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日本語入力 キー配列

今日は、パソコンで日本語を入力する方法についての技術的な話です。

日本語を入力するには、通常2種類あります。ローマ字で入力するのと、JISかな配列で入力するのとです。日本人の約90%は、ローマ字入力で、残りの10%がかな入力をしているそうです。

では、どちらのほうが「効率」がよいのでしょうか。わたくしは、現役時代、JISかな配列で入力していました。1文字1キーで入力できるので効率がよいと思っていました。ただし濁音や拗音は2〜3キー叩く必要がありますけれども…。実際はどうなのでしょうか。これを検証するには、かな文字だけのテキストファイルが必要です。文体や分野(会話体、文章語、手紙、子供用、専門分野…)によって出てくる言葉が違いますので、平均的なテキストを作るのは、なかなか難しいのですが、なるべくいろいろな分野からとって、自分で作ってみました。全約4万4千文字のテキストです。これで、解析すると、
(「ストローク」とは、キーの一打ち)

JISかな配列で、 1.221 ストローク/文字
ローマ字入力で、 1.746 ストローク/文字

となります。つまり、1000文字入力すると、JISかな入力で1221ストローク、ローマ字入力で、1746ストローク、その差は、525ストロークです。ローマ字入力のほうが、43%多くなります(労力が要る)。
(ウェブで検索すると、10万字のテキストもあるようですが、集計結果はあまり変わらないと思う)

では、どちらが「速く」入力できるでしょうか。ストローク数も関係しますが、運指がなめらかに動くかどうかも重要です。つまり、どの指をよく使うか、右手左手交互性は、キーボードのどの段(上、中、下)をよく使うか…などです。

とは言え、実際、早打ちする人は、ほとんどローマ字入力する方のようです。つまり、慣れているということですね。

タイピング界のゴッドハンド隅野氏(百識王)
この方は、秒速21ストローク出ているそうです。

JISかな配列で、早打ちするYoutubeは、あまりなさそうですが…
【UTyping】ようこそジャパリパークへ JISかな
こちらは、ゲームなので漢字かな変換はしていません。

かな文字入力にはJIS配列のほかにも、いろいろあります。たとえば、富士通の親指シフトキーボードを使うとか…。しかし、このキーボードは販売終了になるとのことです。
富士通、「親指シフトキーボード」の販売終了 40年の歴史に幕

専用の親指シフトキーボードでなく、普通のJISキーボードで親指を使って入力をする方法もあります。これは、同時に押されている2つのキーを検出しなければならないので、そういうソフトウェア(親指シフトエミュレーターと呼ぶらしい)をインストールする必要があります。それから、どういうキー配列にするか、という問題もあります。富士通のNICOLA配列のほか、新下駄配列、蜂蜜小梅配列などあります。興味のある方は調べてみてください。とはいえ、余計なソフトがいるし、キーボードによって使いやすさが左右されますので、わたしはお勧めしません。

では、通常のキーボードで、もっと効率よく高速で入力する方法は、あるのでしょうか。月配列というものが、2002年に考案されました(その前には花配列などもある)。
http://jisx6004.client.jp/tsuki.html
ここに書いていますが、

「出現頻度が高いカナは1打でうち、出現頻度が少ないカナは2打で打つ方式」です。

2打の場合、第1打(シフトキー)は、(中指の)DまたはKのキーにします。ただし、この月配列というのには、決まった配列がありません。配列の取り決めがないので、「月配列XXXX式」と式名(バージョン)を付けてよばれますが、要するに自分で好きな配列を作ればよいのです。といっても、一から自分で考えるのも大変なので、誰かが考えたものを元にして、自分にあった配列を作ることになります。

わたしの作ったかなテキストでは、各文字の頻度は次のようになります。

い 2631
の 1879
ん 1835
う 1833
し 1557
か 1548
と 1456
、 1381
た 1303
に 1192
な 1189
て 1182
く 1077
は 1063
る  995
こ  969
が  929
も  878
き  873
で  816
。  802
…等々…

これらの文字をなるべく1打で入力できるように、配置します。上記21文字だけでも、約60%が1打で入力できるようになります。わたくしが使っている配列(月E10T変)を参考までに下に表示します。

スクリーンショット 2020-07-20 11.07.49

月E10T-2

この配列では、濁音も一つ一つキーを割り付けています。
D、K以外にLキーも使ってシフトを拡張しています。
また、拗音もL→DまたはL→L押しで定義しています。ですので、拗音(2文字)は3キー入力になります(もちろん1文字ずつでも入力可)。

