったが、奈良の選手に当たってコースが変わり、岡田の反応が遅れた。再三チャンスを作りながらも先に得点を奪われてしまった。
3:40 奈良のチャンス
ここで注目したいのは酒井。相手DFにユニフォームを引っ張られながらも倒れずにボールをキープした。この日、そういった止め方をする場面が多かった。フラストレーションが溜まっていただろう。酒井のフィジカルの強さが出た場面だった。
4:13 奈良が同点に追いつく
鈴木が転びながらも右サイドへボールを送る。浅川が少しすらしたボールを拾ったのは寺村。このあと注目してほしい点は「嫁阪のボールの要求」である。
寺村がボールを持った時点で、加速しながら逆サイドで手を挙げてボールを要求している。加速からゴールする瞬間まで嫁阪はフリーだった。
実はこのとき、浅川も中で足元にボールを要求していた。こちらもフリーだったのでパスをする選択肢もあっただろう。
やはりこの時も寺村は顔を上げて一度周りを見ている。ボールを持つとボールだけを見がちだが、彼はそうではない。この即時の判断が生み出したクロスを嫁阪はヘディングでゴールに叩きつけた。
4:49 今治のチャンス
言うまでもなく岡田のファインセーブ2連発がチームを救った。すぐ立ち上がらなければ2発目のセーブは出なかっただろう。
5:14 奈良のチャンス
後ろから形を作ると奈良はチャンスに持っていける確率が高い。可児のおしゃれなヒールパスを受けた嫁阪が縦に走り込んできた片岡へ。(このときの嫁阪のパスも簡単にできるものではない。少しタイミングをずらして相手の間を通している。)片岡が中へボールを送るも合わせることはできなかった。
5:40〜 立て続けに今治のチャンス
ここをよく耐えた。少し集中力に欠けていたように見えたので、失点してもおかしくなかった。紛れもなく岡田のセーブがチームへ流れを呼び寄せ、途切れかけた糸を繋ぎ止めてくれたのだろう。

【総括】
・先発で出場したGK岡田が良かった。味方にあたりコースが変わったゴールで失点はしたが、ビルドアップやシュートストップはアルナウと同じくらい長けている。岡田のナイスセーブで救われた場面も多かった。バックパスを受けたとき、少しバタつくところがあるため、CB(SB)との連携を深め、練習で詰めてほしいところだ。
・メンバーの起用法について。FWが2人しかいない中で、2人とも先発起用。現状、トップの替えがいない状況である。そして、比較的運動量が多い両ウインガーの替えもいない。(今節は嫁阪のみだった。)恐らくコンディション不良で離脱しているであろう金子、森の早期復帰が待たれる。中盤の控えとして桑島が名を連ねているが、この選手はウインガー、トップでも万能でよく動ける。長いシーズン、どの選手をどこで使うか、ポイントになることは間違いないだろう。
・最後に推しである嫁阪のことを触れておこう。最後にリーグ戦でゴールを決めたのは、いわてグルージャ盛岡に在籍時。2020年12月の長野戦だ。今シーズン、この男の活躍が目覚ましい。「ゴールに絡むことができず」と自分でも得点に結びつくプレーができなかったことが引っかかっていたのだろう。今節は今シーズン初めてベンチスタートとなった。しかし、途中出場でゴールを決めた。5試合を終え、1ゴール1アシスト。多いか少ないか、思うところは人それぞれ。今後、この数字をどれだけ積み重ねることができるか。覚醒に期待する。

4/8は昨シーズン所属していた森田凜が在籍するFC琉球と、4/16はかつて嫁阪、西田が所属していたいわてグルージャ盛岡との対戦となる。どちらも22シーズンはJ2で戦っていたチーム。降格したとはいえ、侮ることはできない。

奈良クラブはチャンピオンであり、挑戦者だ。恐れることはない。果敢に立ち向かい、歩み続けていくのみ。