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怒髪天『オトナマイト・ダンディー』

2010年3月3日発売。1984年にバンド結成、86年にはVo.増子以外のメンバーチェンジを経て活動、96年に一時活動休止し、99年に活動再開、2004年にテイチクエンタテインメントより再メジャーデビューとなる。

そんな彼らのメジャー復帰5枚目のフルアルバム。公式のディスコグラフィーを確認したが、アルバムとミニアルバムの境界が分からない。活動歴がとにかく長いので、もはや正確にナンバリングしていないのかもしれない。

怒髪天を聴き始めたのはこのアルバムからだ。このアルバムのCMを深夜に観た、「ド真ん中節」のPVだったけど、メンバーが電柱や木などの棒にしがみついまま歌うというインパクトの強いものだった。

特に増子さんが暴風雨の中で電柱にしがみつき、新聞とか枯葉が舞う中、気合いで歌唱している姿から、無意識に男臭さを感じてしまった。

この年に行く予定であった10-FEET主催の野外ロックフェスの京都大作戦にも出演することが決まっていたので、予習をしたくなった。これが聴くきっかけだった。TSUTAYAでこのアルバムを見つけてレンタル。

M1.「オトナノススメ」リードトラックであり既発のシングル曲。もはやこれは怒髪天の名刺代わり、ライブでの超定番曲となっている。僕もついこの間30代に突入したので、この曲の歌詞は改めて心に滲みる。

"30かそこら辺りでくだらねぇ大人へと 避けられぬ悲しきさだめ"
それでもサビで大人は最高!!全然楽勝、恐れるに足らん!青春続行!!とリスナーとのオーバーソウル!とにかく最高過ぎるので、この1曲のためにライブへ足を運んでも良いだろう。

M2.「ヤケっぱち数え唄」前トラックでめちゃくちゃ前進したのに、日々の鬱憤を数え唄で歌い上げる。大人は最高!と歌いながらも、やはり現実への共感は忘れていない。音も対象的で、ハードロック寄りなサウンドに歌謡の歌メロで、そこら辺が彼らのコミカルで楽しい所だ。

M3.「ド真ん中節」前述したPVが凄まじいやつ。自分の信じる道のド真ん中を突き進んでいけ!というとにかく男気に溢れた曲。怒髪天というバンドのバックグラウンドからも分かる通り、もはや人生の教師ともいえるかもしれない。

M4.「オレとオマエ」80's的歌謡ナンバーという印象のシンプルなナンバー。すっかりオトナになっちまったオレとオマエ、遠く離れてるけど友情の火はずっと燃え続けてる。なんて分かりやすくストレートなんだろう。

M5.「俺ときどき‥」ここまではストレートな詞の曲の連続だったけれど、この曲では隠喩の手法を取っている。それでも分かりやすいことに変わりはないが、こんな詞もあるんだと思った。

M6.「武蔵野流星号」この曲はかなりお気に入りの曲だ。不機嫌にさせてばかりの彼女の元へ、仕忙しくてもすぐチャリで行くから待ってくれ!いう、これもストレートだ。"終電なくてもいくよ"という所から、星空の下、夜中にチャリを漕ぐ情景が浮かぶ。ギターのフレーズも凄く良い。

M7.「悪心13」二日酔いで起きたら13時、吐き気が止まらなえ‥!という曲。3番で二日酔いではありません、風邪です明日から行きます‥とかさすがに無理がある。笑

M8.「ふわふわ」放心状態なのか、何してても心ここにあらずずっと浮いている。この曲はベースが曲の雰囲気を支配している。音的にはフワフワとした曲ではなかった。笑

M9.「アフター5ジャングル」本当に仕事絡みの詞が多い。"9時から5時まで動物園の中 アクビこらえていいコにしてたぜ"から、どんだけ退屈なんだと思わせる。けど、5時あがりってホワイト企業じゃん‥と現代では思ってしまうよね‥。

M10.「我が逃走」サウンドはやや爽やかに軽快でまさに逃走している感がある。"逃走"なんだけど、しっかり"闘争"するために逃げるということだ。逃げることは別に負けることではない。怒髪天が言うから信憑性が増すし、背中を押してもらっているような気がする。勇気の出る曲だ。


怒髪天は40代を過ぎてからようやくメディアに取り上げられるようになり遅咲きのブレイクしたとよく言われている。

始めるのに遅いはないと、僕も信じたい。

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