この配列で、 1.280 ストローク/文字

となります。ローマ字入力と較べて、1000文字当たり、466ストローク(約36%)少なくなります。

わたくしの場合、WindowsとMac共通で使えるように、「Google日本語入力」を使っています。入力方式は「ローマ字」とし、変換方法をテキストファイルに書き、インポートします(Google日本語入力の環境設定でできます)。
(もし、インポート用の変換ファイルや練習用のテキストが欲しいというかたがいらっしゃいましたら、ダウンロードできるようにします。コメントください。)

ちょっと見にくいですが、統計データを付けておきます。

【ローマ字入力】(単位%)
左手 (43.4%) 右手 (56.6%)
〜指別〜
左 [小指]14.2 [薬] 6.0 [中] 8.1 [人指]14.8 
右 [人指指]23.3 [中]19.6 [薬]12.9 [子] 0.8
[Shift/Space] 0.2%
〜段別〜
[数字段] 0.3
[上段] 52.8
[中段] 30.5
[下段] 16.1
[Shift/スペース] 0.2
《コメント》上段が約半分、ほぼ3段のみを使う
【JISかな配列入力】(単位%)
左手 (51.6%) 右手 (48.4%)
〜指別〜
左 [小指]6.7 [薬] 8.7 [中] 11.2 [人指]17.4
右 [人指指] 13.0 [中]9.1 [薬]7.5 [子] 17.3
[Shift/Space] 9.0%
〜段別〜
[数字段] 13.5
[上段] 36.9
[中段] 23.3
[下段] 17.3
[Shift/スペース] 9.0
《コメント》数字段が使われる、かなが配置されているため。
【月E10T変式入力】(単位%)
左手 (46.5%) 右手 (53.5%)
〜指別〜
左 [小指]6.6 [薬] 9.4 [中] 14.7 [人指]16.1
右 [人指指] 16.2 [中]18.6 [薬]9.9 [子] 8.2
[Shift/Space] 0.3%
〜段別〜
[数字段] 0.3
[上段] 26.4
[中段] 54.9
[下段] 18.2
[Shift/スペース] 0.2
《コメント》中段を中に上下段に振り分けられている、ほぼ3段のみを使う

この月E10T変の配列は、4年ぐらい前から使っています。少しずつ改良していますけれども、あまり上達はしていません。特に速く入力しようと言うより、
1)ローマ字入力のようにキーを激しく叩かなくても入力できる
2)数字列を使わず(手を余り上下させず)に入力できる
ことに魅力を感じています。

(2020-7-20 改訂、月E10Tの配列図修正、統計データ修正)

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コメント (6)
こんにちは。打鍵数の分析を見かけることが少ないので参考になります。ありがとうございます。

質問ですが、「JISかな配列で、 1.221 ストローク/文字」は、Shift打鍵もカウントしている数値でしょうか。

ローマ字入力とかな入力の比較についてブログを書いていて、Shiftありなしが知りたかったので質問させていただきました。

また、後半の統計データについて助けになるかもしれないのですが、こちらの記事で紹介しているスプレッドシートの「打鍵数」シートにおいて、
http://pasokatu.com/22184
(キーごとの打鍵数は手入力する必要がありますが)
手別、指別、段別のパーセンテージ・カラースケール・データバーを可視化することができるので、よろしかったらお試しください。

あらかじめシートをコピーしておいて、印字部分を手入力で書き換えればローマ字入力以外にも対応できると思います。
パソ活さん、お問い合わせ、ありがとうございます。
Shiftキーも打鍵数にカウントしています(例”を”は、左Shiftキーと"0"キー)。
[Shift/Space]の9.0%がShiftキーの打鍵率です。
(スペース文字はカウントしていません)

統計データ表示のスプレッドシートは、面白そうですね。
後で、詳しく見て、試してみたいと思います。ありがとうございました。
返信ありがとうございます。
1.221がShiftカウントありのストローク数であれば、こちらの100万字分析とほとんど同じになりそうです。
https://kouy.exblog.jp/7888078/
(JISかな、Shiftありで1.2256)
パソ活さんの関連ブログも少し読みました。大変詳しく分析されており、参考になります。

わたしは、JISかなから最初、新下駄配列配列を試していたのですが、やはり月配列のように連打の中指シフトが性に合うようです。ここに示した配列はわたし独自のものです。
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