これは別の妄想

頭の中に映像を思い浮かべてみると

その中の人たちが動いていく。

物語が始まっていく。

僕はそれをなぞる。

登場人物が言った言葉を

その時僕が思ったことを

映像の中に流れていく文字を

慌てて僕は書き記していく。


その内登場人物は

背を向けて歩き出し

流れていた文字は

僕を追い越して

その背中についていく。


追いかければいいものを

僕は立ち止まる。


小さくなっていく背中と

小さくなっていく文字を見送る。


何もなくなった白い空間に

僕はぽつんと立っている。


だから僕の書く物語は

完結しない。


最後まで追いかけることをしないからだ。

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